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今度は退職金に増税!?実は中小企業経営者が損をする?人材流動化が目的って本当?

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これまで教えて!gooでは増税について数多く取り扱ってきた。

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そしてここに新たに退職所得課税について政府が見直しを検討していると報道された。簡単な話、今回もまた増税である。ということで今回も前回同様、元国税調査官の税理士である松嶋洋氏に、この見直しについて伺った。

■退職所得課税の見直しによって何がかわるのか

早速、退職所得課税がどのように見直しを検討されているのか伺った。

「退職金に対して課される退職所得は原則として、退職金額から退職所得控除を控除した残額の2分の1が課税対象になります。退職所得控除は同じ会社で勤務する勤続年数に応じて計算され、1年あたり40万で、勤続年数が20年超になると1年あたり70万に増額されます。この退職所得控除について、1年あたり40万という控除額をアップする代わりに、20年超の増額部分をなくし、フラットに計算することを検討されているようです」(元国税調査官・松嶋洋税理士)

大卒22歳で入社し、60歳で退社した場合の勤続年数は38年となる。このケースにおいて、これまでは退職金が2060万円までであれば無税だった。しかしこれからは1520万円まで基準が下がる。つまり1520万円よりも多くもらうと税金がかかるようになってしまうことになる。

■退職所得課税を見直すことのメリット・デメリット

次に退職所得課税の見直しが実現した場合のメリットとデメリットを聞いてみた。

「メリットとしては、1年あたりの控除額はアップされますので、短期に退職する方には現状有利になります。この典型はキャリアアップを目指し短期で転職される方や、天下りを繰り返す公務員と考えられます。一方で、同じ会社で勤務するサラリーマンにとってみれば、20年を超える退職所得控除が減る訳ですから、無視できない増税になるでしょう。老後の保障である退職金が減ることになり、老後の生活資金に悪影響が生じます」(元国税調査官・松嶋洋税理士)

20年を超えて勤務している方はよく覚えておくと良いだろう。

■損をするのは誰か?人材の流動化に役立つのは本当か?

退職所得課税の見直しによってどんな人が損をするのだろうか。

「高額の退職所得控除と2分の1課税の影響で、退職金は最も優遇されている所得と言われ、多くの節税で利用されています。とりわけ有名なのはオーナーに高額の退職金を支給する事業承継対策です。しかし、この改正により節税効果は大きく薄れます」(元国税調査官・松嶋洋税理士)

政府は人材の流動化を目的に退職所得課税を見直すとしているが、これについてはどうお考えだろうか。

「退職金の増税をすることで人材の流動化を図る、などと言っていますがこれは嘘でしょう。転職者の関心は職場環境や給与で、退職金の税金を考える者は多くないはずです。国の本音は、防衛費や少子化対策のための財源の確保と思われます。老後の生活に大きな不安を与える増税改正で、若年層の国防意識を高めたり、婚姻や出産を奨励して少子化対策をしたりすることなど、到底できないと思います」(元国税調査官・松嶋洋税理士)

人生100年時代と言われている。事実、政府も2017年に人生100年時代構想推進室(2021年に廃止)を設置している。これは引退後も長く働ける世の中を創ろうということが趣旨のひとつに含まれていた。

しかし退職所得課税の見直しはこれらの流れと逆行する。定年を迎え、退職金をどのように活用するかは、その人達にとって死活問題だ。しかもそこに加えて老後2000万円問題ものしかかる。

今回の見直しが実現すれば、我慢を強いられるのは定年を迎える方たちということになるが、今後も増税が続くことを考えると、次はまた別の世代がターゲットになるのかもしれない。引き続き注目していきたい。

●専門家プロフィール:元国税調査官・税理士 松嶋洋 税務調査対策ドットコム Twitter Facebook

東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在の専門は元国税調査官の税理士として税務調査のピンチヒッターと税務訴訟の補佐。税法に関する著書、講演、取材実績多数。

画像提供:AdobeStock

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