「皆さん、こんにちはー。今日は、よく来てくださいました。ただいまから『ひきこもり女子会』、始めたいと思いまーす」
都心の貸し会議室。午後の陽光が大きな窓から差し込み、清潔感あふれる部屋の雰囲気そのままに、女性は明るい声で、硬い表情の参加者たちに語りかけていた。
今年3月末、内閣府はひきこもりに関する調査(’22年実施)の結果を発表。それによれば、15〜64歳でひきこもり状態にある人は、全国で推計146万人にのぼるという。なかでも、40歳以上の中高年では女性が半数超の52.3%を占めていたことが注目を集めていた。
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「ようやく、実態に追いついた数字が出てきたように思います」
こう話すのは、「一般社団法人ひきこもりUX会議(以下、UX会議)」の代表理事・林恭子さん(56)。貸し会議室で参加者に優しく語りかけた、あの人だ。
「『ひきこもり』という言葉が広く知られるようになって20年以上。その間、困難を抱える当事者に向けて、自治体などによる、さまざまな支援策が講じられてもきました。ですが『ひきこもり=若い男性』というイメージが根強く、実態に即していない支援も少なくなかったように感じています」