
人生に絶望したり、孤独を感じたり、衣食住に困り果てていると、「罪をおかしてでも刑務所に入ってしまったほうが楽かもしれない」と考えてしまう人はいるだろう。
だが、スペインには、「刑務所には入りたいが、犯罪者にはなりたくない」という男性がいる。
孤独で、健康上の問題を抱えているという男性は、刑務所に入ることを望んで、プラカードを持って刑務所の前に立ち、懇願し続けているという。
Quiero ir a la carcel
刑務所に入ることが一番の願い
スペイン・グラナダ出身の60歳のフスト・マルケスさんにとって、マラガのアルハウリン・デ・ラ・トーレ刑務所に入ることが願いだという。がんや心臓病などの病気を抱え、うつ病や不安症も患うマルケスさんは、「24時間孤独でいることをやめたい」と切望している。
過去に、何度かメンタルヘルスサービスを紹介されたが、何の役にも立たなかった。刑務所に入って暮らすことこそ、自身にとっては最良の選択肢だという考えに行きついたそうだ。
ここ数日、マルケスさんは「刑務所に行きたい」とスペイン語で書かれたプラカードを持って、州刑務所の外に立ち続けているという。
刑務所に入りたいけど罪は犯したくない
マルケスさんは、刑務所には入りたいと望んでいるが、罪をおかすようなことはしたくない。そもそも、刑務所は犯罪者が収監されるところだ。
それでも、「そこをなんとか…」と、マルケスさんはアルホーリン・デ・ラ・トーレ刑務所の所長と面会もして、自主的に収監されたい旨を伝えた。
だが、当然のことながら、刑務所側はマルケスさんの懇願を拒否したという。マルケスさんは、スペインのメディアEFEに対し、次のように語っている。
どこにも助けを見つけることができず、刑務所に行くのが最善だという結論にいたりました。ですが罪は犯したくないのです。グラナダ生まれで、5人の子供の父親であるマルケスさんは、ここ数か月間子供たちとは会話もしておらず、会ってもいないそうだ。
許可されるまで刑務所に懇願するつもり
過去にマルケスさんは麻薬所持で数年間刑務所の中で過ごしたこともあるようだ。だが、それについては、この30年間「自分はやっていない。潔白だ」と主張しているという。
刑務所に入ることよりも、犯罪者になることが自身の中で許せないマルケスさんにとって、刑務所は一番縁遠い場所だろう。
それでも、刑務所は彼の孤独と闘うための唯一の身近な選択肢だと信じ、マルケスさんは許可されるまで刑務所に入ることを、門の外で懇願し続けると話している。
本人は、とにかく必死なのだ。
自分の状況が、最終的には解決されることを期待しています。果たして、マルケスさんの願いは叶うのか?
刑務所側は、私のために解決策を見つけなければなりません。彼らは、私をこのようにここに置き去りにすることはできません。(マルケスさん)
References:Sick, Lonely Man Is Begging Authorities to Let Him Into Prison / written by Scarlet/ edited by parumo