このシリーズで、バックスは大黒柱のヤニス・アデトクンボが初戦の前半に腰を強打したことで6得点、3リバウンドに終わり、続く2試合を欠場。第4戦から復帰したものの、勢いに乗るヒートを止められず、優勝候補として迎えたポストシーズンは期待外れの結果に終わった。
現地時間5月25日に公開された『AMP』の“Sideline Stroll with Ros”へ出演したドリュー・ホリデーは、シリーズ平均37.6点、6.0リバウンド、4.8アシスト、1.8スティールの大暴れを見せたジミー・バトラーとのマッチアップをこう振り返った。
「僕は相手のベストプレーヤーたちをディフェンスしている。どんなポジションであろうとね。必死に頑張っているんだ。そんな時、彼が最後の試合で“口撃”してきた。競争を好む者なら誰だってやることだし、ジミーは究極の負けず嫌いなんだ。誰だって負けるのは嫌だ。けど僕は負けてしまった。ジミー・バトラーは数多くのプレーを決め切り、僕は何もできなかったんだ」
196cm・93kgのホリデーは、ポイントガードとしては大柄な部類で、当たり負けしないフィジカルの強さを生かした守備に定評があり、今季は2年ぶり通算3度目のオールディフェンシブ1stチームに選出。バックスはバトラー(201cm・104kg)への刺客としてこの男を送り込んだ。
ホリデーは対峙した計44分間で2本のブロックを浴びせて3ターンオーバーを誘発したものの、バトラーはフィールドゴール成功率56.5%(26/46)、3ポイント成功率64.3%(9/14)に9アシストと翻弄し、ホリデーを寄せ付けなかった。
これにはホリデーもお手上げだった様子で、次のように漏らしていた。
「あの時の彼には誰がついても何もできないよ。ブルック(ロペス)をつけても、レブロン・ジェームズかマイケル・ジョーダンをつけてもね。彼にとっては誰が相手であろうとお構いなしで、ジミーは別格のレベルでプレーしていたよ」 バックスはバトラーに対してホリデーをつけて、213cm・110kgのアデトクンボをヘルプ役として起用した。だがアデトクンボがシリーズ敗退後に「最終的には、もっと彼のことを守れたらよかったと思う」と語ったように、サイズと身体能力を兼備するアデトクンボをマッチアップさせていれば、結果は違うものになっていたのかもしれない。
チームはシリーズ敗退後にマイク・ブーデンホルザーHC(ヘッドコーチ)と決別。現在は新たな指揮官の選定に入っているほか、今夏はロペスやジェイ・クラウダー、ジョー・イングルズらがフリーエージェント(FA)、クリス・ミドルトンがプレーヤーオプションとなるため、ロスターに変化が生じる可能性もある。
一方で来季終了後、プレーヤーオプションを破棄して完全FAになることが可能なホリデーは「どこにも行くつもりはない」と話し、ミルウォーキーでキャリアを終えたい意向を示していた。
はたして、来季のリベンジに向けてバックスはどんなオフを過ごすことになるのか。今後の動向から目が離せない。
文●秋山裕之(フリーライター)