春の勢力図は簡単には覆せない
2000年、京都新聞杯が春に移り、関西圏の菊花賞トライアルは神戸新聞杯のみになった。これ以降、神戸新聞杯から菊花賞馬になったのは16頭。勝ち馬ではディープインパクト、オルフェーヴル、コントレイルといった三冠馬を含む6頭で、2着馬からはアサクサキングス、キセキの2頭、3着馬はエアシャカール、トーホウジャッカルら6頭。ここまで14頭で、残る2頭は神戸新聞杯5着ザッツザプレンティ、6着ヒシミラクルだった。
この16頭のうち神戸新聞杯の前のレースが日本ダービーだったのは7頭で、ダービー4着以下から神戸新聞杯経由の菊花賞馬は二冠馬ゴールドシップただ1頭。春の勢力図を逆転するのは容易でない。その一方、神戸新聞杯の前が条件戦だった菊花賞馬もヒシミラクル、オウケンブルースリなど5頭もおり、新勢力による秋の逆転もなくはない。神戸新聞杯で春の勢力と競った経験が菊花賞で大輪を咲かせる。
データは中京施行の3年間も含め10年分を使用し、一部阪神施行の7回でもみていく。

1番人気は【6-1-0-3】勝率60.0%、複勝率70.0%と堅調。かつ前走がダービーだと【6-1-0-2】。6勝はいずれもダービー3番人気以内の馬だった。着順ではハーツコンチェルトが上だが、3番人気8着ファントムシーフが1番人気になるなら、かなり手堅くなる。
以下、勝ち馬はすべて5番人気以内で、6番人気以下の伏兵は2、3着に入れるかどうかといった程度。基本的には上位人気同士の決着になる。
ファントムシーフとハーツコンチェルトの力関係
今年も例年と同じくハーツコンチェルト、ファントムシーフらダービー出走馬と、ロードデルレイ、ナイトインロンドンら夏に2勝クラスを突破してきた馬の力関係がカギになる。

前走クラス別成績をみると、前走GⅠが【9-6-2-33】勝率18.0%、複勝率34.0%と圧倒的で、このほとんどはダービー【9-6-2-31】。まずは春の勢力図を分析することからはじめよう。

前走ダービーの着順別成績はハーツコンチェルトの3着【1-2-0-0】を含め、4着以内【8-4-0-4】、5着以下【1-2-2-26】とここに境界がある。基本はダービーの成績を素直に神戸新聞杯へ当てはめていい。こうなると7着シーズンリッチ、8着ファントムシーフは一歩後退となってしまう。
ただし、上記で触れたが、ダービー3番人気以内だと【6-2-0-0】、6番人気以下【2-4-1-25】。ダービー組は「上位人気かつ好走」が条件であり、今年のようにちょっとでも波乱になると、秋の勢力図は混沌としてしまう。まして今年は1~4着タイム差なしのダービー史に残る大接戦であり、ハーツコンチェルトとファントムシーフの間に大きな差があるとは思えない。ハービンジャー産駒の国内平地GⅠは5勝中4勝が3歳秋のものであり、ファントムシーフの逆転というシナリオも十分ある。
条件戦組は距離に注目
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近年劣勢の前走条件クラスは、芝2400mの距離を踏まえ、阪神開催の7年間に絞ってみていく。

内訳は前走1勝クラス【0-0-0-12】、2勝クラス【0-3-2-25】複勝率16.7%。さすがに古馬2勝クラス程度の実力がないと、限定戦とはいえ重賞では通用しない。