男と女は全く別の生き物だ。それゆえに、スレ違いは生まれるもの。
出会い、デート、交際、そして夫婦に至るまで…この世に男と女がいる限り、スレ違いはいつだって起こりうるのだ。
—あの時、彼（彼女）は何を思っていたの…？
誰にも聞けなかった謎を、紐解いていこう。
さて、今週の質問【Q】は？
▶前回：「私のこと、もう女として見れないの？」出産してから、夫に触れられない妻の不満に夫は…
「聖也くんって、本当にいい人だよね」
マッチングアプリで出会った亜美から突然そんなことを言われ、僕は心底驚いた。
「え？そうかな？」
今日で、彼女と会うのは四度目。今回、夜の食事に誘ったら断られ、昼間のお茶になったのにはもしかしたら理由があるのかもしれない。
嫌な予感はしていたけれど、どうやらその予感は当たってしまいそうだ。
「亜美ちゃんだから、いい人ぶっているだけだよ」
「そうなの？」
コーヒーを飲みながらこんな会話をしたあと、すぐに解散になり、僕は17時の恵比寿にひとり取り残された。
― あれ？僕、何やってるんだろう。
そう思いながら賑わい始めた恵比寿の街にいると、ポツンと孤独を感じた。
Q1：初デートで男が感じた“しっくり”感。女はどう思っていた？
亜美を初めてマッチングアプリで見つけたとき、なんて可愛い子なんだろうと思った。幸いにも僕らはマッチングし、積極的に連絡を取った。
やり取りをしていくうちに、すぐに会うことになり、「グランド ハイアット 東京」の『オーク ドア』で夕方に会うことになった。
「はじめまして、聖也です」
「はじめまして。亜美です」
想像通り亜美は可愛くてテンションが上がった。しかも亜美はノリも良く、すぐに打ち解けた。
「お茶にしますか？それとも…」
本当は軽く一杯飲みたい気分だった。でも「最初から飲むのも微妙かな」と迷っていると、亜美のほうから提案してくれた。
「せっかくだし、一杯飲んじゃおうかな。聖也さんはどうされますか？」
「いいですね！僕も付き合います」
亜美への好感度がさらに上がる。
もちろん一杯で終わるはずはない。1時間くらいで解散の予定がかなり盛り上がり、そのままディナーに行くことになった。
「亜美さん、このあと予定あります？良ければ食事しませんか？」
「いいですね。行きましょう！」
マッチングアプリで何人かと実際に会ってみたけれど、亜美ほどすんなりと、そしてしっくりとくる子は初めてだった。
初対面で、合うか合わないかはわかるもの。彼女と話していると楽しくて、話も盛り上がった。
「僕、実は何人かに会ってみたんですけど、ここまで最初からすんなりいく人は初めてです。亜美さんって可愛いのに、話しやすくていいですよね」
恵比寿のイタリアンへ移動したのだけれど、僕たちのワインボトルはもう半分以上空になっている。
「嬉しいです。私も、聖也さんがこんなにも話しやすい人だなんて想像していなかったです。プロフィール的に、もう少し堅い感じの方なのかなと思っていました」
「プロフィール、堅いですか？（笑）」
僕は結婚を視野に入れて真剣に交際できる人を探していたので、結構真面目な感じでプロフィールを書いていた。
「すごくいいと思います！でもNG事項も多かったので、もっと神経質な人なのかなと」
「そんなことないですよ！タバコとかが苦手なだけで。あと何を書いていましたっけ？」
「仕事への理解がある方がいいとか…？詳しくは忘れちゃいましたけど」
「でもそれ、大事なので（笑）」
「そうですよね」
お互いふっと笑い合った。
― この子、すごくいいかも。
心の底からそう思ったので、解散間際、僕は次のデートに誘ってみた。
「良ければ、またご飯行きませんか？」
「もちろんです！ぜひ」
17時から飲み始めたが、気づけばもう22時だった。
Q2：マッチングアプリで出会った二人が進まなかった理由は？
しかしこのあと仕事が忙しくなってしまい、結局次に会えたのは1ヶ月後だった。
だからせめてもの誠意として、僕は赤坂の『クレアバックス』を予約した。どんなお店を予約するかで、男の本気度はわかるものだ。
「すみません、出張とかが続いていてなかなか時間が取れなくて…」
「全然大丈夫です。お忙しいのは重々承知なので」
「そう言ってもらえると助かります。何飲みますか？亜美さん、好きなものを飲んでください」
「いいんですか？じゃあ…シャンパンにしようかな」
「僕もそれにします」
当たり前のことだけれど、デートでは女性に支払わせたりしない。この点ではきっと、ポイントも高かったと思う。
「LINEの返信も遅くなっちゃって申し訳ない」
「いえいえ。男性って仕事に没頭していると、連絡遅くなりますもんね…って、さっきから聖也さん謝ってばかりじゃないですか（笑）。せっかく会えたんですし、楽しい話をしましょうよ」
なんて素敵な女性なのだろうか。
歴代の彼女や他の女性は、僕の返信が遅いことに対して、とにかくガミガミ言ってきた。「返信なんて1分でできるのに、その時間すらないのか」とか「私に興味ないの？」などなど…。
その点、亜美は理解があり、さらに惹かれていく。
「亜美さんって、本当に素敵ですよね。今までの女性だったら怒ったりするのにまったく咎めないし…。そういう女性、最高です」
「お仕事が忙しいのは、仕方のないことですから。むしろカッコイイじゃないですか！」
僕の心が完全に掴まれたのは、言うまでもない。「苺とシャンパンのスムージー」を食べながら、僕は料理と亜美の懐の広さに心をわしづかみにされていた。
食事が終盤に差し掛かり、僕たちは次の店を探し始める。
「亜美さんまだいけますか？」
「はい！…って、そろそろ敬語やめませんか？」
「そうですね」
これでそろそろ、僕の恋人探しも終わりを迎えたかと思っていた。なぜなら2軒目へ行くと亜美はかなり僕に近づいてきた。いや、むしろしなだれかかってきた。
「亜美ちゃん、酔ってる？」
「ふふ、少し酔っちゃったかも」
「大丈夫？ちゃんと帰れる？」
「うん、大丈夫」
本当は“送り狼”になっても良かったけれど、僕は彼女をタクシーに乗せた。我ながら紳士的な対応だったと思う。
― 俺、偉くないか！？
そう思いながら、今日も楽しかったデートに満足していた。
そしてまた3週間後くらいにデートをしたのだけど、そこから亜美の態度は急変した。
― 僕以外にも会っている人がいて、そっちにいってしまったとか…！？
そんなことを考えながら、僕の恋人探しは、また振り出しに戻ってしまった。
▶前回：「私のこと、もう女として見れないの？」出産してから、夫に触れられない妻の不満に夫は…
▶1話目はこちら：「あなたとだったらいいよ♡」と言っていたのに。彼女が男を拒んだ理由
▶NEXT：6月11日 日曜更新予定
女が男に対して思っていたコトは？
