「ビニール傘は天下の回りもの」と考えている人が、きっと多いのでしょうね。でも、ちょっと嫌なんだけど……。
そんな悩みを抱えていたら、素晴らしい傘を見つけてしまいました。個人で食品サンプルを製作しているというkanapeiさん(@kanapei_fflab)が製作し、1年半前から販売を開始しているのは、その名も「絶対に持っていかれない傘」です。

財布やピアスにも納豆をつけていた
――どういう発想でこの傘を思いついたのか、教えてください。kanapeiさん(以下、kanapei):そもそも、最初に納豆の食品サンプルを作って、思いのほか気持ち悪いというかリアルにできたので、何かに活用できないかなと思い、いろいろなものにくっつけてみたんです。財布とかピアスとか。

kanapei:そうです。でも、最終的には「これだったら気持ち悪いから持っていかれないんじゃないか?」と思い、持っていかれやすいビニール傘にくっつけました。
海外でスリに遭わないために…
――財布に納豆をつけるバージョンのほうも「持っていかれない」というコンセプトだったわけですか?kanapei:はい。海外で「スリに遭った」という話はよく聞くし、海外の方から見ると納豆って気持ち悪いみたいなので。だから「海外で財布に納豆をくっつけてたら持ってかれないんじゃないか」と(笑)。私的には財布も気に入ってるんですけどね。

kanapei:Twitterには載せたんですけど、販売はしてないです。
妻へのプレゼントに購入する人も

kanapei:やっぱり「気持ち悪い」という声が多いですね(笑)。あと「買ったはいいものの、持つのに勇気がいる」とか。「クオリティが高くて、気持ち悪くて、最高です」とも言っていただけています(笑)。
――購入者からすれば、「この気持ち悪さがいい」と思って買ったのか「絶対に傘をパクられたくない」という気持ちで買ったのか、どっちなんでしょうか?
kanapei:ネタで買ってる方が多い感じがします。
――実際、どういう方がこの傘を買っているんですか?
kanapei:男女比で言うと、6対4で男性です。年齢層については、たぶん30代、40代なのかなあと。自分で言うのもアレですが、傘にしては値段が高い(税込3600円)ですし、ネタのために若い方はこんな出費はしないだろうなと予想しています(笑)。
あと、プレゼントのために買う方が意外と多いみたいですね。でも、怒られないのかなあ……。
――ハハハハ!
kanapei:「妻へプレゼントします」とか「両親へのプレゼントです」っていう方もいて、大丈夫なのかな……? って思っちゃいます。
――結婚記念日とか、父の日や母の日にこの傘をプレゼントしているんですかね(笑)。
kanapei:私も「知らないよ?」と思いながら送っていますけど(笑)。
本当に傘は持っていかれなかった
――kanapeiさんのTwitterで見たのですが、この傘が本当に持っていかれないか実証実験も行ったみたいですね。【 絶対に持っていかれない傘は本当に持っていかれないのか? 】
— kanapei@食品サンプル愛好家 (@kanapei_fflab) July 27, 2023
という緊急企画にご応募頂きました皆様ありがとうございました!検証結果①ですが、1週間某チェーン店の傘立てに置いて頂いた結果、瀕死状態に陥ったものの、見事に持っていかれず耐えました😂😂
この検証、面白すぎる😂😂😂☔️ pic.twitter.com/4tbOeit7w2
kanapei:そうです。今、1件は実験中で、もう1件は結果が出ました。私のフォロワーの方に某チェーン店の傘立てに1週間置いていただいて。結果、セーフだったみたいです。
――持っていかれなかったんですか、さすが! ところで、バカみたいな質問なんですが、kanapeiさんは納豆が好きですか?
kanapei:納豆、めちゃくちゃ好きです。
――愛を込めてこの傘を作ったということですよね。ということは、kanapeiさんからすると「気持ち悪い」どころか、率先して使いたい感じ?
kanapei:いえ、気持ち悪いは気持ち悪いです。触りたいっていう意味での好きではないので(笑)。
――そうですよね(笑)。
食品サンプルを傘やランプシェードにした理由
――kanapeiさんが作ったプロダクトの中で、他に自信作や反響の大きかったものがあれば教えてください。kanapei:傘よりも前にSNSで伸びたのは、1年半くらい前に作った光る『おにぎりのランプシェード』です。

kanapei:私、おにぎり大好きなんです(笑)。なぜ光らせたのか、自分でもわからないけど。
――あっ、これはトッピングを選べるんですね。「鮭」「ツナマヨ」「梅干し」「天むす」の4種類がある。夜食的な感じでこれが枕元にあったら、最高です。

だから、家庭で使うシーンのある実用性を持たせたものを販売したいと思って。購入する意味と理由を持たせた形で「何にできるかな?」と考えていって、この子(おにぎりの食品サンプル)を光らせた感じです。
今後作ってみたいモノを聞いてみた
――食品サンプルを家具に変身させたのは、家で食品サンプルを使う理由付けだったんですね。最後に、「今後、こんなプロダクトを作ってみたい」というアイディアがあれば教えてください。kanapei:傘シリーズをもう1個ぐらい増やそうかなと思っています。「何が持っていかれないだろう?」と考えたときに、納豆を超えるものがあるかな?って。
――難しいですよね。例えば今、パッと銀杏が思い浮かんだんですけど、銀杏って見た目でわかりにくいし。
kanapei:難しいですよね。カレーあたりもいいかなあとは思っているんですけど。近いうちにカレーバージョンを試作して、出来を見てみます。
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「食品サンプルを日常で使いたい」という願望がこのプロダクトを生んだかと思うと、“納豆傘”のグロテスクなルックスも愛らしく見えてきます。
コンビニの傘立てに置きっぱなしにしても持っていかれないみたいなので、雨に濡れたくないチャレンジャーはぜひ!
<取材・文/寺西ジャジューカ>