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「びびって守備に回って…」松木玖生が大事にした“勝負に対する気持ち”が命運分ける。自身を含め、矢印を向けきれず【U-20W杯】

SOCCER DIGEST Web

[U-20W杯]日本 1-2 イスラエル/5月27日/メンドーサ・スタジアム

「世界との差を見せられた試合」

 試合終了の笛が鳴ると、主将MF松木玖生(FC東京)は膝に手をついた。逆転でのグループステージ突破に歓喜するイスラエルを横目に、その表情は硬かった。

「ボックス・トゥ・ボックスは自分の一番の強み」と自負する通り、ピッチで縦横無尽に奮闘した。3試合連続のフル出場もいとわず、松木は最後の最後まで攻守に走り回ったが、もう1点が遠かった。

 3試合で一番の内容とも言える前半から、一転した。課題とされた後半の立ち上がり、日本は明確に5バックを敷いて15分間を乗り切った。その後はボールを握りつつ、松木も最前線でプレスをかけにいくなど、再び4バックに戻して流動的にポジションを変えていく。

 だが、数的優位になった終盤20分間、主導権を握ったのはイスラエルだ。

「びびってしまって守備に回ってしまっているのが一番の要因。プレスの合わない部分も修正できなくなっていった」

 またしても、じりじりと潮目は変わり、一気に相手の圧にのみ込まれた。最後に勝敗を分けたのは、何より松木が大事にしたかった「勝負に対する気持ち」だったという。

 実際に、終盤の相手の数的不利を感じさせない“執念”や“気迫”は日本を圧倒的に上回っていた。一歩の寄せ、局面局面での集中度。日本には足りなかった。自身も含め、チームをそうした矢印に向けきれなかった事実が、松木の悔しさを倍増させる。

「やっぱり勝負に対する気持ちの部分、最後に足が伸びてくるところは日本と海外の差。個人個人が見つめ直さないといけない」
 
 アジアカップに続き、チームを間違いなくけん引してきた存在だった。練習では先頭に立ち、試合でもキャプテンマークを巻いて「戦う気持ち、勝負のこだわりを植え付けていきたい」と、誰よりチームを鼓舞し続けた。強烈なキャプテンシーは疑いようがない。同時に、それは独りよがりでない立ち振る舞いでもあった。

「昔の自分だったら『自分が自分が』ってなると思うけど、周りを活かしつつ、周りを活かしていけるようなプレーをしたい」

 このチームに本格的に松木がやってきたのは昨年11月のスペイン遠征。一直線に考えるのでなく、全体をコントロールし、周囲との調和も大事にすることが勝利につながると信じ、副キャプテンや他のメンバーも頼りながらチームを束ねていく姿が印象的だった。

 ただ、“世界一”へ向かう目標は、無情な形で閉ざされることになりそうだ。

「まだ可能性は残っているので、そこに希望をかけながら」と語りつつも、ほぼ絶望的な現実とも向き合っていた。

「もし無理だったとしても、胸を張って日本に帰りたい」

 コロンビア戦では勝点1を取りこぼすPK失敗もあった。それでも逃げずに、顔を必死に上げている。

 冨樫剛一監督も、「サッカー選手として、彼らはもっと成長したいだろうし、ここから先も続いていく。ワールドカップのグループリーグでアフリカ、南米、そして欧州の3チームと戦えたことは、彼らの成長に間違いなく影響する」と、ここでプツンと糸を切らしてはいけないことを強調した。

 キャプテンとして、初めての世界舞台で3試合を戦い、これまでにない「差」と「悔しさ」を味わった濃密な期間。何度でも立ち上がらなければいけない。松木玖生というサッカー選手は、ここで終わるような男ではないはずだ。

取材・文●小口瑞乃(報知新聞社)

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