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【高校野球】「ドラフト1位でプロに行きたい」大阪桐蔭に好投でスカウトから高評価 享栄高152キロ左腕・東松快征

週刊ベースボールONLINE

前田悠伍は「ライバルであり友達」



享栄高は学園創立110周年の記念行事で大阪桐蔭高と対戦。試合前には享栄高・東松[右]と大阪桐蔭高・前田[左]の左腕2人による2ショットが実現した

 享栄高の152キロ左腕・東松快征は、6月1日に照準を合わせていた。学園創立110周年行事は、大阪桐蔭高とのマッチアップ。しかも、舞台は中日の本拠地・バンテリンドームである。しかし、試合を1週間後に控え「これまで悩んだことがなかったんですが……」と語るストレートが、シュート回転していたという。前日の練習でもなかなか改善されず、不安を抱えたまま球場入りした。この日は、全校生徒が見守る中での投球である。不思議なもので、グラウンドに足を踏み入れると気分が高揚し、指先の感覚が戻ったという。

 バンテリンドームに立つのは、中学時代に在籍した東海中央ボーイズ以来。チーム内の紅白戦で約90分使用したが、スパイクを履いてのプレーは許されなかった。今回はプロ仕様の硬いマウンドに順応することが、課題だった。先発した東松は2回途中、左ふくらはぎをつるアクシデントも、5回2安打無失点(試合は特別ルールで7回表終了。享栄高が4対1で勝利)。

「調子が悪いなりに抑えられたのは初めて。相手は日本一の高校。自信になりました」

 最速147キロ。武器であるストレート中心の配球だけでなく、スライダー、フォークを交えた投球術を披露。力で圧倒することを理想としてきたが、柔軟なスタイルにも対応できる引き出しの多さを見せたのは収穫だった。

 この日、東松が「ライバルであり友達」と明かす大阪桐蔭高の左腕・前田悠伍の登板はなし。2人は4月上旬に行われた侍ジャパンU-18代表候補合宿で、親交を深めたという。

「前田との対戦をモチベーションにしてきて、少し前に投げないと聞き、下がった部分は正直、ありました。この夏までに、お互いがレベルアップして、甲子園で前田と投げ合う。新たなモチベーションが芽生えました。(愛知大会では)『勝てる投手』になって全部、自分が投げるつもりで甲子園に連れていく。自分が投げたら、1点も与えないつもりです」

 東松はバンテリンドームでの登板を経て、卒業後の進路においても、決意を新たにした。

「ドラフト1位でプロに行きたい。その思いがすごく、強くなりました!!」

11球団のNPBスカウトが集結



先発した享栄高・東松は大阪桐蔭高打線を5回2安打無失点に抑えた。1995年夏以来遠ざかる甲子園出場へ、背番号1のエースは確かな手応えを得た

 ネット裏には、11球団のNPBスカウトが集結。ドラフト注目左腕の投球にクギ付けとなっていた。

「全身を使ったフォームはダイナミック。投げっぷりがいい。腕が振れ、緩急も使える。将来性を感じる」(ヤクルト・小川淳司GM)

「大阪桐蔭打線をゼロに抑えたのは、自信になったのではないでしょうか。(この夏は)甲子園に出場して、良い部分を見せてほしいです」(巨人・水野雄仁スカウト部長)

「右打者に対する外角のライン(球筋)が良い。体格もあって、ボールの力も強い」(ロッテ・榎康弘スカウト部長)

「春の県大会よりもレベルアップし、順調に成長している。マウンドの姿から意欲を感じますし、取り組む姿勢も良い」(日本ハム・大渕隆GM補佐兼スカウト部長)

「硬いマウンドでも、制御できていた。初めての経験で難しかったと思いますが、自分のフォームで投げられていたのは、センスを感じます」(中日・清水昭信スカウト)

 プロの評価も、うなぎ上り。東松が28年ぶりの夏の甲子園を目指す過程で、「6.1」はターニングポイントとなったはずだ。

文=岡本朋祐 写真=田中慎一郎
 
   

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