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中日が獲るべきだった? 首位快走の阪神・中野拓夢に「WBC経験して最も伸びた選手」の声が

週刊ベースボールONLINE

打線の潤滑油的存在に



「二番・二塁」を務め、阪神打線で“つなぎ”の役割を担う中野

 チームの地力は大型連勝が止まったときに試される。阪神は5月下旬に16年ぶりの9連勝を飾るなど、月間最多タイ記録の19勝をマーク。だが、交流戦1カード目となった5月31日の西武戦(ベルーナ)で連勝が止まり、翌日も2連敗でカード負け越しとなった。

 2カード目はパリーグで首位を快走していたロッテ。ここで粘り強さを発揮する。3日の初戦は9回に3点のリードを追いつかれたが、延長11回に小幡竜平のサヨナラ適時打で振り切った。2戦目は先発の才木浩人が101球の熱投で12三振を奪い、プロ初の完封勝利。3戦目は逆転に次ぐ逆転のシーソーゲームで、今季のプロ野球最長となる5時間7分の死闘の末、7対7で引き分けに。2位のDeNAが西武に敗れたため、5.5ゲーム差に広げた。延長戦は今季4勝2分けと一度も負けていないのが、強さを物語っている。

 今季の209得点はリーグ最多。得点力の増加は、「二番・二塁」で打線の潤滑油になっている中野拓夢の成長が大きな要因だ。早打ちでストライクゾーンに来た球は積極的に振る打撃スタイルだったが、今年は出塁を意識してきっちりボール球を見極める場面が目立つ。4日のロッテ戦(甲子園)では球界を代表する右腕・佐々木朗希の前に無安打に抑え込まれた6回、チャンスメークした。先頭打者で6球粘って四球を選ぶと、二盗に成功。さらに、暴投の間に三塁へ。大山悠輔の右前適時打で先制の本塁生還し、この得点が決勝点となった。52試合出場で26四球。昨季の18四球を早くも超えた。出塁率.383は昨年の.301を大きく上回る。

代表で感じた四球の重要性


 スポーツ紙デスクは、「侍ジャパンでWBCを経験して最も伸びた選手だと思います。途中出場した1次ラウンドの韓国戦で右翼線に三塁打を放つなど2安打2得点と活躍しました。常時スタメンで出場したわけではなかったが、ベンチから先輩たちのプレーを見て学ぶことが多かったでしょう。二番に入った近藤健介(ソフトバンク)、下位でチャンスを作る源田壮亮(西武)が粘って出塁しているスタイルを見て、中野も四球の重要性を感じたと思います。打撃スタイルを変えるのは難しいことですが、シーズンに入って進化しているのが中野の凄みだと思います」と評価する。

入団1年目から躍動


 社会人・三菱自動車岡崎を経てドラフト6位で阪神へ。入団当初は目立った存在ではなかったが、1年目の21年に135試合出場で打率.273をマークして遊撃のレギュラーを獲得。30盗塁でタイトルを獲得した。

 野球評論家の井端弘和氏は21年5月に週刊ベースボールのコラムで、その能力に一目置いていた。

「守備でも打席でも落ち着きがあるのも良いですね。大学、社会人を出ていることも大きいのですが、社会人は読者の方が想像するよりも、かなりの試合数(※都市対抗、日本選手権以外にも公式戦があります)を年間でこなしますので、高校生、大学生とは比較にならないほど。体力の部分でも問題はありません。打撃面に関しては、体は小さい(171cm69kg)ものの、パンチ力もあり、うまさもある。昨夏のオープン戦では、実は最初、バッティングが目についたんです。左対左でもしっかりと引っ張れる。ここがポイントです。ポジションはどこだ? と気にして見ていたら、ショートで、動きもいい。足も速いし、つまり、総合的に良い選手だなと感じました。その後も気にして動向を追っていたら、都市対抗予選で2本塁打を放ち、本選出場に貢献しています。この勝負強さもいいですね」

「開幕前、阪神のオーダー予想で中野選手をショートに推したのですが、ここまで出場機会をほかの選手と分け合ってはいるものの、打率は.326で3つの盗塁を決めるなど、首位を走るチームでしっかりと自分の色を出していると思います。こんな選手がドラフト6位。岡崎のチーム出身なのに、中日はなぜ獲得に動かなかったのでしょうか」

 岡田彰布監督の方針で、二塁にコンバートされた今年は攻守でさらに輝きを増している。阪神の未来は明るい。

写真=BBM
 
   

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