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農作業をスポーツに変えた、アシックスの驚きの挑戦

パラサポWEB

アシックスといえば知らない人がいないほどの、大手スポーツ用品メーカーだ。そのアシックスが農業に注目した。“農業×スポーツの力で、日本における社会課題を解決できる”可能性を考え、未来につなげる“アグリスポーツプロジェクト”を立ち上げるという。いったいどういうことなのだろうか。同プロジェクトを推進する、インキュベーション部 部長・勝真理氏にお話を伺った。

社会課題の解決はビジネスの大事な要素

©Shutterstock

アシックス本社のある神戸市によるサポートで、市内の企業が地域全体の活性化を目的とするオープンイノベーションプログラム“Flag”が、2022年に始動した。参画企業は10社。それぞれが新たな事業開発や課題解決に向けたテーマを旗(Flag)として掲げ、共にチャレンジしたい共創パートナーを募りプロジェクトを進めていくという試み。その1社がアシックスなのだが、テーマとして掲げたのが“心と身体の健康に繋がる、農業でのアグリスポーツワーケーションビジネスの創出”だ。これは、最近地方創生の起爆剤とも言われ、企業で導入されはじめている「スポーツワーケーション」に農業(アグリカルチャー)を取り込んだもの。スポーツに関係の深い“健康”はわかるが、そこになぜ“農業”が結びついたのだろうか。

「アシックスの創業哲学は“健全な身体に健全な精神があれかし”。つまり、誰もが一生涯運動・スポーツに関わり心と身体が健康で居続けられる世界を実現することなのです。この哲学に基づいて、アシックスでは、新規事業を立ち上げる際、スポーツの知見を掛け合わせて社会課題を解決するといった要素を重要視しています」

そこで、勝氏の脳裏に浮かんだのは、農業の人手不足。生活のための動作や労働でも、キツイものは重労働と言われて嫌われる。一方で、健康増進のためなら、スポーツクラブやジムなどで身体を動かすことを厭わない。発想を変えれば農業の人手不足という社会課題を解決できるのではないかと、勝氏は考えたのだ。

「ジムやスポーツクラブでは、お金を払い空調の効いた部屋で電気によってマシーンを動かして運動をしています。それを否定するわけではありませんが、たとえば農作業などの重労働もトレーニングになると思えば、しんどい作業ではなくなります。外に出ていって誰かのために身体を動かし、植物や農作物を育てることができれば、身体にとってはもちろん心にも良い影響があると考えていました。それが農業の人手不足の解消にもつながればwin-winで皆が幸せになれる。さまざまな問題を解決できるスキームになるのではと思ったんです」

農作業も一般スポーツと同様の効果が

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アシックスがFlagに参画するに当たって“農業”がテーマに含まれたのは、そんな勝氏の問題意識も一端を担っている。ただ、スポーツと農業をかけあわせた“アグリスポーツワーケーションビジネス”が、本当にビジネスとして成り立つのかについては確証が持てなかった。なので、Flagで一緒にイノベーションを進めるパートナーの選定に関しては、本当にそれが実現できるのか、それによって効果が得られるのかを検証できることを条件にしたのだそう。

「今回の実証では、長野県の飯綱町に本社のある株式会社みみずやさんと組んで2月に3泊4日でリンゴの木の剪定、枝拾い、薪作りなどの農作業による、心身に与える影響と地域社会の活性化への効果の検証を行いました。みみずやさんは“みみずのいる場を増やす”をテーマに、廃校や遊休農地を活用しコミュニティ運営などを手がける会社なのですが、作業をする施設を持っていて地域の自治体や農家さんとの繋がりも強かったので共創パートナーにはぴったりだったんです」

作業を通じて測定したのは以下の3点だ。

・運動強度
・心身への影響(ストレス、想像力、集中力、注意力、記憶力、睡眠)
・地域の声

さまざまな作業毎に、身体のどの部分にどのぐらいの負荷が掛かるかを測定するのは、まさにアシックスが得意とするところ。以下の図のように身体のさまざまな部分を使っていることが分かった。

「身体の影響はともかく、心の面、集中力や創造性は運動後に上がるというのは先行研究で証明済みではあったんですが、農作業でも同じ効果があることがわかりました。それから、地域の農家さんもとても喜んでくれたことが嬉しかったですね。今までは無理して頑張ってお金を払ってアルバイトなどを集めて作業をしてもらっていたのに、“希望して人が集まり応援してくれるのが非常にありがたい”と言われました。また受け入れる自治体も地域の活性化になるので、今後自治体としても取り組みをやりたいというような意見をいただいたので、確かな手応えは得られたと思っています」

カーボンニュートラルも、“アグリスポーツワーケーション”の付加価値に!?

Flagの成果発表会で登壇してプレゼンテーションを行う勝氏
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