
19日午前9時20分ごろ、東京都中央区八重洲のビル工事現場で、クレーンで設置作業をしていた鉄骨が落下した。警視庁中央署や東京消防庁によると、20~40代の男性作業員5人が病院に搬送され、2人の死亡が確認された。残る3人も重傷を負うなどしたが、命に別条はないという。
同署によると、工事現場の7階部分で、クレーンでつり下げていた鉄骨が何らかの理由で3階部分に落下した。作業員5人は当時、鉄骨の上にいたとみられ、死亡した33歳と43歳の2人は下敷きになった。
共同企業体(JV)を代表する大林組によると、5人はいずれも2次下請け業者の社員。設置完了済みの4本を含む長さ13~18メートルの鉄骨計5本(計約48トン)が最大約20メートル落下した。
安全確認に時間がかかっており、現場検証は20日以降になる見通し。同署は業務上過失致死傷の疑いで、詳しい原因を調べている。
現場はJR東京駅八重洲口から約100メートルのオフィス街。工事は2021年に始まり、25年にオフィスや店舗、バスターミナルが入る地上51階、地下4階建ての複合施設が建つ予定という。
現場周辺にある喫茶店の女性従業員は「雷みたいな音がしたら、すぐに救急車の音が聞こえてきた」と驚いた様子で話した。
現場から数十メートルの交差点で出勤途中に音を聞いたという女性(75)は「クレーンから落ちたような『ドカーン』という音がした」と話し、「再開発が進んでいるエリアだが、こんなことは初めて」と語った。
大林組は「工事に従事される方の安全を守れなかったことは悔恨の極み。全社を挙げて再発防止と安全施工の徹底に取り組む」とのコメントを出した。