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優勝がかかる大一番、浦和Lが優位に立てたのは先制点まで。プレスがはまらず、縦に急ぎ過ぎ、消耗戦に引きずり込まれ、痛恨の逆転負け【WEリーグ】

SOCCER DIGEST Web

[WEリーグ第20節]長野L2-1浦和L/5月27日/長野Uスタジアム

 WEリーグ第20節の1日目、5月27日、優勝へあと1勝としていた首位の三菱重工浦和レッズレディースは、長野Uスタジアムに乗り込みAC長野パルセイロ・レディースとのゲームに臨んだ。この試合に勝てば、翌日に行なわれる2位・INAC神戸レオネッサと3位・日テレ・東京ヴェルディベレーザとの結果に関わらず、優勝が決する。

 先制点は11分、浦和Lにもたらされた。右サイドに流れた猶本光が、中央に向かってドリブル。「中に入らず、外に開く動きをしてほしい」と練習から伝えられていた島田芽依が、猶本の注文どおりに左のスペースでフリーになっていた。

「(猶本が)突破してくれると思っていたので、パスを受けようと走っていたら、後ろからマークがついてきていなくて、左のスペースが空いていたので、そこで受けたら決められるなと」(島田)。

 そこへ、猶本が左足でパスを通す。イメージどおりのトラップから、コースを狙いすましてのシュート。天王山とも言えたI神戸戦に続き、成長著しい若手のひとりがこの日も試合を動かした。

 しかし、浦和Lがはっきりと優位に立っていたのはそこまでで、ここから長野Lの反撃が始まる。いつもとは違い、前線からのプレスがはまらない。
 
「相手のサイドバックへのプレッシャーが遅れて後手に回ってしまった」と清家貴子。その理由については「思ったよりも後ろのポジションを取ってきたので、後ろへの声かけとタイミングが合わなかった」と語る。

 これまでの試合では、守備網のどこかで引っかけていたボールが、この日はゴール付近まで持ち込まれる回数が少なくなかった。22分、瀧澤莉央が、川船暁海を使って侵入してシュートしたシーンや、26分、川船のバーに弾かれたシュートなど、前半のうちから長野Lにも得点チャンスが生まれていた。

 浦和Lの1点リードで迎えた後半。このままリードを活かして、セーフティな戦いをするか。それとも、もう1点を狙いに行くか。

 焦点は、そこに移ったかに見えたが、実際には「その前の、上手くいかなかった前半の戦いを受けて、後半、どう修正するのかというところでした」(清家)。
 
 解決策を探す浦和Lに対して、長野Lは差し違える覚悟で、前半から引き続き、前線からのハイプレスを繰り出す。浦和Lがひっくり返そうと前線の菅澤優衣香、清家へのロングボールを入れても、長野Lの最終ラインも粘り強く対応した。

「長野がタイトなマークを続けて、その間にウチの攻撃陣が疲れてしまったのかなというイメージです。いつか止まるだろうと思っていたマークが、最後まで続いていて、そこのところで崩しきれなかった」と浦和Lの楠瀬直木監督。指揮官は縦に急ぎ過ぎた部分も反省項目として挙げていた。

 石川璃音も「暑さがあるからこそ、少しボールを回してから攻撃をしていきたかったかなというふうに思います」。26度を超える暑さのなかで、相手ペースの消耗戦に引きずり込まれたことも苦戦の一因だった。

 息継ぎのポイントが少ないゲームで、最後まで、驚異的な運動量を持続した長野Lは、68分、大久保舞のシュートで同点に追いつくと、90分には瀧澤の折り返しを鈴木日奈子が決めて逆転に成功する。

「90分、諦めずにやってくれた結果がつながった。チーム全員の勝利だと思っている。ハードワークしてくれた選手のおかげ」と田代久美子監督。トップ3との3連戦初戦を最高の形でモノにして、今季、積み上げてきたものを証明して見せた。
 
 浦和L優勝の可能性は、次節以降に持ち越しになった(翌日の I神戸対ベレーザの試合結果がどうなっても、どちらか1チームには逆転の可能性が残るため)。

 楠瀬監督は「大きな仕事を為すには、まだまだやることがたくさんあるのかなと思いました。残り2試合ですが、優勝はもとより、(今日、できなかったことを)次に向けて改善したい」と意気込む。

 次節のホーム・駒場スタジアムで、大宮アルディージャVENTUSとの埼玉ダービーに、優勝をかける。

取材・文●西森彰(フリーライター)
 
 
   

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