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『あなたがしてくれなくても』逃げ場がなくなった2組の夫婦 “離婚”という現実に向き合う

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『あなたがしてくれなくても』©︎フジテレビ

 逃げて、逃げて、逃げて……そして、もう逃げ場がなくなってしまった2組の夫婦が、ついに“離婚”という現実と向き合う時が来てしまった。木曜ドラマ『あなたがしてくれなくても』(フジテレビ系)第9話。

参考:奈緒、『あなたがしてくれなくても』で世の中の夫婦に届けたい“希望” 永山瑛太との縁も

 これまで一番“逃げている”と自覚していたのはみち(奈緒)だった。夫の陽一(永山瑛太)との関係がギクシャクすると、決まって誠(岩田剛典)のことが頭に浮かぶ。誠ならばきっと共感して、自分のほしい言葉を投げかけてくれるはずだ、と。誠を頼って渇いた心を潤し、そしてまたその場しのぎの陽一に傷つき、また誠を求めて……。そんなふわふわとしていたみちが「もうどこにも逃げたくない」と腹をくくった。本当はとっくにわかっていたのだろう。みちにとって陽一が、本当の意味で満たすことができない相手だということを。

 「靴下を脱ぎっぱなしにしないで」「ほら、ティッシュ」など、これまでなにかと陽一の世話を焼いてきたみち。それを「献身的な愛」と言えば聞こえはいいが、はたから見れば「母性愛」に近く、大人同士の「対等」とは言い難いものだった。いずれ陽一の子どもを産み、家庭を築いていこうと考えていたみちにとっては、陽一に対してすでに母性に似た愛情を向けるようになっていたのかもしれない。

 そして、それは「いつまでもアイスクリームとかナポリタンとか食べてたい」と話す、ずっと子どもでいたい陽一にとってはとても居心地のいいもので……。自分がみちと共に親になることなど考えられないというのが、陽一の真意。陽一が逃げていたのは、みちと一緒に大人になる“覚悟”だ。

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 結婚後、子どもを望むみちとのセックスには子作りの意味が含まれていた。ただただ相手を求めてする結婚前のセックスとは全く異なる。そして、きっと体を重ね続ければ、子どもをほしいと願うみちの思いが、ますますプレッシャーになるだろう。自分の思いを正直に伝えれば、おそらくみちは離れていってしまう。ならば、セックスそのものから逃げてしまおう……。

 「みちのことは愛しているけれどセックスはしたくない」に隠されていたのは、“子どもはほしくない”という本音。不器用な陽一のことだ、もしかしたら本人もそこまでクリアに思考が見えていなかったかもしれない。結衣花(さとうほなみ)を巻き込み、誠の妻・楓(田中みな実)に痛いところをつかれ、みちにその場しのぎの言葉がもう通じなくなったとわかってはじめて絞り出された本音だと思うと、なんて未熟なのだろうか。

 しかし、バリバリと働く強い女性に見える楓もまた未熟な部分があった。「あなたさえいなければ、うちはうまくいっていた」と、誠と向き合うことよりも先に、みちを責めずにいられないところもそう。自宅を飛び出してホテルに逃げても、誠が「帰ってこい」と言ってくれないと不満を募らせたのもそうだ。だが、陽一にみちと誠のことをぶちまけようとするも「それはそれで俺のせい」と言い返されて、ようやくこの事態は自分のせいでもあるのだと実感する。そんな楓の弱い部分に気づいた上司の圭子(MEGUMI)に慰められ、泣きじゃくるシーンもまた楓の子どもっぽさが垣間見えるものだった。

 そんな楓に対して「もう傷つけたくない」と言いながらも、みちを忘れられない誠もまた然り。転職をしてでもみちを忘れようとしたはずなのに、みちを見かけるとすぐに缶ビールを買って一緒に時を過ごそうとしてしまう。楓がホテルで待っているのをわかっていながら、迎えに行こうとせず、むしろみちの手を引いてどこか遠くへと逃げようとする大胆な行動にもハラハラさせられた。

 これまでは楓よりも精神的に誠のほうが大人で、楓のほうが支えられているのだと思っていた。だが、「楓とセックスできなかったのは、男としての愛情が戻らなかったからなんだ」と楓に本音を言うときに、楓が誠の背中をさすっていたところに、もしかしたら誠も聞き分けのいい大人っぽく見せかけているだけなのかもしれないと思わされた。

 みちも陽一も誠も楓も、もっと早く未熟な自分に気づくことができていれば、ここまでこじれることはなかったはず。誰かに頼って生きていきたい。ずっと子どものままで甘やかされていたい。常に自分が求められる側でいたい。周囲への影響よりも自分の思うままに突き進みたい……。きっとこうした欲求は独り身のときには当たり前に満たされていた部分だったのではないだろうか。恋人時代にも、夫婦よりも「他人」であるという認識がお互いにある分、尊重されていたかもしれない。

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