今季100球以上が6試合以上ある投手は?
5月9日のDeNA戦では143球で2失点完投勝利を挙げた戸郷
プロ野球の1試合の最多投球数は、1954年10月10日の東映の米川泰夫が近鉄戦でマークした264球(延長22回)というのがある。ほんのわずかな期間ではあるが延長回の規定はなく「勝敗が決定するまで」という時代でのもの。延長戦ではなく9回での投球数の最高は、1983年9月21日の日本ハムの木田勇で209球だった。現在の先発投手は100球がメドというのが常識だ。それを考えると木田は2試合分を1試合で投げたことになる。
今季の最多は開幕戦となった3月31日に中日の小笠原慎之介が巨人戦で投げた145球。中日は2対1とリードした8回、すでに100球を超えていた小笠原を続投させたが、二死一、二塁から中田翔に逆転の三塁打を打たれ降板していた。
6月5日まで(以下同)今季両リーグで先発した投手は延べ616人いるが、その投球数の平均は91.7球。リーグ別ではセ・リーグが91.3球、パ・リーグが92.1球とほとんど変わらないが、100球よりもやや少ないのが平均値だ。100球を超えたのは36.7%にあたる226人。セ=112人、36.4%、パ=114人、37.0%とこちらもリーグによって差があるわけではない。
ちなみに昨年の平均は92.2球、100球以上は648人で全体の37.8%と今季と同じような数字だった。
今季100球以上が6試合以上ある投手は次のとおり。
高橋光成(西) 9試合 先発10 4勝3敗
上沢直之(日) 7試合 先発 9 5勝3敗
伊藤大海(日) 7試合 先発 9 2勝4敗
戸郷翔征(巨) 7試合 先発 9 6勝1敗
グリフィン(巨) 7試合 先発10 4勝2敗
大関友久(ソ) 6試合 先発 9 4勝4敗
石川柊太(ソ) 6試合 先発 9 3勝2敗
早川隆久(楽) 6試合 先発 8 2勝4敗
才木浩人(神) 6試合 先発 8 4勝3敗
柳裕也(中) 6試合 先発 9 1勝4敗
小笠原慎之介(中)6試合 先発 9 4勝2敗
やはりエース級や若手で好調の投手が多い。
120球以上投げたのは延べ21人
120球以上投げたのは延べ21人(数字は試合数)。
オ なし
ロ なし
ソ 大関友久 1
日 上沢直之 2
西 高橋光成 2 今井達也 2
楽 早川隆久 1 瀧中瞭太 1
神 西勇輝 2 青柳晃洋 1 才木浩人 1
巨 戸郷翔征 3 赤星優志 1
広 なし
中 柳裕也 1 小笠原慎之介 1
もっとも多いのは9試合に登板している巨人・戸郷翔征で3試合。
5月 9日 DeNA戦 143球 ○完投
5月24日 DeNA戦 127球 ○完投
5月31日 ロッテ戦 120球 ○8回
4月中は100球前後の球数だったが、チームのリリーフ陣の不調もあり、5月9日には今季2番目の143球で2失点完投。24日は127球で完封勝利をともにDeNA戦でマーク。交流戦に入っても31日のロッテ戦で8回4失点で120球を投げている。
完投したのは両リーグで延べ23人いるが100球未満だったのは次のとおり。
東克樹(デ) 4月30日 中日戦 97球
西野勇士(ロ)5月20日 楽天戦 97球
2人いるが、いずれも完封勝ちしている。
先発が充実している阪神
12球団で唯一、先発の平均イニング数が6回を超えている阪神[写真は才木]
最後は球団別の100球以上投げた先発投手の延べ人数と先発投手の平均イニング数。
西 25 5.79
神 25 6.17
中 23 5.65
日 21 5.86
巨 21 5.52
ソ 20 5.59
デ 20 5.72
オ 18 5.67
楽 17 5.65
広 16 5.87
ロ 13 5.66
ヤ 7 5.20
高橋と今井がいる西武と投手王国の阪神が25回と試合の半分近く先発が100球以上を投げている。特に阪神は先発の平均イニングは6.17と唯一6を超えている(7回途中まで投げている)。一方、100球以上は7と極端に少ないヤクルト。5月後半に12連敗を喫しているが、5月の防御率は4.97と投壊状態。先発の平均イニングも5.20と12球団最下位。100球に行く前にKOされているのが現状だ。
文=永山智浩 写真=BBM