自分が死んだあとに家族が見るであろう“遺影”。自分の最終形態として意識してしまわないだろうか。これまでなら、自分の特徴をよく押さえている、写りが良いものを候補にしたと思う。
だが、昨今はテクノロジーの発展とともに、死や弔いの概念が変化しつつある。実際に墓まで足を運べない人のためのリモート墓参りサービスや、デジタル墓、VRゴーグルをつけるVR墓参りといったサービスはすでに始まっている。墓参りが多様化すれば、遺影だって多様化してもおかしく無い。
Twitter漫画「ばあさま達の穏やか終活」はそんな自由な遺影にまつわる話だ。制作者のしまだ@おばあちゃんガチ勢(@simada108)さんに話を聞いた。(中川真知子)
ーーまず、テクノロジーと死をテーマにした作品を描くきっかけを聞かせてください。
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しまだ@おばあちゃんガチ勢(以下しまだ):コロナが最も流行っていた時に、「お墓参りに行けない」「家族やおばあちゃんに会いにいけない」等のつぶやきを見かけるようになりました。 その渦中でバーチャル関係がすごく進化し、みんながすごい速さで適応していったのが印象深くて、記憶に残っています。 お年寄りもテクノロジーに前向きになっていたら良いなあ、素敵だなあと思い描きました。 また、私自身も将来お墓を立ててもらうなら、漫画のような感じだったらシンプルで重荷にならずにいいなあと思いました。
ーー高齢者を主人公にした作品を描いていらっしゃいますが、しまださまにとっての高齢者とはどんな存在でしょうか。
しまだ:もともとおじいちゃん、おばあちゃん子でした。 年上の存在として尊敬でき、同時にかわいらしい天然を持った最強の人物です。 そんなお年寄りと共存していく世界を、歳を重ねるにつれ前向きに考えたいなあと思い始め、漫画を描いています。
ーー最近は若者と高齢者を分断させるようなニュースや話題がありますが、しまださんがTwitterで描いている「ばあさま」シリーズを読むと、ささくれだった気持ちが穏やかになっていくのを感じます。「お年寄りと共存していく世界」はすごく重要だと思います。では、しまださんはどんなおばあちゃんになりたいですか。バーチャルお墓に飾って欲しい遺影のイメージもおしえてください。
しまだ:お年寄りは自分の人生の延長線上にある姿なので、人間性などは簡単に変えられないと思っています。 せめてトラブルは起こさないような人にはなりたいと思っています。 バーチャルではネコや動物になりたいな…などという願望があります。
ーーばあさまもケモノになっていますよね。斜め上ながらいいアイディアだと思いました。私もヒグマになりたいです(笑)。最後に今後の活動についてお話しください。