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『らんまん』志尊淳と牧瀬里穂の心配は尽きない 今を生きる万太郎&寿恵子との切ない対比

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『らんまん』写真提供=NHK

 『らんまん』(NHK総合)第43話で、寿恵子(浜辺美波)は実業家・高藤(伊礼彼方)のもとで出会ったアメリカ人ダンス講師・クララ(アナンダ・ジェイコブズ)の優美な姿に魅了され、「先生に教わってみたいの」と母・まつ(牧瀬里穂)に打ち明ける。まつの許しを得て満面の笑みを浮かべる寿恵子とは裏腹に、まつは心配そうな顔つきで娘を見つめる。「男にすがって生きていくような娘にだけはしたくないんだよ」と呟くまつに、菓子職人の文太(池内万作)はまつの目をまっすぐに見つめながら、優しい声色でこう言った。

参考:『らんまん』池内万作は万太郎&寿恵子の“キューピッド” 名脇役として実直な佇まい

「それはお嬢さんにも伝わっていると思いますよ。女将さんがそうですから」

 一方、植物採集に行った万太郎(神木隆之介)が十徳長屋へと戻ってきたのは夜遅くだった。万太郎を心配する竹雄(志尊淳)の姿が印象に残る。万太郎がなかなか帰ってこず、「若が倒れたがかもしれません」と心配する竹雄に、りん(安藤玉恵)が「世話好きだねえ」と一言。竹雄はいてもたってもいられず、医者を呼ぼうとするが、りんとえい(成海璃子)がそれを引き留めた。幼い頃から万太郎を支えてきた竹雄にとって、いつまで経っても「若」は体が弱く、自分が支えなければならない存在なのだと感じさせられる。当の本人はいまや健康で丈夫な体を持ち、朝から晩まで植物研究に没頭している。満ち足りた笑顔を見せる万太郎と、万太郎の身を案じ、不安げな面持ちを見せる竹雄との対比が切ない。

 まつも竹雄も、天真爛漫な寿恵子や万太郎が心配でならない。寿恵子の将来を気にかけたり、万太郎の体を気遣ったりしているからこそ、まつも竹雄も心苦しい表情を浮かべていることが多い。そんな彼らの心を解くのは、母娘をそばで見てきた文太や十徳長屋の人々など、寿恵子や万太郎の「今」を知る者なのではないだろうか。寿恵子や万太郎の「今」と向き合い、まつや竹雄が心の底から安堵できる時が待ち遠しい。

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 万太郎が持ち帰った珍しい水草をゆう(山谷花純)は「ヒルムシロ」と呼んだ。ゆうは故郷の話を避けるが、ゆうの生い立ちが万太郎の植物研究の進展と物語の今後の展開に関わってきそうだ。また、物語終盤には、田邊(要潤)に同行し演奏会へ行った万太郎が、ドレスに身を包んだ寿恵子と対面。驚いてわたわたする寿恵子の姿がかわいらしかった。
(文=片山香帆)

 
   

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