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『波よ聞いてくれ』“良い話”では終わらせない面白さ 人生を好転させ続けるミナレの存在

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『波よ聞いてくれ』©テレビ朝日

 ラジオのパーソナリティーとリスナーの関係は不思議だ。家族や恋人でもなければ、友達でもない。でもまったくの他人とも言い難く、リスナーにとってパーソナリティーは遠くて近い存在。だからこそ、相談相手に選ばれやすいのだろう。『波よ聞いてくれ』(テレビ朝日系)第7話では、ミナレ(小芝風花)がリスナーの悩みを解決に導いた。

参考:『波よ聞いてくれ』『スキロー』『天国大魔境』 『アフタヌーン』原作の映像化が熱い!

「長男が何に悩み、苦しんでいるのか事情を聞き出してほしい」

 ある日、ミナレの番組宛に2年前から引きこもり状態にある26歳の長男を持つ母親からそんな相談メールが届く。前回、リスナーからの相談に辛辣な言葉をかけたカップルインフルエンサーの炎上騒動に巻き込まれたミナレ。自分の冠番組で彼らを公開処刑し、更生に導いた彼女自身が、今度は回答者の立場に置かれることになった。

 本来ならば行政やNPOに相談すべき内容を「なぜ自分に?」と怪訝がるミナレに対し、麻藤(北村一輝)から次回の番組ディレクションを任された瑞穂(原菜乃華)はかなり前のめり。麻藤のように「面白そう」という理由だけで突っ走る彼女の勢いに負け、ミナレは相談者の自宅に向かう。

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 しかし、ミナレと瑞穂を待ち受けていたのは、異様にふわふわとした母親の深雪(遊井亮子)だった。彼女からは相談メールから受け取った切迫感が一切感じられない。実のところ深雪は引きこもっている長男・潤一(橋本淳)の亡き父の再婚相手であり、血が繋がっていない彼には無関心で、相談メールは潤一の義妹・衿子(菊地姫奈)が送ってきたもの。義兄を自分がどうにかしなければという責任感に駆られる彼女を見かね、ミナレは潤一に半ばだまし討ちのような形でアプローチをかける。怯える相手にプロレス技をかける始末だ。

 その強引なやり方を見て流石に不安になったのか、このまま企画を進めるべきか迷い始める瑞穂。そんな彼女を憧れの放送作家・久連木(小市慢太郎)は、「鼓田は物事の白黒をつけるんじゃなく状況自体をぶっ壊しちまうタイプだ。テキトーでめちゃくちゃなやつだけど、うまくハマればまともな人間には真似できねえ方法で正解に辿り着く」とフォローする。

 たしかにミナレはこれまで、マッチングアプリで出会った女性の霊に苦しめられる隣人や勘違いストーカー、メディア界に革命を起こそうとする犯罪集団に、実の兄に6年間も軟禁されていたマキエ(中村ゆりか)と、知らず知らずのうちにいろんな人の人生を好転させてきた。何かしらの呪縛に囚われ、身動きが取れない彼らの状況をミナレが片っ端から豪快にぶっ壊してきたのである。

 そんなミナレを、自身も彼女に背中を押された瑞穂は「ネゴシエーター(交渉人)」と表現する。言い得て妙だ。そして、世界一強引なタフ・ネゴシエーターのミナレは今回も「大地震が来てこの世が滅亡してもこたつの中でずっと丸まっててやる」と頑なに心を閉ざす潤一を意外な方法で軟化させる。

 人様に喜んでもらえることがしたいと突然ボランティア心に火がついたスープカレー店『VOYAGER』店長・宝田(西村瑞樹)。定休日に老人ホームの近くで屋台を出店することになったが、人手が足りず、ミナレは無理やり潤一をスタッフとして参加させる。来てくれたお客さんからの感謝が潤一の自信に繋がり、彼が一歩を踏み出すきっかけに……となれば良い話でまとまったが、潤一がコンプレックスを克服したのは老人を見て「流石にこの人らには勝てそう」と思ったからだった。

 自分より弱い立場の人を見つけて優越感に浸る潤一の人間性はさておき、きっかけは何でもいいのだろう。重要なのは一歩踏み出す勇気。麻藤が言うように、その背中を押してほしくて人々はラジオパーソナリティーという自分とは少し離れた存在に救いの手を求めるかもしれない。本人は無意識だが、当初の宣言通りミナレの番組は人生を挽回したい人たちのリハビリに繋がっている。

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