
8月13日に放送されたNHK大河ドラマ『どうする家康』(NHK総合)の第31回に、城田優が森長可役でサプライズ登場した。
城田が演じる森長可は、幼い頃から織田信長(岡田准一)に仕え、信長が率いる主要な戦にも従軍した武将。武術に優れ、勇猛果敢に敵陣に攻め込む上、気性がとても荒かったことから、周りから「鬼武蔵」と呼ばれて恐れられていたという。一説には、信長から「長」の字を与えられ、「長可」と名乗るようになったとされており、このことからも信長からの信頼が厚かったことがうかがえる。しかし長可は、信長亡き後、妻の父である池田恒興(徳重聡)とともに、長年仕えてきた織田家を裏切り秀吉(ムロツヨシ)側についている。
城田は『天地人』(2009年)以来、2度目のNHK大河ドラマ出演。長可は槍の名手だが、偶然にも『天地人』で演じた真田幸村も槍の使い手だった。長可を演じるにあたって城田は「長可は破天荒な逸話をいくつももつ武将の1人ですが、本編ではあまりわかりやすくこの側面を表現することはせず、虎視眈々と天下を取ろうとする心の動きや、繊細なお芝居に重きをおきました」とコメントを寄せている。その言葉通り、長可が恒興に「どちら側につく?」と聞き、決断を明言させた場面では、長可に猛将らしい様子はなく、ニヤリと笑った顔にはむしろ冷淡で策士な雰囲気があった。
この後、史実では、信長の次男・信雄(浜野謙太)と信長の同盟相手だった家康(松本潤)が、秀吉勢力を排除すべく起こした「小牧・長久手の戦い」で、長可は家康に討ち取られることが知られている。今回は酒井忠次(大森南朋)が率いる軍に押され、敗走してしまったが、長可はまだ生きている。つまり城田の出演は、もしかすると次回限り、長くても今回を含めて3回ということになる。
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朝ドラ『カムカムエヴリバディ』(2021年後期/NHK総合)では、ほとんど全ての回でナレーションを担当し、最終回直前にはひなた(川栄李奈)の初恋の人・ビリーが成長した姿として“顔出し出演”も果たした城田。それと比べると出演回がたった数回の本作は、「城田の演技をもっと観たい!」という寂しい気持ちにさせられるが、その分、とても贅沢なキャスティングとなっているとも言えるだろう。
事前予告なしの登場ということもあり、恒興役の徳重、秀長役の佐藤隆太、秀吉役のムロツヨシら豪華な俳優陣が揃った中でも、城田はより一層際立った存在感を見せていた。次回もまた雄々しくも華麗に槍を振り回す姿が見られるのだろうか。これは絶対に見逃せない回となりそうだ。
参考
https://serai.jp/hobby/1144247/2
(文=久保田ひかる)