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「リボ払いで93万円」の借金地獄に陥った31歳女性。“利子は必要経費”と開き直る理由

日刊SPA!

「リボ払いで93万円」の借金地獄に陥った31歳女性。“利子は必要経費”と開き直る理由

 クレジットカードの月々の支払いを一定額にすることができる「リボ払い」。たとえ使い過ぎても、自身で設定した金額以上は引き落とされることなく、残債の支払いは翌月以降に繰り越される。お金が手元になくてもカードを利用できるという点は、リボ払いのメリットと言えるだろう。
 しかし、金利が高いことでも知られ、相場は年率約15%ほど。仮に支払い残高が常に100万円ある場合、金利だけで年間15万円、1ヶ月あたり1万円以上も支払っていることになる。それだけの高金利を支払っているにもかかわらず、リボ払い利用者はカード会社の巧みなテクニックによって「借金をしている」という認識が薄い人も多いようだ。

◆リボ払い地獄にハマってしまった31歳女性

「リボ払いを始めてもう10年近く経とうとしていますが、今はキャッシングリボも合わせると100万円くらいの支払い残高があります」

 そう語るのは、東京都に住む31歳の独身女性の高橋麻美さん(仮名)。支払いは毎月3万円に設定しているが、一向に減っていく気配がないようで……。そもそも、クレジットカードを作ったきっかけはなんだったのだろうか。

「最初にクレジットカードを作ったのは大学2年生のときです。ショッピングモールに買い物に行ったときにカードを案内する人がいて、どういうきっかけだかは覚えていませんが話を聞くことになりました。『支払うのは再来月でいいですし、ポイントもつくんですよ』と言われ、“大人の階段登る”みたいな気持ちになって、作ってみることにしたんです」

◆支払いが間に合わずにカードが止まることも

 大学生だった当時は実家暮らしでアルバイトをしていた高橋さん。アルバイトの給料が振り込まれるまで待てないときに便利だと思い、最初はお金がピンチのときだけ利用していたという。まさかこれが地獄への第一歩になるとは思っていなかったようだ。

「それから半年で3社のカードを作ったんですよね。上手く使い分けているわけじゃなくて、単純に支払日が別のカードを3種類作ったって感じです。支払いが間に合わなかったときに『このカードが止まっているのなら、こっちのカード使おうかな』みたいな感じでした」

◆リボ払いを始めたきっかけ

「アルバイトで稼いだ数万円は、ほとんどカードの支払いに消えていった」というギリギリの生活を送る高橋さんのもとに、ひとつの「ご案内」が届いた。それが彼女にとって“地獄への招待状”とも言える「リボ払い」のご案内だった。

「支払うのが難しくなってきた頃に、ホームページを見ると『リボ払いのご案内』が出てくるようになりました。当時私はカードで毎月5万円くらい使っていましたが、その支払いが一定にできる……、つまり『2万円でよくなるってこと!?』と思い、すぐに申し込みました。もちろん、払えなかったお金はいつか返さなくちゃいけないことはわかっていましたよ。でも“今月の支払い”という目先の苦しみをいかにラクにするかを考えていた私からすると『今の自分にピッタリだな』と思ったんです」

◆リボ払いに慣れてしまったことによる代償

“今月の支払い”という目先の精神的苦痛から解放された高橋さんだったが、リボ払いに手を出してしまった代償はあまりにも大きいものだった。

「リボ払いを始めた当初は『とりあえず今月来月くらいはリボにして、払えるようになったら払えばいいじゃん』と思っていました。今思うと、その状況に慣れてしまったのが私の一番の失敗です。途中から、お金を下ろせる『キャッシングリボ』の申し込みをして、現金も下ろすようになりました。ギャンブルは一切やらないのですが、家賃の支払いや友達との飲み会などで現金が必要になることもあったので、『簡単にお金を借りられてありがたい』と思っていましたね。それから2〜3年が経って、自分の収入的に数ヶ月で返せるような額じゃなくなってしまい、完全に“沼にハマった”状態になりました……」

◆ひと目でわかりにくい借金額

 リボ払いの「支払い残高」は間違いなく「借金」である。しかしカード会社は借金とは呼ばない。利用者にリボ払いをしていることを「世間的にまずいことをしているのでは?」と思わせないようにすることも、カード会社のテクニックと言えるのではないだろうか。

「明細は年に一回見るくらいで、ほとんど見てないですね。ざっくりとどのくらいの支払い残高があるのかは把握していますが、たまに見ると『増えてはないけど、減ってもないな』と思うことが多いです。そもそも、マイページを見てもわかりにくいんですよ。残りいくら払わなくてはいけないかが書いてあれば、それが『自分の借金額』という認識をして、そのヤバさに改めて気づくと思うんですが……。残りいくら利用できるかが書いてあるので、パッと見て借金額がわからない。しかも利用できる額が100万円を越えているから、『まだこんなに使えるんだ』と安心しちゃいます」

 高橋さんは続けて、「今、こうやって話してて『自分がこう思っているんだ』とわかってきました。私の考え方ってヤバいですよね……」と話した。たしかにカード会社からすると、高橋さんのような人に利用してもらうのが一番儲かるだろう。ややこしい表記にしているのも、面倒くさがって後回しにしてもらう戦略にも思えてくる。

◆キャッシングは限度額いっぱいまで利用中

 なお高橋さんのキャッシング利用可能額は残り2万円とのこと。

 ショッピングリボとキャッシングリボの額を合わせると、借金額は928,722円。なお、高橋さんが利用しているカード会社は、ショッピングリボの年率は約15%、キャッシングリボの場合は約18%のため、キャッシング利用でさらに多くの利息を払っていることになる。

「月の支払いが3万円固定と言いましたが、キャッシングとショッピングを1万5千円ずつ返している感じですね。この額になると、もう利息がいくらとか気にしないようにしてます。なんとなく、3万円のうちの1万円くらいは利息を払ってしまっていることはわかっていますが……。でも私、リボ払いにしてからは決められた期日に支払いをしているので、いつの間にかゴールドカードになってるんですよ!」

 高橋さんはこのように話したが、無事故無違反だったらゴールドに昇格する自動車の運転免許と違って、クレジットカードのゴールドカードは期日を守り続けたから昇格するものではない。確実にどこかのタイミングで自分で切り替えているのだろうが、高橋さんはそれすらも把握していないようだ。

◆返済できるイメージは「まったくない」

 リボ払いで沼にハマってしまったことは自覚しているという高橋さん。最後に、今後どのように返済していくのかを聞いた。

「正直言ってしまうと、全額返済するイメージはまったくできていません。大学時代に作ったクレジットカードは、今リボ払いとして使っているカード以外は全部解約したのですが、支払いが滞ったこともあるので、おそらく新しいカードを作れないと思うんですよね。そうなると、リボ払いで使っているこのカードが私にとっても“最後の切り札”。だから、たしかに利子は高いと思いますけど、それも必要経費というか……。生活費はどうしてもかかるので、生きていくために『使わせてもらってありがたい』という気持ちすらあります。だから沼から抜け出せないんでしょうね……。完済しようというよりかは、今後も上手に付き合っていこうという感じです。もちろん、いつかは返そうと思ってますよ」

 なお、検索サイトで「リボ払い」と調べると、関連ワードで「やばい」「地獄」などが出てくる。高橋さんのように借金をしている自覚はなく、知らず知らずのうちに借金まみれになってしまうパターンが多いことで、こういうワードが出てくるのだろう。今回の取材で「より一層自分のヤバさに気づきました」と話した高橋さんが、リボ払い地獄から脱出する日は訪れるのだろうか。

取材・文/セールス森田



【セールス森田】
Web編集者兼ライター。パチンコライター・動画編集者を経て、現在は日刊SPA!編集・インタビュー記事の執筆を中心に活動中。全国各地の取材に出向くフットワークの軽さがセールスポイント
 
   

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