
政府は25日公表した5月の月例経済報告で、景気の全体判断を「緩やかに回復している」に上方修正した。引き上げは10カ月ぶり。この表現は、新型コロナウイルス感染拡大による経済への悪影響が本格化する直前の2020年2月報告以来、3年3カ月ぶり。コロナ禍で低迷していた個人消費や自動車生産の持ち直しを反映させた。
全体判断を示す4月の表現は「一部に弱さが見られるものの、緩やかに持ち直している」だった。
景気の先行きについては「雇用・所得環境が改善する下で、緩やかな回復が続くことが期待される」との見方を示した。その上で、注意が必要な要因から「供給面での制約」を削除した。
個別項目の判断では、内需の柱である個人消費を「持ち直している」に上方修正した。引き上げは10カ月ぶり。外食や旅行などサービス消費の回復に加え、部品供給制約の緩和で自動車生産が増加し、新車販売台数が伸びているため。生産と輸出の判断も、自動車の回復を受けて引き上げた。上方修正は、生産が9カ月ぶり、輸出が2年5カ月ぶり。
海外経済の判断も「一部の地域において弱さが見られるものの、持ち直している」に引き上げた。米国で景気が緩やかに回復し、感染再拡大の影響が後退している中国でも景気に持ち直しの動きが見られることを踏まえた。