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アメリカの半導体輸出規制、中国への影響は 日本は7月に規制強化

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 日本の経済産業省は5月23日、先進的な半導体製造装置など23品目を新たに輸出管理対象とし、7月から輸出に規制をかける方針を発表した。中国への技術流出に警戒するアメリカとその同盟国に同調した動きとなる。アメリカが進める国際的な規制は効果的だとみられる反面、アメリカ国内にマイナスの影響を及ぼすとの見方もあるようだ。

◆日本も加わった輸出規制の枠組み
 アメリカ政府は昨年10月、先進的な半導体チップに関する輸出規制を導入した。以降アメリカは、日本とオランダに対し、中国を念頭に置いた類似の輸出規制を敷くよう働きかけてきた。

 アメリカはなぜ、半導体技術の移転に神経を尖らせているのだろうか。英ガーディアン紙(5月22日)はその一因として、台湾有事の懸念を挙げる。製造拠点の立地する台湾への依存が続いていれば、混乱で半導体の供給不足が生じた際、アメリカへの打撃は大きい。また、中国が占領後、半導体産業を中心に迅速に経済を回復させる構想も成立してしまう。このためアメリカ側には、中国の半導体産業の成長を抑制したい思惑があるという。

◆中国は独自に先進のチップを製造できない
 中国の半導体業界は、規制によりどのような影響を受けるのだろうか。台湾経済研究所で半導体を専門とするペイチェン・リュー研究員は、ドイツ国営放送局のドイチェ・ヴェレ(5月29日)に対し、「中国の半導体産業の発達は、おそらく14ナノメートル(nm)プロセスに限定される」との見方を示している。

 スマホやパソコンなどに使われる最先端のチップは、3〜5nmプロセスで製造される。一方、家電など演算速度や消費電力の制限が緩い分野では、旧来型の28nmプロセスなどが使用される。現在中国は、自前で前者を製造することができない。先端半導体製品の開発・製造は、アメリカ、日本、韓国、台湾、オランダがほぼ独占している。うち3ヶ国が輸出規制に踏み切ったことは、中国にとって痛手となる可能性がある。昨年、中国の半導体受託製造大手である中芯国際集成電路製造(SMIC)が7nmチップの製造に成功したと報じられたが、専門家からは量産化には遠いとの見方がある。

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 アメリカの輸出規制は奏功しており、香港のサウスチャイナ・モーニングポスト紙によると、2023年1〜3月の中国の半導体チップ輸入は、前年同期比で23%減少している。

◆アメリカ自体が規制の悪影響を受ける懸念も
 効果を表している輸出規制だが、アメリカにとっては諸刃の剣だ。米半導体大手エヌビディアのジェンスン・ファンCEOは英フィナンシャル・タイムズ紙に対し、完成品も含めた輸出規制により同社が「甚大な損害」を受けると主張している。ファン氏は、中国市場の顧客を喪失することで米半導体企業が顧客の3分の1を失うおそれがあると論じ、そうなればアメリカの工場は成り立たないと訴える。

 また、じわじわと広がる国際的な規制の網を前に、中国政府は自国での技術開発に力を入れ始めた。ガーディアン紙は、中国政府が半導体業界への減税策や補助金など、1兆元(約20兆円)規模の支援策の用意を進めているとの観測を報じている。

 技術流出を警戒するアメリカだが、結果として自国企業の収益を妨げ、中国独自の技術開発を促進するおそれがあるという悩ましい状況に置かれているようだ。

 
   

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