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クレナズム、春から夏への移り変わりを選曲で表現 代官山UNITで迎えたワンマンツアーファイナル

Real Sound

クレナズム(写真=林田祥吾)

 クレナズムが『春のバリよかワンマンツアー2023』を開催。ファイナルの東京公演が、2023年5月27日に代官山UNITにて行われた。

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 2018年に結成されたクレナズムは、萌映(Vo/Gt)、まこと(Ba)、けんじろう(Gt)、しゅうた(Dr)から成る4人組バンド。シューゲイザーとJ-POPを融合させたサウンドで話題を集め、昨年は映画『ふたりの傷跡』の主題歌を担当するなど、活動の幅を広げている。現在は結成地の福岡を拠点に活動しているが、今後の飛躍が期待される彼らのパフォーマンスを見るために、この日も多くの観客が代官山UNITを訪れていた。

 定刻になり、真っ白な衣装に身を包んだ4人がステージに登場。3月に配信リリースされた新曲「さよならを言えたかな」でライブは幕を開けた。歌詞の〈桜の花が舞って〉やピンク色の照明からは、春の情景が思い起こされる。今回のツアータイトルにも“春”とあるが、クレナズムの楽曲の歌詞には季節を表すワードが含まれていることが多い。そもそもバンド名の「クレナズム」=「暮れなずむ」も、日が落ちるのがだんだんと遅くなっていく春の夕暮れを表す言葉だ。おそらく、季節感を大切にしているバンドなのだろう。

 春から季節が移り変わる様子を描くように、ライブの前半は“夏”を連想させる楽曲がセットリストの多くを占めていた。とくに序盤は「杪夏」「ひとり残らず睨みつけて」とアップテンポなナンバーが続き、サビで観客が拳を高く突き上げるなど、会場の熱量が一気に高まっていく。「ヘルシンキの夢」では、観客のクラップに萌映が「ありがとう」と答える場面も見られた。直後のMCで萌映は「楽しすぎてギターの弦が切れてしまいました」と明かしており、フロアの高いテンションに応えるように、彼らの演奏もいつも以上に熱がこもっていることがわかる。

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 さらに、本ツアーではこの時点で音源化されていない楽曲たちも届けられた。5月31日リリースの新曲「夏日狂想」を含む3曲で、共通しているのは“夏”をテーマにしていること。新曲の前には、セミの鳴き声や時計の針が進むようなSEが流れており、曲と曲の繋ぎにもライブの世界観に没入できるような工夫が見られる。既存曲と新曲を織り交ぜた、一夏を巡るようなセットリストで会場を沸かせた。

 後半ではライブ用にアレンジされた楽曲も披露。まずは、音源よりもポップにアレンジされた「velvet rain」。しゅうたが刻むドラムに合わせて、フロアからは手拍子が沸き起こる。次に、クボタカイをフィーチャリングし話題となった「解けない駆け引き」を重厚感のあるバンドアンサンブルで届けた。力強い演奏で観客を魅了すると、続く「鯨の鳴き声」では背面のスクリーンに星空が浮かび上がり、一気に幻想的な雰囲気に。低音が重く響くベースと、ノイジーなギターがつくりだす浮遊感のあるサウンドに、観客は静かに聴き入っていた。

「みんなが会いに来てくれるから、私たちは覚悟をもって音楽を続けていけます。あなたに届きますように」

 そう萌映が告げた後、ギターの轟音を合図に「ふたりの傷跡」へ。ここからはMCを挟まず、宇多田ヒカルのカバーである「SAKURAドロップス」、クレナズムの代表曲とも言える「花弁」と、畳みかけるように曲が披露されていく。気づけば、季節は再び“春”へと戻ってきたようだ。

 本編ラストに演奏されたのは「わたしの生きる物語」。新年度が始まって2カ月というこのタイミングで、〈この季節になると思い出す/わたしは情けないってことを〉という歌詞に自分を重ねた人も多いのではないだろうか。そんな人たちの気持ちを代弁するように、萌映は感情のこもった歌声を会場に響かす。アウトロでは激しく点滅する照明の中で、4人が大きく体を揺らしながら演奏。轟音が会場を満たすパフォーマンスでステージに幕を下ろした。

 アンコール無しの90分。ライブが終わり会場を出た18時半頃、図ったように暮れなずむ空が私たちを迎えていた。終演後には『秋のバリよかワンマンツアー2023』の開催も発表したクレナズム。新曲が豊富に盛り込まれていた点からも、今後の展開を期待させるライブだった。次の季節に彼らはどんな姿を見せてくれるのだろうか。

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