スマートフォン向けゲームアプリ『Tokyo 7th シスターズ THE SKY’S THE LIMIT』(以下、ナナシス)に登場するロックバンド、The QUEEN of PURPLE(以下、QOP)。彼女たちは、7月25日(火)に1stミニアルバム『Live and let “Live”』を配信リリースし、9月から京都、名古屋、東京を巡るツアー<The QUEEN of PURPLE 2nd Live Tour Live and let “Live”>を開催する。そんなバンドとして精力的な活動を展開している彼女たちの過去と未来に迫るため、今回メンバーを2名ずつ2組に分けて特別対談を実施。本記事では、瀬戸ファーブ(Ba)役の広瀬ゆうきと三森マツリ(Dr)役の巽悠衣子のQOPへの愛が溢れたトークセッションをお届けする。
インタビュー:塚越淳一
撮影:河邉有実莉
新作の楽曲をステージでできるんだと思うと、たぎりました(巽)
ーーQOPの1stミニアルバム『Live and let “Live”』が配信されましたが、どんな反応が届いていますか?
広瀬:
QOPの新しい楽曲が発表されたことを喜んでくださっている方が多かった印象があります。みなさん、久しぶりのアルバムで不安だったと思うんですけど、ちゃんとQOPの魂があるアルバムになったんだな、みたいな声はありました。
巽:
そういう声って、どこに届いてるの?
広瀬:
SNSのハッシュタグで見てたんです。歌詞の意味を考察している方もけっこういらっしゃって、それはすごく嬉しかったです。
ーー巽さんはミニアルバムを聴いていかがでしたか?
巽:
“帰ってきたな!”って感じがしました。私はレコーディングには参加していないので、出来上がった曲をその都度聴いていたんですけど、QOPの音や色がまったくぶれていないことに安心しましたし、純粋にカッコよさに痺れました。これをステージでできるんだと思うとたぎりましたけど、同時に、こんなカッコいい楽曲をやるんだ、という不安もあって(笑)。
広瀬:
わかります!
巽:
今回、楽器も難しくなっているみたいで、それをキャラクターとしてパフォーマンスしなければならないので、どうしよう……ってなりました。だからいろんな意味で震えていましたね(笑)。
ーーこの対談では、おふたりが出会った時の第一印象から聞いているのですが、覚えていますか?
広瀬:
ドラマCDの時かな? いつなんだろう。
巽:
でも、『ナナシス』の仕事が最初だよね。
ーー野村さんは、雑誌の撮影の時だと話していました。
広瀬:
そうだったかも。そこでよろしくお願いしますという感じでインタビューをしたと思います。ただ、私がゆっこさん(巽悠衣子)の印象で強く覚えているのが、ファーブとマツリで一緒にお芝居をした、1stアルバムのドラマCDの時なんです。先輩なので、ゆっこさんに迷惑をかけないようにしなきゃ!って思っていて。
巽:
いやいやいやいや!
広瀬:
私、ファーブが声優として初めての役だったので、一緒にドラマCDの収録ができることが嬉しかったんです。だから今でもゆっこさんのセリフを思い出すくらい、お芝居を見て“うわ~!”ってなった記憶があって。
巽:
嬉しいなぁ。
広瀬:
マツリがぽつりとつぶやくセリフがめっちゃよくて、さすがだ!って思っていたんですよ。
巽:
ホントに?(笑)
広瀬:
ガチですガチ! そこはスタッフさんもよかったと話していましたから。
ーーお芝居以外では話をされたりしたのですか?
広瀬:
雑誌のインタビューや生配信でゆっこさんと話していた時の印象は、優しい人という感じでした。何の抵抗もなく最初から一緒にいさせてくれたのは、ゆっこさんが優しい方だからで、よく話しかけてくれましたよね?
巽:
私、実は楽屋とかではあまりしゃべらないタイプなんだよ。
広瀬:
もしかして気を遣ってくれていました?
巽:
いや、QOPのメンバーってみんな話しやすくて、すごいしゃべっている自分にびっくりするの。また自分の話ばかりしてしまったーって反省するくらい自分にとって居心地がいいんだと思う。だから、うるさかったらごめんねって思ってた(笑)。
広瀬:
いや、嬉しいです! 確かにめっちゃ自分の話をしてくれるなって思っていました(笑)。だからこそ親しみやすさが全開で! あと私がライブの楽屋でブルーベリーをぶちまけたことがあって、それにすごく爆笑してくれたんです(笑)。
巽:
あれはマジでひどかったからね!(笑)
広瀬:
それを笑ってくれるか、ドン引きするかは人によるけど、ゆっこさんは笑ってくれるタイプなんです。私がよく物をこぼすことを面白がってくれるので、最初から安心感がありました。

巽悠衣子(写真左)、広瀬ゆうき(写真右)

広告の後にも続きます
広瀬ゆうき
常に言ってましたよね? “うちらロックだからさ~”って(広瀬)
ーー巽さんから見た広瀬さんの第一印象は?
巽:
私もドラマCDを4人で録らせていただいたことを覚えていて。野村麻衣子ちゃんと広瀬は、収録の現場にはまだそんなには出ていない時だったから緊張しているのが伝わってきたんです。だから先輩だししっかりしなきゃ!という気持ちはありました。ゲームの収録って基本は1人だけど、ドラマCDは一緒に収録できたから心持ちとしてはまったく違っていて、そういう意味で私も気合いが入っていて、芝居で引っ張っていけたらなと思っていたんです。ただ、そんな第一印象のあとにすぐライブがあったんですよ。そしたら広瀬がめちゃくちゃできる奴だったんです!(笑)
広瀬:
あはははは(笑)。
巽:
バリバリに私たちを引っ張ってくれる人で。アイドルをやっていたこともあって、パフォーマンスもそうだし、ステージに立つ上でのメンタルがしっかり出来上がっていて、それを私たちに押しつけることなく伝えてくれたから、これは誰もが持っている才能ではない……ただ者ではないって思いました。
広瀬:
嬉しいです! その頃の私って、声優とアイドルの境目がわからない人間で、当時を思い返すと、押しつけていなかったかな~ってすごく不安になるんです。
巽:
それはないない!
広瀬:
何だろう、未熟さゆえの、若さゆえの突っ走りで、ゆっこさんを振り回していなかったかすごく心配していました。
巽:
逆に広瀬のおかげで、QOPとして、どうやってステージに立つべきかがわかったというか。楽器を持ってパフォーマンスをするのは初めてだったし、どういうスタンスでライブと向き合えばいいか正直わからなくなったりもしたんだけど、広瀬がそれを救ってくれて。“カッコつけてやりましょう!”“見せつけてやりましょうよ!”みたいにガツンと行く雰囲気に持っていってくれたから、ついていこうと思ったし、そこで最初のQOPができたんですよね。照れとか迷いがなくなって、ロックな感じにまとまったというか。
広瀬:
私たち、ロックだよね!って(笑)。
巽:
そうそう。私たちロックだ!っていうマインド。
広瀬:
常に言ってましたよね? “うちらロックだからさ~”って(笑)。
巽:
言ってた言ってた(笑)。でも、それを身につけさせてくれたのは広瀬だよ。
広瀬:
嬉しいです。最初に参考資料でもらった映像を観たんですけど、それが男性アーティストの野外フェスの映像で、それを観てみんなで唖然としていたんですよ(笑)。
巽:
楽器の先生も唖然としてたよね(笑)。
広瀬:
で、この子たちはクール系じゃなくパッション系だったんだと知って。バンドとしてのパフォーマンスを声優としてすることってなかなかないことだし、ナナシスの中でも数少ない立ち位置だったから、それに対するプレッシャーは正直ありました。
ーーでも、それを受けて“カッコつけてやりましょう”って言えるのがカッコいいです。
巽:
やるなら、本気で!っていう感じだったね。
広瀬:
そうですね。この曲は笑っていいとか、この曲でテンションを上げて、お客さんを持っていこうとか、曲ごとにイメージを決めましょうって私が話すと、それを3人が聞いてくれるんです。3人とも“声優だからこのくらいでよくない?”っていうスタンスではなく、よいものをお客さんに届けようとして真剣に話を聞いてくれたから、よりよいパフォーマンスができるぞって思いました。だから想い出深いライブがたくさんあるんです。
ーー広瀬さんが実は頼りになる人だったと、印象が変わった話でもありましたが、巽さんの印象は変わったりしましたか?
広瀬:
なんか、最初はあまり何も考えてないような感じというか(笑)。
巽:
え! まさかの悪口!?(笑)
広瀬:
いや、すごく明るく自分のことをしゃべってくれるから、イケイケゴーゴー! ゴーマイウェイマインドの方だと思っていたんです。だからこそしゃべりやすかったし、そういうところが好きなんですけど、一緒にいると、どうやらめっちゃ考える方だったんです。
巽:
そうかな? あまり考えてないけど(笑)。
広瀬:
というか、めっちゃ努力家なんですよ!
巽:
そんなことないと思うよ!
広瀬:
いや! こっちが心配になるくらいです。今だから言えることですけど、リハ中に体調を崩された時があって。その時も目の下にクマを作りながらドラムの練習をしていて。ドラムがない時は雑誌を置いて、それを叩いて練習するって先生に言われていたんですよね? それを楽屋でもやられていて、その姿を見て感動したんです。で、頑張りすぎちゃう人かもしれないから、これは支えないと!って思っていて。私は、いい意味でも悪い意味でも抜こうと思えば抜ける人で、“まーいっか、いけるっしょ!”みたいなマインドなんですよ。
巽:
そのマインド、好き!
広瀬:
でもゆっこさんは、ちゃんと準備をして、ちゃんとやらないとダメなタイプなのかな?って思いました。
巽:
確かに、やらないと不安になるタイプかも。
広瀬:
そういうところも含めて、ゆっこさんのことをさらに好きになりました!
巽:
臆病なところがあって、しっかり準備して、やりきったっていう自信を持った上でステージに立たないといいパフォーマンスができないというか。70%くらいではウマくできなくて、100か0かみたいな感じ。不器用だから、そういうところはあったかもしれないなぁ。
ーー真面目なんですね。
巽:
いや、真面目ではなく、自分不器用なんです!(笑)
広瀬:
でも、私もゆっこさんのそういうところを見て頑張らなきゃ!と思ったので、高め合っていけたのかなって思います。

巽悠衣子
メンバーをリスペクトしてるし、私もそうありたいなとは思ってる(巽)
ーーちなみにプライベートでは遊んだりするのですか?
巽:
QOPでは、1stライブのあと、初めて4人揃って打ち上げをしたんですけど、プライベートで4人が集まったのは、今のところそれが最初で最後だよね?
広瀬:
その次の年には、コロナ禍になっちゃったというのもありますし。
巽:
なかなか会えなくなっちゃったのか。
広瀬:
でも、その打ち上げはすっごく楽しかったです!
巽:
沖縄料理食べたね。
広瀬:
それこそ、先輩のあやのんさん(山本彩乃)かゆっこさんのどちらかが“打ち上げをしよう”って言ってくれたんですよ。
巽:
この4人の中で、うちらから言い出すことなんてある?(笑)
広瀬:
いや、私と麻衣ちゃんは、たぶん言い出せないです。その頃、おふたりはお姉さんという印象が強くて。今ではそんなことはないんですけど(笑)。
巽:
おいっ!
広瀬:
いい意味でです(笑)。当時は、すごい先輩という感じだったので、2人の時間を取ってはダメなんじゃないかと思って、とてもじゃないけど誘えなかった。
巽:
いやいや、時間取ってよー!
広瀬:
うれしーっ(笑)。でも私、ゆっこさんと2人でお茶に行きましたよね? 人生相談を聞いてもらって。
巽:
覚えてる覚えてる。けっこう広瀬の仕事の相談とか、聞かせてもらってる気がする。
広瀬:
あの時のことを今でも思い出すくらい、すごく感謝しています。
巽:
聞いていただけで、解決はしていなかったけどね(笑)。
ーーでも、そういうことも話しやすい間柄なんですね。
広瀬:
ゆっこさんは、めっちゃ話しやすいんです。
巽:
広瀬もすごく話しやすい。仕事だけだと、心をフルオープンにできることってあまりないと思うんですけど、広瀬は素直に真っ直ぐ想いを伝えてくれるから、こっちも安心するし、私の話もしようとか、もっと話を聞きたいなって思わせてくれるんです。だから広瀬が同じメンバーでよかったなぁって。
ーーちなみに、野村さんと山本さんはどんな印象なのですか?
巽:
麻衣ちゃんと広瀬は仲がいいもんね? プライベートで若い2人が仲よくしてくれているのを微笑ましく見ていたけど、私の中での麻衣ちゃんの印象はずっと変わらなくて、裏表がないんです!
広瀬:
本当にずっと変わらないし、裏表もないですね。
巽:
そうだよね! 私が愚痴とかを言うと、麻衣ちゃんも“そうなんですよ~”って言ってくれるんだけど、それが全然イヤな感じがしなくて、麻衣ちゃんに話すとすべてが浄化されて終わるんです(笑)。
広瀬:
わかります!
巽:
いつも話してよかったなって思う。すべてをいい方向に持って行ってくれる。ステージの上の麻衣ちゃんも、普段話している時の麻衣ちゃんも本当に裏表がなくて、ちょっと珍しいくらいいい子!
広瀬:
いい意味でそのままで、すごく稀有な存在だと思います。育ちのよさを感じるし、料亭とか、和室のでかい家で育ってそう(笑)。
巽:
何となくわかる(笑)。本当に愛されて育ってきたんだろうなっていう、根っからの純粋さを感じるよね。
広瀬:
あと、自然体でいることを大事にしている人だと思うんです。いかに自然でいるか、無理をしないか。でも、頑張りたいという想いは明確にあるから、そこは頑張る! ただ、それも、やりたいことを頑張っているだけだから自然体でいられる。そういうところが、麻衣ちゃんの魅力なんだろうなと思います。
ーーステージで越前ムラサキから野村麻衣子になる時のギャップもいいですよね。
巽:
ギャップ萌えですよね(笑)。歌っている時はムラサキの魂が降りてきているけど、MCになるとなんだかホッとするんですよ。でも、それをみなさんが好意的に捉えてくれていて、QOPのライブの名物になっているんじゃないかな。めちゃめちゃ可愛いから。QOPの癒し!
広瀬:
実はけっこうロックな人で、私と似ているところもあるんですけど、麻衣ちゃんのしゃべり方と発声で、柔らかくなっている気がするんです。言っている内容は私と一緒だったりするのになぁって(笑)。私は早口で低い声でズバズバ言うけど、麻衣ちゃんは、柔らかい声でズバズバ言う感じの子ですね。
巽:
だからラジオのパーソナリティとかに向いているよね。あの会話のテンポと、言いたいことはズバッと言う感じは、聞いてても心地いいだろうなぁ。
ーー山本さんは、いかがですか?
広瀬:
QOPの中で、1番きっちりしています!
巽:
あやのんがいないとQOPは回らないよね(笑)。そのくらい大事なポジションです。私たちのお姉ちゃんであって、意見をまとめてくれたり、次に何をするかとか何が必要かとか、いつも教えてくれんです。
広瀬:
ものをよくこぼすメンバーとかもいますからね……。
巽:
そういうおっちょこちょいなメンバーをまとめてくれて、全部指摘してくれる(笑)。こういうことを確認しておいた方がいいよとか、冷静な目で私たちを見てくれるよね?
広瀬:
そうですね。あやのんさん自身がちゃんと順序立てて物ごとを考える方で、私は全然そうじゃないし、おそらくゆっこさんもスケジューリングにこだわるタイプじゃないですよね?
巽:
けっこう行き当たりばったりだね(笑)。
広瀬:
たぶん麻衣ちゃんもそうなんですよ。だから、あやのんさんが全部のスケジュールを共有してくれて、“次のステージ、何時からだよ”とか話してくれるし、意見もまとめてくれるから何とかなっている気がする。でも、けっこう私たちが止める側に回るようなぶっ飛んだ提案とかを言ったりするから、もしかしたら、まとめ役はゆっこさんなのかもしれない。
巽:
私!?
広瀬:
“まーまー、ロックだし私たち”みたいな感じでまとめてくれる(笑)。
巽:
そのまとめ方、ふわっとしすぎてない?(笑)
広瀬:
私はライブにこだわりあるタイプ、あやのんさんは真面目にしっかりといろいろな意見を出してくれるタイプ、麻衣ちゃんは意外と頑固で意志の強いタイプ。そんな3人を、ゆっこさんが“うちらロックだからさ~”でまとめてくれる感じ(笑)。
巽:
確かに、みんな芯を持っているからカッコいい! 私は絶対こうだ!みたいなところがなくて。あれもいいな、これもいいなって思っちゃうから、みんなの意見とか聞いた上で、私はこうしようって決める感じだし。だから無意識にまとめているところはあるのかも。でも、私は常々芯のあるみんなを羨ましく思っているし、リスペクトしてるし、私もそうありたいなとは思ってるよ。
広瀬:
でも、ゆっこさんのいいところはそこだと思うから、最初のライブ会議の時から助けられています!
ーー本当のバンドみたいな関係性と個性ですね。
巽:
確かに!
広瀬:
巽さんはドラマーっぽいんですよ。私、高校の時は軽音楽部で、今もバンドはしていますが、ドラムの子ってまとめ役に自然となってくれた印象があります。
巽:
そういう意味では、やっぱりマツリがドラムにぴったりな子なんだよね。見守るというか包み込む感じだから。私がパフォーマンスするにはすごく大変だけど(笑)、マツリ自身はドラムでよかったと思っているんじゃないかな。

巽悠衣子(写真左)、広瀬ゆうき(写真右)

巽悠衣子(写真左)、広瀬ゆうき(写真右)