飲食業界には他にも課題がある。帝国データバンクによると、飲食店は非正社員の就業者が全体の7割以上を占めている。人手不足の割合は最も高い8割超だ。
また、東京商工リサーチによると、新型コロナウイルスに関連する飲食業の倒産が385件と、2年連続で大幅に増加しているという。
――コロナ禍の出口が見え始めたが、飲食業は厳しい?
「2、3年コロナ禍が続き人々の消費行動が変化した。コロナ前は頻繁に飲みに行ってた人も多かったが、『自宅で動画を見ながら食事したり飲んだりすることが楽だ』と気づいた人が増えた。コロナは落ち着きつつあるが、以前のような外食習慣に戻りづらくなってきてるので売上が伸びづらい。その一方で、コロナ前よりも原材料や電気代などコストだけが上がり、利益が出にくい状況にある」
――原材料が上がっても値上げは難しい?
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「ファミレス、居酒屋など低価格を売りにしている場合、値上げによる客離れの可能性がよぎり難しいと思う。過去に値上げで業績悪化した例もあり、コストが上がったからといってすぐに価格転嫁はしづらい」
――この先、飲食店には何が求められる?
「二極化していくと思う。1つ目はいわゆるDX。どんどん無人化していく。人件費も価格も抑える」
――タッチパネルなどのDXがマッチしない店もある?
「タッチパネルは常に料金が見えるため、注文を控え、客単価が下がることもある。会話をしながら料理を勧めるなどして客単価を上げるためには対面がいいし、反対に回転率を上げたいならタッチパネルがいいというデータがある」
――もう一つの道は?
「2つ目は、体験価値を提供する代わりにそれなりの価格をいただく空間づくり。例えば、夜景を見ながら食事ができる、その店ならではの世界観や雰囲気に付加価値をもたせる。ディズニーランドに行きたい人がその世界観を求めている面もあるように、いかにファンを作れるかがカギ。ファストファッションや高級ブランドのように、ニーズは変わってきている」
(『ABEMAヒルズ』より)