
趣味のソロキャンプへ出かけたものの
自然が多い地方の出身の秋元大輔さん(29歳)は、バイクでの遠出やソロキャンプをするのが趣味。フリーランスの仕事のため、長めの休みを作れることも多く、ひんぱんに山や海へと出かけていたといいます。「あれは数年前の夏でした。バイクでソロキャンプに向かっていたのですが、目的地付近の山で迷ってしまい、日が暮れてきてしまったんです」
暗闇の山の中をバイクで走るのは危険なため、「早くたどり着かないと」と焦っていた大輔さん。
人がいないキャンプ場
すると、予定していたキャンプ場とは違う、少し廃(すた)れた雰囲気のキャンプ場を発見しました。しかも、誰も人がいなかったとのこと。「閑散としていましたが、平日だったこともあり、『人がいない日もあるものだろうな〜』と思いました。予定していた場所ではなかったので迷いましたが、夜の運転は危ないし疲れたため、そこで一夜を明かすことにしたんです」
テントを張って一息付き、「さぁ、寝よう」としていると、何か音が聞こえてきたんだとか。
もしかして管理人さん?

「テントの方へ近づいてくるような足音がしたので『この土地の管理人さんかな?』と思い、焦りました。『無断でキャンプしているのを咎(とが)められるのでは…』と思ったんです」
怒られるのではないかと、ヒヤヒヤしながら息をひそめて様子をうかがっていました。すると、足音は遠ざかっていきます。
「いなくなった…と、ほっとしたのも束の間(つかのま)でした。また足音がテントに近づいてきたんです」
とりあえず寝たふりを決め込むことに…
再びテントへと近づいてきた足音に焦る大輔さん。「とりあえず、『注意されたら謝って、なんとか許してもらおう…』と思っていました。くたくたに疲れていたので、起き上がるのがおっくうだったこともあり、とりあえず寝たふりを決め込んでいました」
大輔さんが寝たふりをしながら聞き耳を立てていると、足音はテントのまわりをぐるぐる回り始めたんだとか。

足音が気になりつつも、寝たふりを続ける大輔さん。その日は本当にそのまま寝てしまい、結局、管理人さんに注意されることはなかったとのこと。
「翌朝、目が覚めて、『あの足音はなんだったのかな…?』と気になりつつも、管理人さんがいそうな小屋も近くに見当たらなかったので、とりあえず出発することにしました」
そしてキャンプ場を後にした大輔さん。そんな出来事からしばらく経ったある日、驚きの事実を知ることになります。
テレビを見ていると

「ぼんやりとテレビを見ていたら、なんだか見覚えのあるキャンプ場が映っていたんです」
なんと、それは先日大輔さんが泊まった場所でした。そこはさまざまないわく付きの場所であり、有名な心霊スポットとして紹介されていたんだとか。
「番組を見ていると『夜中になるとテントの周りを歩き続ける足音が聞こえるんです』と体験者がインタビューに答えていて、『あれっ!?俺とまったく同じじゃん!』とびっくりしました」
その時になってようやく、大輔さんは「あれは心霊現象だったのか…!」と身の毛がよだったと言います。
<文/まなたろう イラスト/松井レナ>
【まなたろう】
多岐にわたって興味があるアラフォーライター。コーヒーが好きで資格を取得中。海外に12年ほど住んでいたため、英語はそこそこ堪能。