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【大学野球】すでに優勝が決まった中で迎えた早慶戦 「対抗戦」にはV争いとは異なる感情が入り混じる

週刊ベースボールONLINE

スタンドにこだました両校のサビ



東京六大学春季リーグ戦の第8週、早慶戦の1回戦には2万6000人の大観衆が集まった

 7回表のエール交換。神宮球場は、シーンと静まり返る。三塁とレフト側の慶大応援席は起立して、準備に入る。一塁とライト側の早大応援席は「私語厳禁」。この一瞬の静寂から、相手チームへのリスペクトを感じる。慶大應援指導部の大太鼓のあと、リーダーの指揮により『若き血』が始まった。慶大関係者はメロディーに合わせて歌い、右手を上下に掲げる。

 5月27日の早慶戦1回戦。

 今春から声だしが解禁となり、応援席での従来の応援スタイルが2019年秋以来、4年ぶりに復活した。2020年秋以降は応援団(部)による応援は応援団(部)活動エリアとして、観客の立ち入りを禁止していた。やはり、昨秋までの拍手のみとは、臨場感が違う。7回裏は一塁、ライトの応援席で早大応援部の指揮による『早稲田大学校歌』を声高らかに歌った。

「慶應、慶應、陸の王者、慶應」

「早稲田、早稲田、早稲田、早稲田、早稲田、早稲田、早稲田」

 両校のサビが、スタンドにこだまする。2万6000人の観客は、この日を待ち望んでいた。

 1903年11月21日に行われた第1回早慶戦(慶大三田綱町グラウンド)から、伝統の一戦は120年。東京六大学における「対抗戦」のルーツが、早大と慶大のライバル決戦だ。

 今春、第6週で明大がリーグ3連覇を決めた。第7、8週を残しての状況であり、明大は歓喜の胴上げを自粛した。仮に他校であっても第7週までのV決定の際は、最終週の早慶戦に配慮するのが慣例だ。全日程を終え、閉会式後、優勝校が神宮の杜を舞うのである。

 すでに、優勝が決まった中で迎えた早慶戦。「対抗戦」にはV争いとは異なる感情が入り混じる。勝ち点2同士の直接対決。このカードで勝ち点(2勝先勝)を取ったほうが3位となる。優勝に絡まない早慶戦にも、意地と意地が激突する醍醐味が詰まっている。学生、ファンも気持ちは同じ。だからこそ、今季最多2万6000人の大観衆が一投一打を見守った(コロナ禍の2020年春以降では昨春の1回戦、昨秋の1、2回戦の2万2000人が最多)。

 1回戦(5月27日)は、早大が逆転勝利(5対3)で先勝した。2対2の7回裏に代打で勝ち越し3ランを放った4年生・島川叶夢(済々黌高)は、一般入試で現役合格した努力家。3年春にリーグ戦デビューし、この一発がうれしい初本塁打だった。こうした練習の虫、苦労人があこがれの神宮で活躍する姿は非常に誇らしく、夢と希望を与える。

 先勝を許した慶大も、このまま終わるわけにはいかない。母校の名誉をかけた「対抗戦」は、最後の一球まで、白熱の試合を展開する。

文=岡本朋祐 写真=矢野寿明
 
   

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