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映倫 次世代への映画推薦委員会推薦作品 — 映画『光をみつける~ヴァイオリニスト穴澤雄介からのメッセージ』—

キネマ旬報WEB

全盲のヴァイオリニストが自ら切り拓いてきた人生の記録

「見えなくなったら希望が見えた」と語るヴァイオリニストの穴澤雄介。はたして、彼がそう口にするまでにはどんな人生があったのか。このドキュメンタリーは穴澤の発言とのびやかな演奏から、その秘密に迫っていく。

YouTube用に彼が絵を描いているシーンから始まる本作。自らを〝穴ちゃん〞と呼び、明るく、笑いを交えながら語る彼の姿に「この人は何者なのか?」という疑問が浮かぶ。やがて、彼が光さえも感じることができない全盲となるまでの過程が明らかになる。生きていくために選んだのは音楽。しかし、指で触る点字の楽譜を使う彼には「すべてのメロディーを覚えなければ弾けない」という大きなハンデがあった。そのことを穴澤はウサギと亀のレースに例えながら面白おかしく語り、自分の場合はカメとでさえ勝負にならないので、独自の道を探し、独自のゴールを設定しなければならなかったと振り返る。

 

映画の中では、彼の話を聞く相手として、元大相撲力士の舞の海秀平が登場する。飛び抜けて小柄ながら、様々な工夫をして大きな力士たちと渡り合ってきた彼は、「目の前にある困難をいかに乗り越えていくか」を考え続けてきた穴澤に深く共感しながら、彼の話に耳をかたむける。

光を失ったことによって人並みはずれた「想像力と記憶力」が育まれたという穴澤雄介。しかし、それに続く「命にかかわるから」という言葉は、見えない人たちにとってこの社会が、いかに危険に満ちた場所であるかということを思い出させる。と、同時に彼は、どんなにつらいことがあっても「どこかに抜け道はある」と、観客を励ます。この映画を通じて、そんな彼と出会うことは、すべての人たちにとって、大きな力となっていくことだろう。

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文=佐藤結 制作=キネマ旬報社
(キネマ旬報2023年2月上旬号より転載)

 

 

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