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バットマンと共闘で話題のフラッシュは実は“2代目”って知ってる?地上最速のヒーローの歴史をたどる!

MOVIE WALKER PRESS

バットマン、スーパーマンらと共にジャスティス・リーグの中心的メンバーの一人であるフラッシュが活躍するDCユニバース最新作『ザ・フラッシュ』が6月16日(金)に公開される。地上最速の能力を得た青年バリー・アレン(エズラ・ミラー)が時空を超える本作は、フラッシュを主人公にした初の実写映画。そこで、フラッシュとはどんなヒーローなのか、地上最速の男の歴史をたどってみたい。

■バリー・アレンはコミックでは“2代目”フラッシュだった!

「深紅のスピードスター」のニックネームを持つフラッシュは、その名のとおり真っ赤なコスチュームに身を包み、超高速で移動する能力を持ったヒーローだ。彼のパワーの源が、別次元にある未知の運動エネルギー“スピードフォース”。フラッシュはこのエネルギーを操ることで、地上最速になれるのだ。そのスピードは亜光速に達し、「物体の速度が光速に近くなるほど物体の時間の進みは遅くなる」ことからタイム・トラベルも可能。体の分子を高速振動させることで物質を通り抜けたりと、まさに無敵のヒーローといっていい。ただし肉体を酷使するためエネルギー消費量もすさまじく、栄養補給をしないとすぐにバテてしまうという欠点も持つ。

フラッシュがコミックでデビューしたのは1940年、「フラッシュコミックス」誌でのこと。ちなみにスーパーマンの初登場は1938年、バットマンは1939年、ワンダーウーマンとアクアマンは1941年なので、フラッシュはDCヒーローのなかでも最古参の一人である。ただし当時のフラッシュはジェイ・ギャリックという青年で、バリー・アレンの初登場は1956年「ショーケース」誌。つまり映画『ザ・フラッシュ』に登場するバリー版フラッシュは、コミックでは2代目なのだ。ちなみに初代のジェイは翼のエンブレムの付いたヘルメットに赤と青のスーツ姿で、赤いマスクに全身赤のスーツはバリーから。彼に続いて3代目、4代目フラッシュも登場するが、バリーのスタイルが継承されている。ちなみにこのスーツは摩擦から身を守る強化服で、『ジャスティス・リーグ』(17)ではスペースシャトルと同じ素材が使われていると説明されていた。

■90年代ドラマ版には『バットマン』の影響がある?

フラッシュが初めて本格的に実写化された作品が、90年代に米国で放送されたドラマシリーズ「超音速ヒーロー ザ・フラッシュ」(90~91)だ。主人公はセントラル・シティ警察鑑識課のバリー・アレン(ジョン・ウェズリー・シップ)で、落雷したラボで大量の化学薬品を浴びたことで高速移動の力を身につける。ヒロインはフラッシュをサポートするスター研究所のティナ・マッギー博士(アマンダ・ペイズ)。ミサイルから逃げるフラッシュが時間を超えて「フラッシュのいない未来」にたどり着いたり、クローンで生まれたもう一人の自分と戦うなど“フラッシュらしい”見せ場も盛り込まれた。

高速アクションが見せ場の1話完結のアクション作だが、舞台のセントラル・シティが、バットマンの本拠地であるゴッサムを思わせる犯罪都市になっているなど、作品のテイストはシリアスでダーク。テーマ曲をダニー・エルフマンが手掛けるなど、前年に公開されたティム・バートン監督作『バットマン』(89)の影響が見てとれる。フラッシュのスーツは『E.T.』(82)の光るETの制作や『スプラッシュ』(84)の人魚を手掛けたロバート・ショートが担当。コミックを参考に、筋肉が盛り上がったマッチョなスーツを生みだした。VFXを含め技術的には現在のドラマに比べて拙いが、“脱子ども向け”を指向した意欲作だった。

■フラッシュを人気ヒーローに押し上げた「THE FLASH/フラッシュ」

フラッシュ人気を決定づけたのが、2014年にスタートしたドラマシリーズ「THE FLASH/フラッシュ」(14~23)だ。セントラル・シティ警察署のCSI(犯罪現場捜査班)に勤めるバリー・アレン(グラント・ガスティン)が、STARラボの粒子加速器の爆発によって高速移動の能力を会得。自分以外にも特殊な能力を持つメタヒューマンが生まれたことを知ったバリーは、STARラボと手を組み自警組織チーム・フラッシュを結成する。本作のバリーは陽気で仕事熱心だが、空気が読めない研究オタク。同時に幼いころに目の前で母を殺され、父(ジョン・ウェズリー・シップ)は妻殺しの罪で投獄中という十字架を背負っており、葛藤しながらヒーローとして成長していくバリーの姿が多くのファンを魅了した。

幼いバリーは父の事件を担当した刑事ジョー・ウェスト(ジェシー・L・マーティン)に引き取られ、兄妹のように育った彼の娘アイリス・ウェスト(キャンディス・パットン)に片想い中。STARラボのハリソン・ウェルズ博士(トム・キャバナー)らチーム・フラッシュのメンバーとも友情や確執のドラマを展開する。次々に明かされていく意外な人物相関など人間模様も見ごたえがあり、思わず二度見したくなるエピソードも数多い。体感的な高速移動などVFXも話題になり、人気作に成長。2023年に最終章となるシーズン9でフィナーレを迎えた。

■アローバースの中核を成した「THE FLASH/フラッシュ」

本シリーズの魅力は、なんといっても壮大な世界観。バリーが時間を超える姿が何度か描かれたが、母親の命を救ったことで想定外のトラブルを引き起こしたり、世界そのものが崩壊の危険にさられるなど“時間もの”ならではのドラマチックな展開が楽しめる。並行世界も積極的に取り入れ、時空の亀裂“特異点”が開いたことで別のアース(世界)からヴィランたちが出現。「アース3」のジェイ・ギャリック(コミックの初代フラッシュ)など別次元のフラッシュが登場したり、90年代版ドラマの世界を「アース90」に設定し当時バリーを演じたシップを懐かしのスーツ姿で登場させた。彼がティナと結婚していたことを明かしたり、エズラ・ミラー演じる映画版バリーも迷い込んでくるなど並行宇宙を活かした設定は“フラッシュならでは”だ。

本シリーズは弓矢の使い手であるヒーローを主人公に、先行して始まっていたドラマ「ARROW/アロー」(12〜20)を中心にしたシェアード・ユニバース“アローバース”の1本でとして製作された。同じユニバースの「ARROW/アロー」や「SUPERGIRL/スーパーガール」(15〜21)、「レジェンド・オブ・トゥモロー」(16〜22)などと連携しており、クロスオーバーエピソードではバリーはほかの作品で活躍。フラッシュが様々なヒーローたちと共闘する姿が楽しめる。

■予習するなら2つの『ジャスティス・リーグ』を観るべし!

『ジャスティス・リーグ』(17)はフラッシュが劇場映画に本格的に進出した記念すべき作品だ。本作に登場するのは、大学生のバリー・アレン(ミラー)。妻殺しの冤罪で収監された父の無実を晴らすため刑事司法の勉強をしている少年で、宇宙からの脅威に対抗するためバットマン(ベン・アフレック)にジャスティス・リーグに誘われる。ヒーローとしてはまだかけ出しで、その能力については雷に打たれたという程度の説明のみ。バトルシーンでも先輩ヒーローのサポートや人々を避難させる姿の方が印象的だった。空気が読めず軽口ばかり叩くルーキーだが、深刻な顔をしたメンバーのなかでムードメーカーとして存在感を放っていた。

本作でデビューしたフラッシュは、DCユニバース(当時はDCエクステンデッド・ユニバース)として先に製作された2本の映画にカメオ的に出演していた。『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』(16)には汚れた姿で未来から登場。「ロイス・レインが鍵になる」とバットマン/ブルース・ウェインにメッセージを伝えた。『スーサイド・スクワッド』(16)ではキャプテン・ブーメラン(ジェイ・コートニー)の経歴紹介シーンで、ダイヤ強盗中のブーメランを捕獲する。出番は一瞬だが「平気で仲間を裏切っちゃうんだ」と軽口を叩く姿がいかにもバリーらしい。『ジャスティス・リーグ』以降では、DCユニバースのドラマ「ピースメイカー」(22)シーズン1の最終回にジャスティス・リーグのメンバーと共に顔を出している。

『ジャスティス・リーグ』は、のちにディレクターズカットというべき『ジャスティス・リーグ:ザック・スナイダーカット』版がリリースされた。本作では劇場公開版では使われたストーリーやキャラクターのバックグラウンドが大幅に補充され、フラッシュの登場シーンも増えている。劇場公開版では人付き合いに不慣れなオタク少年という趣だったが、ザック版では交通事故から女性を救うシーンの追加によってバリーの優しい一面をにじませた。彼が救ったのは映画『ザ・フラッシュ』で重要な役割を担う大学時代の同級生アイリス・ウェスト(キーアージー・クレモンズ)で、このシーンは単独主演作への伏線でもあったのだ。コミックや14年版ドラマでは恋人で妻になるアイリスだが、映画ではこれが初対面。ウェストに見とれるバリーを超スローモーションで捉えた幻想的な映像と、バックに流れる名曲「ソング・トゥ・ザ・サイレン」が相まってロマンチックな名シーンになっている。予習にはザック版がお薦めだが、公開版にはミッドクレジットシーンとしてザック版にはない“フラッシュVSスーパーマン”が収められているので、こちらもチェックしてほしい。

ほかにもフラッシュは、『DC がんばれ!スーパーペット』(22)をはじめとする数々のアニメーションにも登場し、オタク青年たちの日々を描いたシットコム「ビッグバン★セオリー」(07〜19)でも何度もネタになっている。日本ではバットマンやスーパーマン、ワンダーウーマンに比べ知名度は低いが、本国では根強い人気を誇るヒーローなのだ。

初の主演実写映画『ザ・フラッシュ』では、その能力をフルに使って大活躍するフラッシュ。バットマンやスーパーガール(サッシャ・カジェ)と手を組みゾッド将軍(マイケル・シャノン)に立ち向かうスペクタクルはもちろん、母親や父親への強い愛から時空をねじまげてしまった青年の心のドラマとしても見ごたえある作品に仕上がった。速いだけじゃない、愛すべきヒーロー、フラッシュ/バリー・アレンの魅力の詰まった1本だ。

文/神武団四郎
 
   

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