本当はチャレンジしてみたいことがあっても、過去のトラウマや自己評価の低さで二の足を踏んでしまう……そんな人は少なくないのではないか。それでも一歩を踏み出せば、描いていた憧れと違うものだったとしても、自分なりの輝きを手に入れられるかもしれないーーウェブ漫画サイト「くらげバンチ」に掲載され、5月19日にはTwitter上でも公開されたオリジナル漫画『わたしが推しになる魔法』を読むと、そうしたポジティブな気持ちになる。
(参考:漫画『わたしが推しになる魔法』を読む)
幼少期から『魔法少女ミラクルピンキー』に憧れていたが、弟に容姿がかけ離れていることを指摘され、“可愛いピンキーになること”を諦めていた伊達爽子(だて・さわこ)。立派なオタクに成長し、カメコとして活動していたあるとき、まるでピンキーそのもののコスプレイヤー・あいなに出会う。原作の話題で意気投合し、一度コスプレをやってみないかと誘われる爽子だが、自己評価の低さから乗り気になれず……。
本作を手掛けたのは、大学卒業後、漫画家のアシスタントとして腕を磨きながらオリジナル作品の制作を行っているという真田往里さん(@sy14kkk)。多くの人が共感でき、明るい読後感が得られる本作を描いた理由など、話を聞いた。(望月悠木)
■“打ち破る人”を描きたい
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――『わたしが推しになる魔法』はどのようにして誕生したのですか?
真田:当時は「“打ち破る人”を描きたい」という思いがありました。また、登場人物が変化する姿が好きなので、そんな要素が加わり、本作が出来上がりました。それらの要素に合うように、自分に自信は無いけど、社会的にはキチンとしている人を主人公にしました。ミラクルピンキーのデザインは日曜朝の某魔法少女作品から着想を得ています。
――小さい時に言われた何気ない一言が、大人になっても呪いのように自分自身にまとわりつくことは珍しくなく、とても共感できるストーリーでした。
真田:「コンプレックスは誰しも抱えているもの」と思っていて、そんな爽子が自分とどう向き合い、どのように前向きになっていくかを担当編集と話しながら、ストーリーを考えました。その辺りを意識して制作できたことが共感につながったのかもしれません。
――爽子とあいながファミレスで『魔法少女ミラクルピンキー』について語り合うシーンでは、リアルさが表現されていましたね。
真田:昔同人イベントにたくさん出ていたんですが、イベント後は友人とお茶をしてオタクトークをすることがほとんどでした。私自身が実際に話していた雰囲気を思い出しつつ、オタク同士の会話をイメージして描きました。