私、週刊ゴルフダイジェスト編集部Yは、昨年4月、女子大生になった。社会人大学院に通い始めたのだ。ゴルフ雑誌の編集者がなぜこんなことをしているのか。「ゴルフ」と「人」のチカラを見つめる日々を記したいと思います。
50歳、知命の年。社会人大学院に通うことになった
ゴルフ雑誌の編集を仕事にして15年以上経つ。「不惑」の年を、何事もなかったかのようにやりすごしたけれど、「知命」の年、生まれて半世紀を突破したとき、社会人大学院に通うことを思い立った。
ここ最近、リスキリング、リカレント教育などという言葉をよく聞くが、私はあくまで自分自身の意思で、仕事は現状通り続けながら学ぶ、という選択を取った。
いろいろ探して見つけたのが、文京区茗荷谷にある「筑波大学大学院東京キャンパス」だ。社会人のための夜間大学院がある。学部は「人間総合科学学術院人間総合科学研究群リハビリテーション科学学位プログラム」を選んだ。何とも長い名前だけれど、要は「リハビリテーション」を科学的に学ぶところだ。
編集者として多忙な日々を送っていることを自認する私にとって、山手線内にあること、国立大学で学費も安いことが決め手となった。
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ではなぜ、ゴルフ雑誌の編集者がリハビリテーションを学ぶ気になったのか。きっかけは、障害者ゴルファーの皆さんの取材をしてきたことにある。
初めて「障害者ゴルフ」の大会に取材に行ったのは12年前。衝撃を受けた。
義足、義手、車椅子……さまざまな障害を持つ方々が、緑のコースで楽しそうにゴルフをしている。
その日、私がラウンドに付いたのは左半身麻痺の障害を持つ方だった。左足を引きずりながら一生懸命歩き、右腕1本でボールを打っている。スウィングとしては、初心者以下。しかし、ドライバーで100ヤードを誇らしげに飛ばすその姿は、ゴルファーそのものだった。
「こんな体になってしまったけど、やっぱり、ゴルフはいいね」
ゴルフにこんなチカラがあるなんて思わなかった。