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週刊朝日、休刊に 最終号から考える新聞社系メディアの在り方

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 朝日新聞出版が発行する「週刊朝日」が、5月30日発売の「休刊特別増大号」で休刊する。休刊特別増大号の表紙が誰になるのか注目されていたが、なんと編集部員や雑誌づくりに携わるスタッフら総勢33人が登場するという、意表をついた仕様となった。なお、この表紙は写真家の浅田政志による撮りおろしとなる。

 「週刊朝日」は1922年に創刊され、昨年2月には創刊100周年を迎えた老舗の週刊誌。戦後の高度成長に伴う出版ブームとともに急激に部数を伸ばし、1954年には100万部を突破し、世の週刊誌を牽引する存在となった。2007年には『発掘!あるある大事典』の納豆ダイエットのデータ捏造をスクープするなど存在感を示していた。

 しかし、休刊が発表された時点での日本雑誌協会発表の2022年7月~2022年9月の印刷証明付部数(印刷部数公表)によれば、発行部数は7万4173部と、全盛期の10分の1以下まで急激に落ち込んでいた。部数減に歯止めがかからず、今回の休刊決定となった。

 休刊特別増大号は101年の集大成に相応しい充実した誌面となっている。吉永小百合、池澤夏樹、東山紀之など101人を超す著名人によるコメントが寄せられており、なかには週刊朝日への苦言や提言も含まれているという。また、宮崎美子などのスターを生み出した「女子大生表紙」のほか、村上春樹の特別インタビュー、井上荒野による読切小説など、編集部曰く「101年の集大成となる特集を詰め込んだ永久保存版」となった。

 さて、今回の「週刊朝日」の休刊は、雑誌というメディアの在り方を考え直す機会になっているのは間違いない。まず、最新の2023年1月~2023年3月の3ヶ月ごとの平均印刷部数を見てみよう。「週刊文春」がトップで46万6583部、「週刊現代」が33万6667部、「週刊ポスト」が29万1000部、「週刊新潮」が28万9811部である。

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 出版社系の週刊誌はまだ堅調といえるが、新聞社系は深刻な状況といえる。「AERA」は6万4300部、「サンデー毎日」は4万2264部と、大きく引き離されている状態だ。これを単なる雑誌離れや、WEBメディアの発達などという言葉で片付けていいとは思えない。

 既にリアルサウンドブックの記事でも述べたように、出版社系の週刊誌に対して、新聞社系はもはや目立ったスクープ記事が見られなくなった。発信力の面でも凋落傾向にあったことは否めないだろう。対する「週刊文春」は紙のみならずWEBメディアでも発信力を増し、「文春オンライン」は独自のスクープを連発して広く読まれている。

 「週刊朝日」は本体の「朝日新聞」譲りの硬派な誌面作りが持ち味だった。政治家、企業などに鋭く切り込む、ジャーナリズム精神が顕著な週刊誌であった。そうした良さがここ数年、果たして発揮されてきたかどうか。部数が落ち込んでいる新聞社系の週刊誌は良くも悪くも無難な記事が多く、週刊朝日のスクープが世間を揺るがした「納豆ダイエット」のスクープのようなインパクトが見られない。こうした編集方針こそが、存在感を薄めている要因ではないだろうか。

 雑誌は速報性でWEBメディアに勝つことは不可能である。だからこそ、スクープをとる、記事の内容を充実するなど、独自色を打ち出していかなければ生き残れない。今回の休刊発表を機に、週刊誌や、雑誌の在り方を今一度考え直すべき時期に来ているといえる。

文=元城健

 
   

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