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『王様に捧ぐ薬指』山田涼介の心の成長 東郷と綾華の“信じる”のギャップが今後のキーに?

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 そんなかわいらしい東郷にほっこりとしていたら、またもや神山に出し抜かれてしまった。「信じて待ってるから」と綾華を高校の同窓会に送り出した東郷。しかし、酔ってしまった綾華を神山がホテルに連れ込んでしまう。

 記憶をなくしてただ寝てしまっただけ。東郷に対してやましい行為はしていない。そう綾華がありのままに伝えることができたのは、“東郷ならわかってくれる”という綾華から東郷への信頼があるからだろう。

 そして、東郷もまた綾華がそう言うのであればそのまま信じると、覚悟を見せる。さらには、綾華を責めるのではなく「夫婦の問題」だと味方にもなってくれた。そして、これまでとは違う熱いキスに「やっと上書きできた」という言葉も。

 これが、本当に愛のある夫婦になった心強さか……と喜んだのもつかの間、家にやって来て東郷を挑発する神山に綾華が口を滑らせる。これまでの神山らしくない一連の行動に、疑問を持った綾華。なにか事情があって、こんなことをしているのではと問いただす。そして、神山がそんなことをする人ではないと「信じている」と言ってしまったのだ。

 先述した通り「信じる」とは東郷にとって最大の愛情表現とも言える。きっとそこには母・静(松嶋菜々子)の愛情や優しさを信じていたのに、それを裏切られた経験も影響していることだろう。綾華の言葉に、あの何も信じられなくなる怖さが東郷を襲ったに違いない。その眼差しは、築き上げてきた信頼がガラガラと崩れるのを眺めているようで。それまで微笑ましい表情が見られたからこそ、その目に漂う切なさの落差に、心が痛んだ。

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 もしかしたら温かな家庭で育った綾華にとっては、「信じる」という愛情は決して揺らがないもので、東郷にとってその言葉がどれほど大切なものか、そこまで理解が及ばなかったのかもしれない。たくさんの「信じる」を知っている綾華と、いつ消えるかわからない「信じる」を必死で握りしめる東郷。このギャップに、2人はこれからどう向き合っていくのか、今後のキーになりそうだ。

 そして、一度は静に、東郷と綾華を引き離す計画から手を引きたいと言ったはずの神山。その急激な心境の変化は本当にお金の問題だけだったのだろうか。そして、いつも冷静沈着な静が、ひどく慌てた様子を見せた謎の電話は一体……。さらに次週予告では、「ラ・ブランシュ」箱根店の新(北村匠海)が再び登場。そして、東郷と社長の座を交代するというではないか。

 これほど環境が変化しては、2人の距離はさらに開いてしまわないかと心がざわめく。だが、こんなときだからこそお互いの愛情を「信じる」ことが必要なのかもしれない。綾華は、東郷の心が落ち着くのを「待つ」ことができるのだろうか。

(文=佐藤結衣)

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