現地時間9月17日に行なわれたラ・リーガ第5節、レアル・ソシエダはレアル・マドリーに1-2で敗れ、今季初黒星を喫した。
敵地サンチャゴ・ベルナベウでの一戦、先手を取ったのはアウェーの「ラ・レアル」だった。久保建英の狙いすましたクロスにアンデル・バレネチェアが合わせ、いったんは相手GKに防がれるも、こぼれ球を詰めて先制。その後もチャンスを創ったが、46分にフェデリコ・バルベルデの強烈な一撃、60分にホセルのヘディングシュートを浴びて逆転を許し、これを覆すことができずに終わっている。
先制点のアシストを決めた久保は、古巣相手に躍動。11分にはオフサイドの判定で無効になったものの、ペナルティーエリア外から素晴らしいシュートを放ち、他にも惜しいシュートや得点に結びついてもおかしくないラストパスなど、効果的なプレーを披露し、存在感を十分に示してみせた。
自身のSNSで「残念な結果。すでに水曜日の試合(チャンピオンズリーグのインテル戦)のことを考えています」と、敗戦を悔しがりながらも、気持ちを切り替えていることを強調した背番号14に対し、ソシエダの公式サイトは試合中に「タケは絶好調だ」「彼は常にゴールを探している」「その調子だ、タケ!」と賛辞を贈り続け、「タケが美しいボールを入れて、バレネチェアがゴール」「遠めからの美しいシュートで加点したがオフサイド」などと伝えた。
イマノル・アルグアシル監督は、「タケは右ウイングとしてプレーしているが、相手と状況によっては、中央でプレーすることもある。彼の実力については、今さら何も言う必要はない。多くの才能とクオリティーを持っており、さらに向上したいという意欲もある。ただし、私は常に言っている。彼が実力を示せるのは、チームメイトからの協力があるからこそだということを」と久保に言及している。
現地メディアからの評価も高く、スペインのスポーツ紙『MARCA』は久保のプレーを「マスタークラス(最上級)」「インペリアル(皇帝)」と表現し、「タケは才能があり、さらに好感度も高い選手の典型的なケースだ。バレネチェアのゴールには久保の技術の高さが表われており、マドリーの守備陣を苦労させた他、トニ・クロースを痛烈なスキルで翻弄してみせた」と綴った。 また、「天才的に戦いの火蓋を切った」「前半は誰も止めることができず、チームメイトの誰もが彼にボールを集めた」「制御不能だった」と報じ、「タケは決意、連続性、具体性、そして効果性を持ち合わせている。危険な存在となる方法を学び、ラ・レアルの主役となる自覚を持っている。今や成熟した選手であり、アルグアシル監督のチームで多くの危険なプレーを演出した」と称賛し、3点満点の採点ではチーム最高タイの「2」を与えている。
同メディアはマドリー側の視点から「マドリーは、前半の久保によるエキシビジョンを乗り越えた」、そして2アシストと攻撃面では大貢献を果たし、守備では久保と対峙した左SBフラン・ガルシアを評する上で、「彼のプレーは良かったが、久保のプレーには大苦戦。しかし、それは日本人選手のクオリティーの高さに起因するもので、このDFのミスではない」「前半は優雅なタケに対処しなければならないという悪夢を経験した」と綴った。
一方、『AS』紙は「タケの素晴らしいアシストによって、バレネチェアによる先制は実現した」「タケはその才能に持続性、再現性を加えたことで、自身をラ・リーガのトッププレーヤーに変貌させた」と評し、攻撃の選手では両チームを通じて唯一となる満点の「3」を久保に与えた。
また、「マドリーのホームゲームとはいえ、ドローに持ち込めなかったことは、久保にとって最大の失望となったのは間違いない。彼は全てを上手くやり遂げた。前半はとくに素晴らしく、先制点をアシストし、オフサイドに取り消されたもののゴールも決め、さらにミケル・メリーノへのラストパス、ケパ・アリサバラガに阻まれたシュートなど、マドリーのゴールを何度も脅かした。彼は、自身が世界のエリートプレーヤーであることを世界に示した」と、その抜きん出た仕事ぶりを称えている。
さらに、個別評価の記事においても久保への賛辞は止まず、「タケは、サンティアゴ・ベルナベウで『博士号』を取得した。この日本人選手は素晴らしいプレーを見せ、とりわけ前半は試合全体に危険をもたらした。彼は世界的なスターだ」と、そのプレーを総括した。 続いて、バルセロナのスポーツ紙『MUNDO DEPORTIVO』は、ソシエダが前半のリードを守り切れずに逆転負けを喫したことで、「真夏の夜の夢。最上級の久保を擁するラ・レアルは、前半の“魔法”を無駄にしてしまった」と報じる中で、守勢となった後半においても「タケはチームの光となっている。彼がいなければ、ソシエダはさらに押し込まれていただろう」と記述。そして、ソシエダにおけるベストプレーヤーに選定している。
また、個別評価では「最高の状態にある」として、「前半の彼は、神のごとく感じられた。バレネチェアのゴールをアシストし、幻となったが豪快にミドルシュートを決め、対峙するフラン・ガルシアやクロースを簡単にかわし、GKのケパを慌てさせた。(マドリーの)フロレンティーノ・ペレス会長は、メモを取ったことだろう」と賛辞を並べた。ただその一方で、「後半はほとんど何もなかった。もっとも、それはソシエダのすべての選手に当てはまることだ」とも付け加えた。
同じくバルセロナに拠点を置く『SPORT』紙は、久保のオフサイドで無効になったシュートに注目。「なぜ主審は久保のゴールを取り消したのか?」と題した記事で、「タケは本当に素晴らしいシュートを決めた」と称賛しながらも、「ソシエダのキャプテン(オジャルサバル)はシュートの軌道に入り、オフサイドの位置でわずかに背中でボールに触れた。仮にボールに触れなかった場合でも、ゴールは認められなかっただろう。なぜなら、彼はシュートの軌道上にいて、ケパの視界を妨げたからだ」との見解を示している。
日刊紙『El Pais』は、試合レポートに「マドリーが久保に抵抗」という見出しを付けて、いかに久保が古巣を苦しめたかを強調。記事中では、「最初の4試合で3ゴールを記録してベルナベウに戻ってきた日本人選手は、危険で、想像力豊かで、致命的な選手に進化した。彼のプレーは毒気を欠いていない。彼のプレーは、相手に高いレベルの警告を発していた」と、22歳の成長ぶりを説明した。
最後に、地元バスクのメディアでは、日刊紙『noticias de Gipuzkoa』が、10点満点の採点で「8」を与えて、この試合の最優秀選手に選定。寸評は「圧巻のパフォーマンス。現時点でラ・リーガ最高の選手だ。相手はしばしば、彼を止められなかった。ゴールをアシストし、ゴールを決め(オフサイド)、スクリューシュートでもゴールに近づいた他、スペクタクルなクロスをメリーノに提供した。後半はファウルで止められ、主役の座を失った」と、前後半で対照的な内容となっている。
構成●THE DIGEST編集部
【動画】久保建英が輝きを放ったマドリー戦のハイライトをチェック!
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2023年9月19日