top_line

【クイズ】初めて宇宙に行った日本人の職業は何でしょう?

マーキュロ[1万字インタビュー第2回]翠城ニアが決めた大いなる覚悟「今は正真正銘アイドル1本で生きている」

Pop’n’Roll

耽美的で退廃的な世界観を押し出し、現在のライブアイドルシーンの中で異彩を放ちながらも、その存在感を急激に高めているマーキュロ。“絶望”を歌いながら多くのファンの心を鷲掴みにしている7人のダークヒロインの素顔に迫るため、今回、メンバーそれぞれ1万字に及ぶパーソナルインタビューを敢行。これまでの人生とマーキュロでの活動についてじっくり語ってもらった。第2回目となる本日は、翠城ニアのインタビューをお届けする。

今もずっと中二病なんです

ーー小さい頃の夢はなんでした?

ニア:
小学生の時の夢は海賊になることでした。

ーー『ワンピース』的な?

ニア:
いえ、『パイレーツ・オブ・カリビアン』!

ーーそっちかぁ! ガチな方だ(笑)。

ニア:
アハハハハ(笑)。自分、昔から中二病だったんですよ。幼少期って、みんなアンパンマンが好きじゃないですか。自分はブラックロールパンナちゃんが1番好きで(笑)。

ーー(笑)。ヒールというか、ちょっと陰のある人が好きだったと。

ニア:
何かカッコいいなぁって。だからアイドルとかに憧れはなかったですね。ちゃんとした将来の夢はなかったんですけど、マーキュロに入る前はアパレルをやってたんです。服やファッションが好きだったので、アパレル関係の仕事はしたいなとは思ってました。服のデザインとかそういう系の仕事をやりたいなって。今でもそういう仕事に関われたらなとは思ってます。

ーー好きな系統の服は?

ニア:
何か流行を入れつつ、ユニセックスな感じが好きですね。女の子らしい服より中性っぽい感じの。ラッパーみたいな服装が好きです。派手で、ストリートで、でも地雷も入ってるみたいな。なんていうんだろうな、サイバー系、サイバーパンクみたいなのが好きです。あとは今、Y2Kっていう、ちょっと昔のギャル文化がまた再ブームになっていて。Y2Kファッションが好きです。可愛いなって。その当時のギャルは今いないじゃないですか。でもメイクや服装だけ昔のギャルっぽい感じで、今風にやってるのが可愛いなって。

ーーニアさんを始め、マーキュロのみなさんの私服はロック色が強いですね。

ニア:
みんな服装の好みも似てるんです。趣味が合うので、マーキュロの子たちと服買いに行ったりもします。性格や好きなものが似てる子が集まってるので。だからプライベートでもよく遊んだりするんです。それくらい居心地がいいですね。

ーーちなみにニアさんが中二病を発症したのは、いつですか?

ニア:
えー、いつなんだろう……? 本当に昔からなんで、中学2年生以前から。初恋の相手がエド(エドワード・エルリック『鋼の錬金術師』)だったんですよ!

ーーおお(笑)。

ニア:
なので、昔は“錬金術師になりたいっ!”とか言ってました(笑)。

ーー絵に描いたような拗らせ方ですね!

ニア:
だから今もずっと中二病なんです、フフフ。

ーー学生時代は何か部活に入ってました?

ニア:
高校生の時はボランティア部に入ったんですよ。進路で優遇かなと思って。

ーー下心……(笑)。

ニア:
なんかボランティアって、響きがいいじゃないですか。優しそうみたいな(笑)。……って入ったんですけど、サボりすぎて、1回も行きませんでした。

ーー意味ない(笑)。

ニア:
そしたら急に退部させられて。気づいたら帰宅部。逆に進路に響くっていう……。

ーーダメじゃないですか(笑)。そこからずっと帰宅部ですか?

ニア:
帰宅部でしたね、ずっと遊んでました。運動が本当にできなくて。でも唯一、水泳はできるんですよ。幼少期に習っていて、めっちゃ泳げるんです! でも、泳げると言っても、クロールしかできないんですけどね(笑)。クロールはめっちゃ速いです。25m息継ぎなしで行けるんですよ。

ーーおお! 勉強はどうでしたか?

ニア:
勉強大嫌いです。泣きながら勉強してました。テストの前日、ギリギリ寝る直前にちょっとだけ勉強するみたいな。本当に嫌でしたね。めっちゃ赤点取って。30点ぐらいだったな、日本史。日本史とか世界史とか、社会的なやつが本当にわかんなくて。人の名前とか覚えるのが苦手なんですよね。赤点取ったら再テストやるんですけど、100点だったんです。30点から一気に100点、同じ問題だったから丸々覚えた!

ーー覚えるのが苦手なのに、100点はすごいですね。

ニア:
今もヲタクさんたちの名前を覚えるのは苦手と公言してるんです。覚えるために、チェキにサイン書くためのバインダーに名前とか書いたりしてます。来てくれた日と、名前と、そうやって覚える努力はしてますよ。

ーー友達はいた方ですか?

ニア:
昔はめっちゃいたんですよ。友達に取り合いされるくらいだったんですよ。みんな“ニアちゃんと一緒にいたい”みたいな。誰が僕の隣で手を繋ぐか、喧嘩が始まったり……だったんですけど、最近は狭く深く。仲よくなったら依存しちゃうタイプなんで、その子とばっかりしか遊ばなくなる。だから友達は少ないです。友達、欲しいですね……欲しいです!

ーーここでアピールしておかないと(笑)。意外と活発だったんですね。

ニア:
はい、高校の頃まではけっこう暴れてましたね。よく怒られたりしてました、先生に。校則が厳しくて。1回髪を染めたんですよ。夏休み期間に自分でブリーチして、オレンジ色でヤンキーみたいな感じにして。でも1回ブリーチしちゃうと黒く染めてもすぐに色落ちするじゃないですか。毎月頭髪検査があって、いつも引っかかってました。居残りとかも。あとは雑巾がけとかさせられたり、廊下に立たされたりとか……。

ーーめちゃくちゃ問題児じゃないですか。何やらかしたんですか。

ニア:
全然覚えてないんですよ、悪いことした覚えがなさすぎる。校内放送で名指しで呼び出しされたこともあって。“何年何組、翠城ニア、今すぐ職員室まで来なさい”みたいな。そう、ケータイ禁止だったんですよ。持って行くだけでもダメ。学校で必要以上にいじらないとかだったらわかるんですけど、持って行くこと自体がダメで。ケータイ見つかって没収されたのは、20回くらいある。ずっと問題児でした。毎日怒られてました。偏差値がめっちゃ低い学校だったからこそ、校則は厳しくて。

悲しいし、悔しい、でも見返してやるという心は人一倍ある

ーーいじめを受けていたことを訊いても大丈夫ですか?

ニア:
はい、大丈夫です。中学の時なんですけど、女の子からハブられるとかならなんとなくわかるじゃないですか。でも、クラスのメンズに“顔が嫌い”みたいな、そういう理由で。それだけじゃなかったのかもしれないんですけど。

ーーよくわからない理由でいじめられたりしますよね……。

ニア:
周りに相談する人もいなくて。自分から言えないからつらかったですね。でも1回学校休んだりしたら、もう2度と行かないだろうなって、そう思ったから、毎日泣いてましたけど、絶対に休まないと決めていて。定番の消しゴムを投げられたりとか、めっちゃ悪口を言われたりとか……めちゃくちゃつらかったですけど、負けたくないなって。そこでメンタルは鍛えられましたね。

ーー強いですね。

ニア:
でも休まなくてよかったなって、思いました。気づいたらもう終わってたんで。乗り越えるまでは、けっこう長かったですけど。

ーーそういうこともあって、高校ではじけたわけですか。

ニア:
高校デビューなんですかね?(笑) でも中学の時から暴れてはいましたね。中学生でバリバリ化粧して、髪の毛染めて、友達とプリクラ撮りに行って、それをSNSに載せて。そしたら自分のヲタクじゃないですけど、ほかの高校の子が“可愛いね”と言ってくれて。それで友達とその子の学校へ一緒に乗り込むんですよ。自分たちは学校サボって、違う高校の子の体育の授業を外からフェンス越しに見たりして。それで放課後に会って一緒に遊ぶ、みたいな。そこで初めて会う人たちなんですけど。

ーーかなりアクティブですね!

ニア:
そっちの高校の子も化粧とかして、ギャルっぽくて。ギャル友みたいなノリで会ったりしてました。

ーー化粧や髪を染めたのは、ある意味、変わりたい願望みたいなところがあったんですか?

ニア:
はい。化粧を始めたのも、いじめが“顔が嫌い”みたいな、容姿から受けていたことだったので、それを変えたいと思いました。化粧をして、服装も派手に。そしたら何も言わなくなってきたんですよね。

ーーそこで、ニアさん自身が変われたわけですね。

ニア:
ええ、自分の中で気持ちが変わりました。見返したいという一心でやってたので。悲しいし、悔しい……でも見返してやるという心は人一倍ありますね。今はないんですけど、アイドルになってからもアンチとかがいた時期があって。ネットに悪口を書かれたり、誹謗中傷もされたりとかしてたんです。でも、いじめられた過去の方がつらすぎたので。そういうアンチの人たちも見返そうっていう気持ちが強かったですね、病むよりも。結果、今はもう何も言わなくなったんで、見返せたかなと思います。

ーー音楽はバンドが好きなんですよね。

ニア:
バンド好きです。昔から、ヴィジュアル系も。こう言ったら怒られるかもしれないけど、ヴィジュアル系って中二病っぽいじゃないですか。だからすごくそういうのに憧れましたね、フフフ。

ーーバンドを好きになるきっかけがあったんですか?

ニア:
親が聴いてたんですよ。親がめっちゃラルク(L’Arc〜en〜Ciel)が好きで、車の中でずっとかかってたので。ラルクも、HYDEさんも、VAMPSも、一緒にライブに行ったりしました。VAMPSはめっちゃ行ってました! <HALLOWEEN PARTY>があるじゃないですか。あれ、めっちゃ好きだったんですよ。毎年仮装してライブをやるっていう。お客さんもめっちゃ仮装してくるから、自分たちも仮装して行きました。世界観も好きで、ステージのセットとかめっちゃ可愛くて。毎回衣装やコスプレがガチすぎて、めっちゃ2次元! (『黒執事』の)シエル(・ファントムハイヴ)のコスプレしてたんですよっ! HYDEさんがっ! “もう本物じゃん!”って。

ーー完全にヲタクの早口調だ(笑)。

ニア:
うふふ(笑)。そういう世界観的なもの含めてすごい好きですね。グッズとかもめっちゃ可愛いし。音楽も好きだし世界観も好きでした。だから、今に通じるというか、そういう趣味があったからこそ、マーキュロのコンセプトも世界観もすごく好きです。ヴィジュアル系やバンドは小学生の時からずっと好きですね、今も。

ーーバンドの入口は、ラルクだったんですね。

ニア:
はい、そこからいろんなバンドを知って、フェスにも行ったり。ライブキッズだったんですよ。ロッキン(<ROCK IN JAPAN FESTIVAL>)とか、邦ロック系のフェスに遠征したりしてましたね。

ーー邦ロックだと、どの辺のバンドが好きなんですか?

ニア:
王道なところだと、ONE OK ROCK、マイファス(MY FIRST STORY)、SiMとか。

ーーみんな、激しいラウドロック系ですね。

ニア:
ですね、激しいのが好きです。ダイブとかもしてましたよ!

ーーええーっ⁉︎ 想像つかない……。

ニア:
ライブキッズだったんで(笑)。今、アイドルさんのライブでもリフトとかする人も多いじゃないですか。そういうことをやってましたね。ただ、バンドのライブキッズって、リフトじゃなくてダイブ、人の上を転がるんですよ。転がって、ステージ前の柵まで行ってまた戻って転がって、みたいなことをしてました。それで足を怪我したりとかも。あとは最前に行った時に、上からダイブしてくる人に巻き込まれたりして。気づいたらエクステが全部取れてた。床にめっちゃエクステ落ちてて、“怖っ!”みたいな(笑)。だからそういうことには耐性ありますね。今のアイドルライブだったら“ここひろ”とかあるじゃないですか。ああいうフロアを見て、楽しそうだなって思うし。自分もやりたいな、みたいに思いますね。

翠城ニア

みんなが必要としてくれているからこそ、自分も応えたい

ーーアイドルに興味はありました?

ニア:
アイドルは本当に知らなくて。自分がアイドルになってから知りました。無知の状態でこの世界に入ったので、最初は全然知らなかったんです。

ーー何も知らなかったアイドルを自分でやろうと思ったきっかけはなんだったんです?

ニア:
最初は友達に誘われたから、楽しそうだからやってみようかな、っていう軽い気持ちで始めたんです。徐々にアイドルのことをたくさん知っていきました。楽しいだけじゃないなっていうのもわかったし。ヲタクさんたちが自分を応援してくれることが生きがいになったりもして、“アイドルっていいな”と思うようになりましたね。最初は本当に趣味程度でやろうかな、楽しそうだから、っていう理由だけで始めたんです。

ーー偏見とかはなかったですか?

ニア:
偏見はなかったけど、なんというか、アイドルさんといったらキラキラの可愛い系を想像するじゃないですか。でも自分は、絶対にそれはできないと思って。根がそうじゃないから。だからこういう自分みたいな人間でもアイドルができるんだなって思いましたね。キャピキャピもしてないし、キラキラ系でも清楚でもない、それでアイドルが成立するなんて思ってなかったです、最初は。

ーーステージに立つ、人から見られることに関してはどうでしたか?

ニア:
本当に目立つのが嫌いなんですよ。陰キャなので。できるだけ人目に触れたくないと思ってたんです。でも謎にアイドルしていて……なんでやってるんですかね?

ーーそれを訊いてます(笑)。

ニア:
アハハ(笑)。本当に最初は軽い気持ちで入ったんで。目立つのはあまり得意ではないですね、今も。でもヲタクのことが好きすぎて、そこに生かされてる気がします。

ーー自分のことを好きでいてくれるから?

ニア:
それはありますね。自分自身が自分の価値をあんまりわかってないんです。自分を大切に生きられない。だからヲタクの子たちに頼っちゃう部分もあるんです。自分の存在意義、ヲタクたちがいるから自分が生きていていいんだ……なんかめっちゃ重いですけど(笑)。ここに存在していいんだって、みんなが思わせてくれるからアイドルをやれてますね。

ーー自分が他者から必要とされるのを感じられていると。

ニア:
あとは必要としてくれてるからこそ、自分も応えたいっていうか。自分のことを好きになってくれてるからこそ、そういう子たちを幸せにしたいなって思うんです。つらいことも、誰も守ってくれないんだったら、自分が守ってあげたい。ヲタク愛がすごいのかもしれない。だからヲタク1人ひとりのことを考えて病んだりもするんですよ、自分。ヲタクの子たちも病み体質の子たちが多いし、自分もそうだから、気持ちがわかる。みんなの気持ちをわかってあげられる存在になりたいなって。

ーー最初にアイドルになって、実際にステージ立った時、何を思いましたか。

ニア:
最初は緊張しかなくて。ダンスなんてやったことないし。歌も得意なわけじゃなかったんですけど、ステージに立ってるからこそ、自分の存在意義を実感して。今でも上がる前は緊張することが多いんですけど、ステージ上では楽しくやってますね。人を幸せにできたらいいなって思ってます。活動を通して。それが自分のできることかなって思うので。

ーーそれによって、自分も幸せになれる。

ニア:
そうですね。みんなと共依存したいです。

以前は自分のためだけにアイドルをやっていた、今はどうしたらみんなを幸せにできるかを考えている

広告の後にも続きます

ーーマーキュロには、(我執)キルさんに誘われる形で入ったんですよね。

ニア:
そうです、もともとキルのヲタクをしてたんですよ、自分(笑)。仲よくなりたいなって思っていて。インスタとかは繋がってたんですけど、会ったことはなかったんで。キルが働いてるお店に会いに行ったりもして。そこからちょっと仲よくなって、プライベートで遊んだ時に、“アイドルやりたいんだよね”ってキルが言ってたんです。当時自分は前のグループにいたんですけど、ちょうど辞めようかなと思ってたりしてたので、相談もしてたんです。で、キルがアイドル始めるっていう時に“一緒にやりたい”と言ってくれって、それで入りました。

ーーその時はグループのコンセプト的なものはできていたんですか?

ニア:
いえ、どんなグループかもまだ決まってなくて、何もわからない状態で入りました。ただ、キルも自分もこういう身なりなんで(笑)。そういう系のグループになるんだろうなっていうのは、思ってはいました。

ーーそこから、マーキュロができました、こういうコンセプトです、と聞いた時の印象はどうでしたか。

ニア:
ヴィジュアル系が好きだったから、“昔のR指定さんみたいじゃんっ!”って。

ーーそこでR指定が出てくるとはさすがですね(笑)。

ニア:
なので、理解はあったんですけど。でもヴィジュアル系バンドさんだったら、こういうコンセプトも多いと思うんですけど、アイドル界で言ったらあまりいないなって。病み系のアイドルさんは多いと思うんですけど、病み系というより、もっとヴィジュアル系の世界観っていう。そういうアイドルさんを見たことなかったんで、新しいなとは思いました。“めっちゃやりたい!”と思いましたね。

ーーコンセプトも、曲も、アー写も、がっちり作り込まれた世界観で、自分もここまでのアイドルは初めて見ました。

ニア:
<見世物小屋>はSEがいつもと違ったんですけど、ワンマンならではの構成がされていて。ステージセットも衣装も世界観も含めて、マーキュロらしく作ってもらえる。ヴィジュアル系もファッションも好きな自分としては、そうやってちゃんと作り込まれていることがものすごく嬉しいですね。

ーーその作り込まれた世界観にメンバーさんがマッチしてるのもいいですよね。やらされていないし、演じてもいない。

ニア:
ああ、やらされても演じてもないですね。自分は隠し事とかもできなくて。全部をさらけ出したいから、取り繕うことはないですね。だからありのままの自分を好きになってくれるのが嬉しい。そういう人たちを大切にしたいなって思います。

ーーメンバー全員、飾ったところがないのがいいなと思うんです。見た目からすると想像し難いけど、みなさんびっくりするくらいナチュラルだし。

ニア:
見た目は飾ってますよね。見た目だけは(笑)。うん、作ってない、作ったことはないですね。アイドルだし、作った方がいいのかもしれないけど(笑)。ラフな感じでやらせてもらってます。マーキュロが“傷を癒す存在”っていうコンセプトだから、自分も傷を見せていきたい、共感できるようにしたいなって、そう思ってるところもあります。

ーー前のグループからマーキュロに入って、何が変わりました?

ニア:
前の時は全然ライブをやってなかったんですよ。あとダンスも振付師さんが付けてたわけじゃなくて、自分たちでやったりしていて。事務所も入ってなかったんです。なので、頼る人もいなくて全部自分たちでやってました。だから、ちゃんとしたアイドル活動はあんまりなかったんです。今は事務所に入って、ライブ本数もめっちゃ多いし、プロデューサーさんがいて、振付師さんもいる。だから、意識が変わったというか。前は趣味程度にやってましたけど、今は正真正銘アイドル1本で生きている。自分はアイドルで生きていくんだという覚悟を決めたことが大きいですね。

ーー覚悟を決めて、プロ意識が芽生えた反面、考えが甘かったと感じさせられた部分もありますか?

ニア:
ああ、ありますね。前は適当にアイドルやってたんで。悩むことは増えたかもしれないです。本気でやるからこそ、どうすればいいか、どうやったらヲタクの人たちを幸せにできるかだったり。より一層いろんなことを深く考えるようになりました。パフォーマンスも、どうすれば綺麗に見せられるようになるかな、どうやったら楽しいライブになるんだろうとか。前は自分のためだけにやってた部分が大きかったので。今はどうしたらヲタクさんを幸せにできるかっていう方へ考え方がシフトしましたね。

翠城ニア

誰も認めてくれないなら、僕が認めてあげるよ

ーーマーキュロとして1年強、活動して来ましたけど、転機はありましたか?

ニア:
やっぱり大きいライブ、半周年(<始動半周年記念ライブ『秘密サークル』>/2022年12月23日 WOMB)や1周年(<一周年東名阪単独追加公演『見世物小屋』帝都編>/2023年6月26日 恵比寿LIQUIDROOM)は、“これがマーキュロだ”という感覚がわかった転機でした。マーキュロは激しい曲が多いし、バンドっぽい感じとか、そういうのをみんなが求めてるから。自分も勉強して、いいライブにしたいな、お客さんが楽しめるライブ作りをしたいなっていう想いが強くなっていきました。最初はマーキュロはどんな感じがいいのか、全然わかんなかったんですけど、ライブをいっぱいやっていくうちに、だんだんとそれがわかっていきました。

ーーマーキュロは、ほかのアイドルにはいない層への訴求力が高いと思うんですよ。アイドルヲタクではない層、ヴィジュアル系ファンもそうだし、激しいロックファンにも刺さる。コンセプトや歌詞に共感したりもする。

ニア:
そうですね、そこはアイドルとして新しいなと思います。音が好きとか、ビジュアルやコンセプトが好きっていう人も多いので。それは強みだと思います。マーキュロのほかにはいないと思うので。

ーーここ半年くらいで、アイドルシーンの中にマーキュロが先導するムーヴメントができてきたと感じてるんです。前までは“異色”で片付けられていたものが、病みや闇、ヴィジュアル系や地雷系も含めて、界隈みたいなところができてそれがちゃんと認知されている。その中心にいるのがマーキュロという。

ニア:
ああ、そうですね。マーキュロはアー写も目立つじゃないですか。だからキラキライベントに出た時にフライヤーでめっちゃ浮くんですよ。マーキュロだけ色もパキッとしていて目を引く。だからこそ見つけてくれる人もいたり。確かに最初は異色な感じだったんですけど、最近はマーキュロの知名度が上がってきたのか、理解が増えてきたなというのは感じます。アイドルだけどアイドルっぽくない、アイドル界でのそういうポジションだなって。それがものすごくいいなって思いますね。

ーーちょうどこの記事がアップされるのが、9月からの関東ツアー<失楽園>が始まった頃なんですけど、どんなツアーにしたいですか?

ニア:
<見世物小屋>が今までの中で一大イベントだったので、それを超えるライブにしたいです。こないだはバンドセットも初めてだったし、難しかったんですよ、音がけっこう違ったりしたので。映像を見返した時に“もっとこうしなきゃ”という反省点がたくさんあったから、前回の<見世物小屋>を超えるようなものにしたいと思っています。あと、ツアーファイナルの芝居も初挑戦なので。それもどうなるかまだちょっとわかんないから、不安なんですけどね。でもそういうことやってるアイドルさんはいないから、そこも新しいし、興味持ってもらえるように頑張りたいです。

ーー芝居も含めて、マーキュロだからできることって強みですよね。

ニア:
そうですね、中指立てるアイドルなんていないじゃないですか。自殺とかもそう、負の感情を普通に言ってるし。そこから共感を得られたりもすると思うんで。マーキュロにしかできないことはまだたくさんあるはずだし、どんどん新しいことにチャレンジしていきたい。マーキュロだったら許されるみたいなことも見つけて、普通のアイドルではない特別な存在になりたい。アイドル界での、何でもあり! 自由だ!というグループになりたいな、アイドル革命したいです。

ーーで、ニアさん自身としては海賊になる、と。

ニア:
アハハハハ! 海賊は自分、モブで終わると思うんですよ。たぶん2秒くらいで、すぐやられる(笑)。そうだなぁ、自分としてはもっと自由にいきたいかな。感情も溜めこまずに。自分のキャッチフレーズで“世界を敵に回してもお前の味方”って言ってるんですけど、いじめた人とかアンチとか、自分も敵がいたからこそわかるんですよ。だから、いじめられてる子がいたら守ってあげたいし。僕を見て、それを乗り越えようと思ってくれる人が1人でもいるのなら、救いたいなって思います。自分がそういう過去の経験があるからわかってあげられるし、誰も認めてくれないんだったら、僕が認めてあげるよって、そう伝えたい。

『マーキュロ 1万字インタビュー』次回・珖夜ゼラは、9月20日(水)12:00公開予定

マーキュロ[1万字インタビュー第1回]我執キルが掲げた異形アイドルの狼煙「闇を照らす光のような存在になりたい」

<マーキュロ 主催ライブ 関東ツアー公演『失楽園』>

2023年9月16日(土) 千葉・柏ThumbUp
2023年9月17日(日) 群馬・前橋DYVER
2023年9月23日(土) 埼玉・HEAVEN’S ROCK さいたま新都心 VJ-3
2023年10月7日(土) 神奈川・川崎セルビアンナイト
2023年10月9日(月・祝) 茨城・水戸ライトハウス
2023年10月15日(日) 栃木・宇都宮HELLO DOOLLY

ツアーファイナル 2023年11月21日(火) 東京・Spotify O-EAST(生バンド、芝居構成)

<マーキュロ 我執キル 生誕祭『でっとえんど』なるべく平凡たる人 そう 僕が神様>

日時:2023年9月21日(木)18:30/19:00
会場:Studio Mixa
 
チケット:優先入場券 ¥5,000(マーキュロ キルカード、特典会ファストパス付)/一般 ¥2,000(1D別)

 
   

ランキング

ジャンル