松本潤が主演を務める大河ドラマ「どうする家康」と、佐藤二朗がMCを務める歴史番組「歴史探偵」がコラボする「家康VS.秀吉 どうする家康コラボスペシャル」が、8月23日(水)と30日(水)の2週にわたって放送される。放送にあたり、「歴史探偵」の河井雅也チーフ・プロデューサーがインタビューに応えた。WEBザテレビジョンでは、大河ドラマ「どうする家康」とのコラボの意図や、歴史番組を制作する側から見た大河ドラマ「どうする家康」の魅力などを聞いた。
■大河ドラマをより楽しんでもらえるような内容になっています
――今回のコラボ企画の意図を教えてください。
「歴史探偵」と「どうする家康」は、これまでも何度かコラボをしておりまして、今川氏真役の溝端淳平さんや榊原康政役の杉野遥亮さんなど大河ドラマのキャストの方々にも出演していただきました。今回は、夏休みの期間ということで「歴史探偵」初の前編・後編で一つの企画を取り上げることとなりました。
前編では、小牧長久手の戦いを取り上げていて、ちょうど大河ドラマ「どうする家康」でも小牧長久手の戦いが描かれる週なので、大河ドラマを見た人がより深く歴史を知り、大河ドラマをより楽しんでもらえるような内容になっています。後編は、家康が天下人になっていく道のりを描いていますので、大河ドラマの予習として見ていただけたらとうれしいです。
■新しい事実を探すのがとても大変でした
――徳川家康と豊臣秀吉は、史料が多く残されていると思いますが、番組を作る上で取り上げやすかったなどはありましたか?
家康や秀吉のように史料がたくさんある分、新しい事実を探すのがとても大変でした。今回の放送で言うと、前編で小牧長久手の戦いで堀を掘り下げるところを取り上げていますが、戦国時代に詳しい先生にお話を聞いて作りました。新しいことを見つける難しさはありますが、それが醍醐味でもあるなと感じています。
――歴史に詳しくない人にも分かりやすく伝わるように、見せ方で工夫していることなどはありますか?
取り上げる人物の中には肖像画がない人もいるので、アニメのようなイラストで表現するなど、分かりやすくイメージできるよう工夫をしています。
■「歴史探偵」は“攻めの歴史番組”だと思っています
――歴史の知識がない人でも楽しく見られる番組だと思いますが、今回の特集において力を入れた部分や、視聴者に楽しんでほしい部分はありますか?
歴史に詳しくない人でも楽しく見ていただくためにどうすればいいか、というのは常に考えながら番組を作っています。「歴史探偵」の一番の魅力は、探偵が現地に足を運んで調査をする点だと思っています。探偵が現場に行くことで、リアリティーを出して、今の時代に落とし込んでいる、というのを感じてもらえたらとてもうれしいです。
――「歴史探偵」ならではのこだわりを教えてください。
「歴史探偵」は“攻めの歴史番組”だと考えています。NHKは何十年も歴史番組を作っているので、家康や秀吉は100回以上取り上げられているのではないか、と。その中で、どうやって新しいものを見つけていくのか、というところが大切な部分だと感じています。
――小牧長久手の戦いで徳川四天王が活躍しますが、河井さんから見て四天王が活躍できた理由はどのように考えていますか?
徳川四天王に詳しい訳ではないですが、キャラクターを見るとそれぞれ役割分担が明確にできていたのではないか、と思います。それぞれがバランスを取りながら機能していたのかなと。
■(松本さんは)家康についてとても詳しいなと感じました
――今回ゲストで出演する松本潤さんや板垣李光人さんについてお聞かせください。
松本さんと収録前に何度か打ち合わせをさせていただいた時に、家康についてとても詳しいなと感じました。収録の際、「家康がどんな本を読んでいたか?」という話題になり、吾妻鏡は有名ですが、唐の時代の皇帝が書いた歴史書である「貞観政要」という書名が出てきて、これは歴史番組のディレクターでも知らない人がいるようなことなので驚きました。松本さんは日本で最も徳川家康という人物に真摯に向き合っている一人だと感じました。
板垣さんは、収録の時でも殿(松本)を支える一番若手の家臣という感じが出ていて、その光景を見て「大河ドラマもこういう雰囲気で撮影しているのかな」と感じることができて楽しかったです。
――大河ドラマ「どうする家康」の魅力を教えてください。
脚本の妙だと思いますが、家康は史料も残っていて分かっていることが多いけれど、それでも明らかになっていない空白の期間は存在していて、そこをうまく埋めていく演出が面白いなと思います。あと、最新の知見をドラマの中に取り入れていて、こういうふうに描くのか、というのを感じながら見ています。
■最新の知見を取り込んでいて驚いた
――ドラマの中で印象に残っているシーンはありますか?
すごいマニアックかもしれませんが、「長篠の戦い」のシーンで、ドラマでは織田軍が三段撃ちをして、途中から三段撃ちを止めて準備ができている人から撃て、と指示を出す場面がありますが、そこがまさに最新の知見を取り込んでいて驚いたのを覚えています。
――徳川家康が天下を取れた理由は何だと考えますか?
よく天下取れたなって思いますよね(笑)。あれだけ強い戦国武将がいる中、勝ち残るためには強い運が必要で、家康はそれを持っていたのではないかと感じましたし、あと、やっぱり長生きしたということも天下を取ることができた大きな要因なのではないかと思います。
――家康が最も影響を受けた人物はどなただと思いますか?
僕は今川義元なのではないかと。今川義元は、最近までダメな武将として描かれていたのですが最近は見直されていますし、家康が駿府で送った人質時代の中でいろいろなことを義元から学んで、それが家康のバックボーンになっているように感じます。
■どんどん変わっていく表現の仕方がすてきだなと
――松本潤さん演じる家康と、ムロツヨシさん演じる秀吉の魅力をお聞かせください。
ドラマで描かれる家康は回を追うごとに“キャラ変”していっているなと思っていて、序盤は「家康大丈夫?」というところから、瀬名(有村架純)や信長(岡田准一)の死を背負ってどんどん変わっていく表現の仕方がすてきだなと。
ムロさん演じる秀吉は、僕が想像している秀吉のイメージとぴったりだなと感じていて。ドラマでは、切り替えがとても早い人物として描かれているのですが、実際の秀吉もそうだったのではないかと思いました。
――2024年の大河ドラマ「光る君へ」では平安時代が描かれますが。
「光る君へ」がどういう風に作られていくのか、とても興味深いです。紫式部の史料はかなり少ないので、その中でどう描いていくのか楽しみですし、ぜひコラボしたいという思いもあります。
大河ドラマ『どうする家康』と『歴史探偵』がコラボ 河井雅也チーフ・プロデューサー「大河ドラマをより楽しんでもらえる内容に…」
2023年8月23日