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『美女と野獣』を名作たらしめるアラン・メンケンの音楽 リプライズが表す心の機微

Real Sound

『美女と野獣』©2017 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.

 永遠に語り継がれる、愛の物語を今もう一度。6月2日に放送されたアニメ版『リトル・マーメイド』(1989年)に続いて、実写版『美女と野獣』(2017年)が6月9日、『金曜ロードショー』(日本テレビ系)にて放送される。

 参考:【写真】ポット夫人と息子のチップ

 知性に溢れる村の美女ベル役を『ハリー・ポッター』シリーズのエマ・ワトソン、出会った時には心を閉ざしていたが、やがて雪解けのようにベルと愛を育んでいく野獣役をテレビシリーズ『ダウントン・アビー』のダン・スティーヴンスが演じた映画『美女と野獣』。本作の音楽を手がけたのは、『リトル・マーメイド』で初めてディズニー映画の作曲を担当し、アニメ版『美女と野獣』(1991年)で同時に3曲がアカデミー賞歌曲賞にノミネート、主題歌「美女と野獣」で見事オスカーを獲得し、今やディズニー映画に欠かせないレジェンドとなったアラン・メンケンだ。

 改めて『リトル・マーメイド』に続き実写版『美女と野獣』を鑑賞すると、いかにメンケンの音楽がふくよかな情感に満ち、作品を色あせない不朽のものとしているかを実感する。本稿では、主に『美女と野獣』で見せたメンケンの素晴らしい仕事ぶりと、音楽を通して作品が示すもの、ディズニー映画音楽におけるミュージカルのリプライズがもたらす心の機微に焦点を当てて綴っていきたい。

 実写版『美女と野獣』の製作において、アランは新たに3曲の歌曲を映画のために書き下ろした。野獣が歌う「Evermore」(ひそかな夢)、城の使用人たちが歌う「Days in the Sun」(日差しをあびて)、そして劇中でベルの父親であるモーリス(ケヴィン・クライン)、ベル、エンディングでセリーヌ・ディオンがそれぞれ歌い継ぐ「How Does A Moment Last Forever」(時は永遠に)の3曲だ。

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 中でも特筆すべきなのは、3人がそれぞれの歌声とアレンジで歌う「How Does A Moment Last Forever」(時は永遠に)。モーリスはささやかに鳴り響くオルゴールに乗せて、ベルはかつて父と母のいたモンマルトルの部屋でしっとりと語りかけるように、ディオンは壮麗なバラードミュージックとして歌い上げる本楽曲には、こんな歌詞が登場する。

<どうすれば時は永遠に? どうしたら物語は不滅に? それは愛にある、私たちが手放してはいけないもの 決して簡単なことじゃない、でもやってみなきゃ>

 これはまさに『美女と野獣』という作品が提示する、「内面の美=真実の愛」を内包しキャラクターそれぞれが織り成す物語たちのコアなメッセージを歌っている。真実の愛を表明してみせるのは、決してベルと野獣だけではない。モーリスとベル、父子の愛や両親たちの間の愛、そして使用人たちの愛……さまざまな愛を優しく包み、物語ってみせる「How Does A Moment Last Forever」(時は永遠に)を最後に彩ったのは、かつてアニメ版『美女と野獣』で主題歌「Beauty and the Beast」(美女と野獣)を歌い、一躍世界スターとなったセリーヌ・ディオンだ。アランが作品のために生み出したふたたびの”愛の歌”を、ディオンの煌びやかな歌声で聴けたことは、世界中でこの物語を愛する誰しもが歓喜したサプライズであろう。

 ディオン自身も、今回再び『美女と野獣』に関わったことに並々ならぬ思いを口にしており、本作の音楽がどれだけの力を持っているか、どれほどの人々の心に残り続けているかを雄弁に語る事実だといえる。

 また、「How Does A Moment Last Forever」(時は永遠に)は劇中においてモーリスとベルがそれぞれ異なるアレンジで歌う、いわゆるリプライズ(冒頭で演奏したフレーズやテーマを後で繰り返すこと)であることにも注目したい。

 『モアナと伝説の海』(2016年)では、祖母を亡くした主人公モアナが大海へと漕ぎ出すシーンで主題歌である「どこまでも ~How Far I’ll Go~」を、『アナと雪の女王』(2013年)では氷の城を作り上げたエルサにアナが語りかけるシーンで「生まれてはじめて」を。ディズニー映画におけるリプライズは、『リトル・マーメイド』でエリックに出会ったアリエルが「Part Of That World(いつか行きたいあの世界)」を「Part Of Your World(あなたのいる世界)」と歌ったように、主人公の成長や感情の変化を兆すための重要な要素として描くことが多い。それはミュージカルとして上演されることの多いディズニー作品の特長ともいえる舞台的な演出だ(メンケンは音楽づくりにおいて、舞台でも映画でも同一の製作方法をとっていると語っている)。

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