耽美的で退廃的な世界観を押し出し、現在のライブアイドルシーンの中で異彩を放ちながらも、その存在感を急激に高めているマーキュロ。“絶望”を歌いながら多くのファンの心を鷲掴みにしている7人のダークヒロインの素顔に迫るため、今回、メンバーそれぞれ1万字に及ぶパーソナルインタビューを敢行。これまでの人生とマーキュロでの活動についてじっくり語ってもらった。第1回目となる本日は、我執キルのインタビューをお届けする。
薬飲んで、幻覚を見ながら学校に行ってた
ーー先日出演した、初めての<TOKYO IDOL FESTIVAL>はどうでしたか?
キル:
楽しかったです! でも、やっぱり異色だなと。楽屋を見回した時に、うちらしゃべってないのに、なんか顔面と髪色だけでうるせえなって(笑)。
ーーあははは(笑)。
キル:
“うちら、可愛い〜”ってなりましたけどね。それにマーキュロ、喫煙者が多いじゃないですか。みんなでぞろぞろ喫煙室に“お疲れ様でーす!”って行って、“なんだこいつら”みたいな(笑)。楽しかったですよ。
ーーそんな異色のアイドル、マーキュロを紐解くべく、メンバー1人ひとりに迫るパーソナルインタビュー企画、トップバッターはプロデューサーさん曰く、“1番ぶっ飛んでいる”という、我執キルさんです。
キル:
え〜⁉︎ 僕、そんなにヤバいのかなぁ(笑)。
ーーまず、キルさんがアイドルになる前になりたかった職業はなんですか?
キル:
幼稚園の時はプリキュア!
ーーあら、可愛らしい(笑)。
キル:
あはははは(笑)。漠然と“大きくなりたかった”というのがざっくりとした夢なんですけど。
ーー人前に立つ、有名になる、みたいな?
キル:
そうです。小学生からはモデルとか、洋服に携わる人になりたかったですね。それで、服飾の専門学校に入ったんですけど、そこで好きなものが嫌いになる怖さを知って、挫折しちゃったんです。
ーー勉強が大変でつらかったんですか?
キル:
勉強がつらかったのもあるし、人間関係、友達、交友関係もつらかった。とにかく生活するのが厳しくなっちゃった。最初は人と群れてたんですよ。いろんなことをしました、楽しいことを。放課後にみんなで喫茶店へ行って、お酒飲んだりしてたんですけど、そこで人間関係がごちゃってきて……人間が嫌いになりました。友達なのになぁ、って。そこからニートになっちゃいました。学校を休学して、人と関わらないように。もう、ネットで生きようと。配信をしたりして。
ーー引きこもってしまったと。小学校、中学校時代はどんな子でした?
キル:
小学生の時は1人でした。いじめられてたし。人としゃべれるようになったのが小学5年生くらい。笑えるようになったのもそれくらい。無愛想な人間だったので、愛嬌をつけようと思って。家庭環境がよくなかったので、幼いなりにしんどかったなぁって思います。でも、小学5年生くらいからは友達ができ始めて。中学生はずっと部活動を。ソフトテニス部で、とにかく負けず嫌いだったので、いろんな賞を取らないと気が済まないくらい熱中してました。
ーー活動的になったんですね。
キル:
自分を追い込むことは、その時から好きだったのかな。身体を動かすことも嫌いそうだけど、意外と好きだったりする。松岡修造が宿ってるんでね、心の中に(笑)。
ーー意外と熱血(笑)。テニスは高校でも続けてたんですか?
キル:
高校は特待生で入ったんですよ! 特待生だから“お金もらえる!”と思って。母子家庭なんで、親のことも考えたりしたんです。そしたらマジでキツくて……。スポーツ科だったんです。普通科と頭がいい看護科とかがあったんですけど、その中でスポーツ科は全員部活動をやってる人しかいない。そこに入ったんですけど、つらくて辞めたんです、4ヵ月で。厳しかったし、先輩との上下関係も好きじゃなくて。自分の方が強いのに、先輩に怒られるのも嫌で。それで先輩の顔面に球投げたりしてしまって。めっちゃ反抗的でしたね。で、辞めてしまった。
ーー特待生なのに辞めてしまった。
キル:
自分だけ4ヵ月で辞めたから、スポーツ科の中で1人だけ帰宅部っていう意味わからない状態。みんなから“あいつ辞めたんや、ヤバくね”って、気まずかったですね。でもみんな“つらい、つらい”言ってたから、内心は“お前らも辞めれば?”と思ってたけど(笑)。それで辞めてからはめっちゃ遊びまくってましたね。ヲタクしてたんです、BIGBANG、BTSとか、K-POPアイドルの。おもにBIGBANGなんですけど、学校休んでバイトして、ライブ全通してました。それくらい夢中になってました。
ーー高校生で全通は気合い入ってますね。勉強はどうでした?
キル:
勉強はしてないですね、あははは!(笑) 2年生になってから普通科に移ったんですよ。そしたら、可愛い女の子がいっぱいいる! みんな化粧していて。今まで知らなかった世界に出会った。
ーースポーツ科だと、そういう子はいないですもんね。
キル:
それで、学校一の美女が僕のことをめっちゃ好いてくれたんですよ。その子から化粧を学んだり、スカートの丈をどうやって短くするかとか、女の子らしく生きたな。みんな可愛かったし、そういう可愛い子の中で、自分も可愛くなるのを頑張ってました。その子たちに勉強も教えてもらってました。放課後にスタバとかで。
ーーいい青春ですね。それで無事に卒業した。
キル:
はい、無事に。なんで卒業できたんだろう? なんかできましたね(笑)。
ーーで、服飾の専門学校へ。
キル:
自分は服飾へ行って、モデルになって、パリコレに行くんだという気持ちだったんですよ。でも現実は甘くなかった。服を作るのは好きだったんです、ミシンを使ったり。モデル、スタイリングしてもらうのも好きだったんですけど、マーケティングとか座学がすごく苦手で。いろんなブランドの調査とかもしてたんですけど、全然わからなかった。学校も厳しくて。1クラス60人いたんですけど、夏休み明けに半分くらいになるんですよ。みんなつらくて辞めちゃう。
ーーそれは厳しい……。
キル:
でも、友達が卒業する時には“おめでとう”を言いに行ったりとか、学食を食べに行ったりしました。退学したのに、しれっと(笑)。服飾学生楽しかったなぁ。楽しかったのにねぇ……鬱病になってしまったので、動けなくなっちゃった。
ーー学校の厳しさと人間関係が重なって……。
キル:
1回休学したんです、半年くらい。文化祭があったんですけど、洋服を作る係で、それで“もう無理!”となって、行かなくなって。どれくらいで辞めたんだろう。1年くらいかな。次の年の入学式くらいの時に退学しました。
ーー学校に行けなくなってしまったんですね……。
キル:
家から出られなくなっちゃって。毎日薬を乱用して。市販のですけど。誰かに叩き起こされないと行けない、気が狂わないと行けない状態。薬を1シート丸々飲んで、幻覚見ながら学校行ってた。駅員さんに自分の身体を指して“ここにムカデがいるんで取ってください!”とか、“あそこに人がいます!”とか、電車の中で叫んじゃったりしてました。パニック障害。電車に乗るのもつらかったですね。学校まで2駅だったのに。もうダメだ、迷惑かけられねぇと思って……。
ーー閉じこもってしまった。
キル:
殻に閉じこもりました。自分だけの世界へ。ひたすらアニメと漫画と映画と音楽に浸ってた。ネットで漫画買って、Uber Eatsでご飯頼んで、映画観る。夜になると病んじゃうから、薬をいっぱい飲むっていう生活を1年くらい。だから1年くらい時間を無駄にしたなって思うんですけど。でも、病んでなかったら出会わなかった作品がいっぱいあったから、その1年間も無駄ではなかったのかなと思ったりもします。ハッピーに生きていたら気づけないことがいっぱいあったなって。逆に病んだくらいが幸せを見つけやすいんじゃないかなって、今となってはそう思います。
コンカフェでいろんな人の人生を深く知れた、学ぶことが多かった
ーー閉じこもった生活から抜けられるきっかけはなんだったのですか?
キル:
1回実家に帰ったんですよ。愛媛なんですけど。本当にヤバくなって。足の感覚がなくなったりして、1人でお風呂に入れないくらい。自分でも“これはヤバいな”と思った。それで救急車で運ばれたんだっけな……ちょっと記憶が曖昧なんですけど、それで実家に帰されて。3ヵ月くらい実家で廃人。ずっと部屋でタバコ吸って酒飲んで、アニメ観て、映画観て、っていう毎日。だから引きこもってたのは、1年3ヵ月くらいか。で、“自分、そろそろ東京帰んなきゃ”って、ある日突然思ったんですよ。
ーーそれは誰かに何かを言われたのではなく、自分からそう思ったんですか?
キル:
たぶん、人間ってとことん沈んだら、浮いてくるようになっているんじゃないかな。服飾学生時代からの友達からは“東京へ帰っておいでよ”とは言われてたんですけど、ずっと無視してました。でも、みんないいヤツばっかで、僕が無視しても、“まだ帰ってこないの?”って言ってきてくれたから。だから“なんか仕事ない?”って訊いて。で、仕事もらいました。コンカフェなんですけど。それで東京に帰ってきた。
ーー愛媛からまた東京に出てくるのはかなり勇気が要りますよね。
キル:
めっちゃ要りましたね。怖かったです。久々に外の空気吸ったな。
ーー東京に帰ってきてどうでした?
キル:
愛媛の自然を見て、東京に帰ってきたから“きったねえな!”って(笑)。まぁ、自分もきったねえし、きったねえところが似合ってるから、ここで生きようって。
ーーずっと引きこもっていたのに、コンカフェで働くって、めちゃくちゃハードル高くないですか?
キル:
高いですよね⁉︎(笑) でも、その間SNSは動かしてたんですよ。謎に見てくださる人がいて。病み界隈、闇属性だったんで、自分が思ってることをSNSに吐き散らかしてたら同族が集まってきて。配信もして、それを見てくれた人がいた。配信で人とのコミュニケーションは取れてたから。相手は文字ですけどね。昔はファンの子をインスタの配信に上げてしゃべらせたり、めっちゃ近い距離だったんですよ。だからコンカフェでも、なんとかなりました(笑)。友達もいたので、一緒に働くっていうのもあったから心強かった。
ーー自分的にしっくりきたわけですか。
キル:
そうですね、そこで人と話す能力が身についたし。1年半、2年間くらい働いてましたね。掛け持ちして。愛媛から東京に帰ってきた時に働いてたコンカフェは半年くらいやっていて。僕が好きなコンセプトのコンカフェがあって、そこから“働きませんか?”っていう声が掛かったので、両方やってました。楽しかったな。お酒はキツかったけど(笑)。
ーー引きこもり癖もよくなりました?
キル:
いやぁ、めちゃくちゃ遅刻と当欠はしてましたね。やっぱり、初めの半年くらいは抜けなくて。時間の逆算ができなかったり。いまだにたまにあるんですけど、心臓がバクバクして、電車で“わー!!”ってなる時があるし。普通にお酒が残っていて、今日行けません、みたいな日もあったし。めっちゃクソ野郎でした(笑)。
ーーでも楽しくやれてたんですね。
キル:
はい。キャストさんもみんないい人だったし、いまだに遊ぶような。お客さんもいろんな人種が来るから面白かったな。病み属性の人しか知らなかったから。病んでるけど“ウェーイ!!”って楽しそうな人もいるし、普通の会社員の人も来るじゃないですか。そういう人と話して社会の仕組みを知ったりとか。自分の接客は“今までどうやって生きてきたの? 僕に生き方教えてよ”みたいな感じだったので、いろんな人の人生を深く知れた、学ぶことが多かったな。
ーーそうやって、引きこもっていた時間を取り戻していった。
キル:
うんうん、そうですね。自分に会いに来てくれる人がいるんだっていうのもわかった。ずっとSNSでしかコミュニケーションを取ってこなかったから、実際に会いに来てくれる人がいるんだって、“うおおおー!”ってなりました。

我執キル
殻に閉じこもってた時にマーキュロがいたら、絶対ヲタクしてた
ーーコンカフェからアイドルになるきっかけは?
キル:
殻に閉じこもりながらも、自分の人生のやりたいことを書いたんですよ。“何年にこれをする、何年までにこれをする、ステージに立つ”というのを決めて。何かしらのステージに立ちたいというのはずっとあった。それはモデルでもいいし、なんでもよかった。とにかく目立ちたいというのがあったんです。コンカフェで働きつつ、SUZU(シンデレラ宣言!)や、アイドルの友達がいたので、アイドルに興味はあった。自分で決めたことはやらないと気が済まないから、いろんな人の話を聞いて。それで今のプロデューサーさんと話をして、“アイドルやります!”ってなりました。
ーーその、人生のやりたいことを見つめ直したのは、何かきっかけがあったのですか?
キル:
自分、早く死ぬって思ってたんですよ。でも死ななかったんですよね。だから“うぜぇ! 戦争してぇな!”と思って。そこからいろいろ考え始めましたね。その段階を踏むのにコンカフェをやったというのもあるかな。
ーー単純に働くことだけが目的だったら、コンカフェではなく普通の飲食店でもよかったわけですからね。
キル:
うんうん。お酒好きだし、華やかなものが好きだし。シャンパンタワーに憧れてましたね。できなかったけど(笑)。でも『エンジェル』っていうお酒があって。自分、悪魔みたいな顔してるのに『エンジェル』をもらって、最高でしたっ! あははは、美味かったなー(笑)。
ーーアイドルに興味があったとのことですが、どう思っていたのですか?
キル:
SNSでアイドルの人が流れてきたりとか。相互の人でアイドルになる人が多くなってきたり。身近だったのかな。地下アイドルという存在を知ったのも友達が地下アイドルになってからで。“こういう世界があるんだ!”って思った。僕の中でアイドルと言ったら、やっぱBIGBANGなんですよ。ずっと地上の方を見てきたから、地下アイドル、新しいなって。特典会とかがあるんだとか。面白そうだなと思ったし。コンカフェ時代、いろんなアイドル事務所さんから声をかけてもらったりもしたんです。それで、面接とかお話を聞きに行ったりもしてたんですよ。けどなんか、違うなっていう。なんというか、大人の圧がすごくて、“怖っ……”と思って逃げてきて……。今のプロデューサーさんと話した時は喫茶店で話したんです。だから“ヤッタァー!!”って。
ーーそこですか(笑)。
キル:
あははは! 僕、喫茶店大好きで。今まで監禁部屋……いや、事務所とかで面接されてきたから。“喫茶店でいいんだ、最高だな!”っていう感じです。美味しい飲み物飲んだし!
ーーその時すでにマーキュロのコンセプトはあったんですか?
キル:
その時点ではマーキュロっていうグループ名も決まってなかったし、どういうアイドルかも決まってなくて、“どういうのをやりたいか?”って訊かれたんですよ。自分はキラキラした王道系にはなれないし、殻に閉じこもっていた自分みたいな人が世の中にいるっていうのをSNSで実感してきたから、上からだけど、僕も含め、そういう人たちの何かになりたい、闇の中を照らす光のような存在になりたいって、答えました。そういうアイドルがいいなって。
ーーでは、マーキュロはキルさんありきで誕生したんですね。
キル:
どうなんですかね。まぁ、プロデューサーさんと最初に話したのは自分。王道系ならNGで、って。
ーーそこから実際にマーキュロというグループです、コンセプトはこうです、と聞いた時に何を思いました?
キル:
(Goodポーズしながら)“これだーー!!”って。『マーキュロイド』っていう世界観も好きだし。引きこもってた時に触れてきた作品のオマージュをやってたり、すごくいいなって。自分、殻に閉じこもってた時にマーキュロがいたら、絶対マーキュロのヲタクしてたなって、それに限ります。だから、マーキュロになってよかったなと日々思ってます。
ーーそこからキルさんが、ほかのメンバーに声をかけたんですよね。
キル:
そうですね。(翠城)ニアはコンカフェ時代のお客さんだったんですよ。でもSNSが流れてきて、可愛いなと思ってフォローしていて、そこから一緒に遊ぶ関係になって。LINEやご飯行った時にもずっと誘ってました。“やってよ、一緒に!”って。それで友達に“おすすめの子いない? カッコいい子がいい”って訊いたら、(珖夜)ゼラの名前が出てきて。そしたら同じコンカフェで働いてたんですよ。それで声かけて。そこから今の7人が揃っていった感じですね。
つらくても頑張って生きてみせるのが自分の役目なんじゃないかな
広告の後にも続きます
ーー初ステージのことは覚えてます?
キル:
僕、キレたんですよ! 「RED」っていう曲で、お客さんみんなにペンライトを赤くしてほしいって、SNSで言ってたんですけど、前方でケータイをイジってるヤツとかがいて。すごくムカついて、“ペンライト、赤くして!(怒)”って、初ステージでキレちゃったんですよ。やべーな自分(笑)。世間知らずですね。あとはとにかく緊張してましたね。歌詞めっちゃ間違えたし。
ーーそこからマーキュロの活動に手応えを感じられたのは?
キル:
やっぱ、半周年ライブあたりですかね、WOMBでやった<秘密サークル>(2022年12月23日)。半年なのにめっちゃ人がいる、これだけ共感してくれる人間がいるんだって思った。“元気をもらいました”“代弁してくれてありがとう”ということもよく言われますし、手応えを感じますね。最近福岡で、僕が殻に閉じこもってた頃からSNSを見てくれてる人が観に来てくれたんですよ。“本当に生きてるんですね”って。“あの時死なないでくれてありがとう”“自分もキルさんみたいに強く生きたいと思えた”……お客さんにそう言われると、“ああ、マーキュロはあるべくしてある存在なんだな”って、強く思います。
ーーそしてリキッドルームでのワンマン(<一周年東名阪単独追加公演『見世物小屋』帝都編>/2023年6月26日)も大成功しました。
キル:
リキッドルームはすごかったですね。本当にすごかったな。生バンドもすごかったし、お客さんもすごかった。華やかでしたね。充実して毎日ステージにいるから、最近は家にいる自分が誰かわからなくなる時がありますよ(笑)。
ーーキルさんが、見せ方で意識していることはなんですか?
キル:
曲によって表情というか、心を変える。自分でテーマやストーリーを作るんですよ。この曲はしなやかで、とかね。「自殺願書」とか、その時の感情でやる曲もありますけど。「絶望セカイ」はダイナミックに“死ね!”、それ一択。「自殺願書」だったら、本当に死にたい想い、過去に死にたくなったことを集めるんですよ。「ピエロ」は皮肉ですよね。お客さんにこう言ったら悪いかもしれないけど、僕は性格が悪いから、僕と出逢っちゃってごめんねって。執着がすごいから、他人に対して。《本当は離れたかった。って》と歌いながら、でも離れられないよね、ごめんねって。
ーーそうやってマーキュロは今までアイドルのタブーをやりながらも受け入れられている。
キル:
マーキュロのお客さんって、おもしれーヤツしかいなくて、どこか狂ってる。でも馬鹿じゃないと思う。みんな真剣に生きてるんじゃないかな、うん、そんな感じがするな。でも、アイドルってやっぱりダメなこともあるんですかね?
ーーダメという明確なものはないけど、完璧というか、偶像として出来上がっているものが強いですね。少なくとも“死ね!”と思いながら歌っているアイドルはいないでしょう(笑)。
キル:
確かに、○○○の人が“殺すぞ”とか言ったら大変なことになる(笑)。でも、人間はどこかに欠点がないと、僕は愛せなくて。完璧なんて無理です。そんな綺麗じゃないだろうって思っちゃうんですよ。だから本当にありのままで活動しているので、僕は。そういった面では、アイドルではないのかな、あははは(笑)。
ーー異形のアイドル、新しいタイプのアイドルだと思いますよ。
キル:
SNSの質問に“何してる人ですか?”って来ることがあるんですけど、“マーキュロ(という概念)の我執キル(という概念)です”って、答えてます(笑)。わかんないじゃないですか、その方が思い描いてるアイドル像が。だから、僕は僕なんですよねーって。
ーー唯一無二ですね。ちなみにキルさんはアイドルモードになるスイッチはあります?
キル:
一応ありますよ。やっぱり、ライブではカッコよく見られたいんです。だから逆に普段の様子を見せることが多いですね。配信でも寝ながら酒飲んでタバコ吸ってる姿とか、TikTokではパジャマ姿とか……、そこからの我執キル! “我執キルはカッコいいんだぜ!”って、フハハハハハハ!
ーー閉じこもってたことを考えれば、マーキュロとしての現在がものすごく充実していてよかったです。精神的にも落ち着いてます?
キル:
あの頃の身体がおかしくなるまで、っていうのはなくなった。でも心因性の発熱とかはよく出ちゃう。あまり気にしてないんですけど。声が出なくなったりとかもあって。それは仕方ないのかなって。いちいち気にしてたらキリないなって思ってます。それを含めて自分。それでも頑張って生きてみせるのが自分の役目なんじゃないかなと思うんで。
ーーライブに穴を開けたことはないですよね。
キル:
ライブは1回も休んだことなくて。あ、そうだ、1つ面白かった話があって、40度の熱があったんですけど、品川インターシティホールで「存在証明」1曲だけ、存在を証明しに行った日があったんですよ。タクシーで会場まで行って、「存在証明」の時だけ登場して帰ってきました。イントロが流れた瞬間に僕が入ってきて、みんな“!?”みたいな。対バンだったんですけど、大事なライブだったんですよ。あれは面白かったな(笑)。

我執キル
変わらないものはここにあると伝えていきたい
ーーこの先のマーキュロの野望をお願いします。
キル:
生誕(祭)ラッシュが続いて、<関東ツアー『失楽園』>があって、ファイナルが、Spotify O-EAST。とにかく埋めたいと強く思ってます。そう、お芝居! お芝居があるんです。新しくてワクワクしてます。ただ、どうなるんだろうな。ワクワクしてる自分もいるし、どこか壊れちゃいそうな自分もいる。ここから休みなく走っていくと思うんで、覚悟はしてますね。スケジュール面もだし、体調には本当に気をつけたいなと。あとは、自分の心を大切にしたい。やっぱ心が死んだら終わっちゃうから。あの時みたいには戻りたくない。とにかくO-EASTを成功させたい、……成功させたいより楽しみたい気持ちがあるかな。
ーー楽しめたら成功じゃないですか。
キル:
そうですね。みんなが“楽しかった”って言えるライブができたら、僕は嬉しいな。お客さんもメンバーも、運営さんもみんなで最高だったなって思えるものを作っていきたい。やっぱり花道で中指立てたいんでね。だから、デカいところに行きたいんですけど、今の段階では、このツアー<失楽園>を埋めたいぞっていう気持ちです。そこで、何かまたわかるものがあると思うし、やっぱ感じないとわからないから、うん。想像はするけど、実際に感じて“次、これやろう”ていうものが、自分の中でだんだん出てくると思うんで、もっと頑張ります。
ーーキルさん個人として、この先何をしていきたいですか?
キル:
まず、歌うことが好きになる、それが大きいですね。それとライブで自分は何ができるのか、自分がやれることを見つけていく。ライブをするたびに課題は増えていくから、それをやっていくしかない。あと、お客さんとのコミュニケーションも大事にしたい。やっぱり大きくなるにつれ、大きくなっちゃったって寂しくなる瞬間もあるじゃないですか。変わるんだけど、“変わらないものはここにあるよ”っていうのは、お客さんに伝えていきたいな。
ーー最後に言い残したことはありますか?
キル:
では最後に……、みんなへ。9月からいっぱいいろんなことがあるので、ツアーも、生誕ラッシュも始まるし、体調に気をつけてついて来てください。そして、僕の生誕(9月21日(木) Studio Mixa)はリアバだからたくさんお祝いしてください。大好きだよっ!
『マーキュロ 1万字インタビュー』次回・翠城ニアは、9月18日(月・祝)12:00公開予定
<マーキュロ 主催ライブ 関東ツアー公演『失楽園』>
2023年9月16日(土) 千葉・柏ThumbUp
2023年9月17日(日) 群馬・前橋DYVER
2023年9月23日(土) 埼玉・HEAVEN’S ROCK さいたま新都心 VJ-3
2023年10月1日(土) 神奈川・川崎セルビアンナイト
2023年10月9日(月・祝) 茨城・水戸ライトハウス
2023年10月15日(日) 栃木・宇都宮HELLO DOOLLY
ツアーファイナル 2023年11月21日(火) 東京・Spotify O-EAST(生バンド、芝居構成)
<マーキュロ 我執キル 生誕祭『でっとえんど』なるべく平凡たる人 そう 僕が神様>
日時:2023年9月21日(木)18:30/19:00
会場:Studio Mixa
チケット:優先入場券 ¥5,000(マーキュロ キルカード、特典会ファストパス付)/一般 ¥2,000(1D別)