
動物を虐げるのが人間なら、救うのもまた人間だ。フランスのサーカス団に劣悪な環境下で飼われていた4頭のメスライオンが、ついに南アフリカの自然保護区に移された。
長い年月、鎖でつながれ、檻の中で過ごしてきた4頭は、コロナのパンデミックにより輸送計画が大幅に延期になったが、去年2月に救済団体によって永遠の故郷に戻されることになった。
最初、4頭は著しく変わった環境にためらっていたが、今は保護区での新たな生活に慣れ、第二のライオン生をゆっくりと過ごしているという。
Lions rescued from circus released into nature sanctuary – BBC News
フランスのサーカス団の飼育下にいたライオン4頭を保護
4頭のメスライオン、アンジェラ、ベローネ、サイーダ、ルーガは、飼育下で生まれ育ち、長い間フランスのサーカス団に虐げられてきた。フランス中を巡回するサーカス団に連れられ、4頭は大声で騒がしい群衆の前で演技を強いられることを余儀なくされてきた。
4頭の唯一の家は、小さな檻で、向きを変えるのも困難なほどスペースがなく、劣悪な環境だった。

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2018年、野生動物慈善団体「ボーンフリー財団」は、4頭をサーカスから救出。南アフリカの自然保護区に輸送するための資金集めを呼びかけると、多くの動物福祉団体が協力。4頭のために、じゅうぶんな資金が集まった。
コロナのパンデミックでの延期を経てついに永遠の故郷へ
いよいよ南アフリカへ4頭を移動させるという時に、コロナのパンデミックで延期を余儀なくされた。パンデミックの間、4頭はフランスの救助センターに留ることになった。

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輸送は保留となったが、最終計画はあくまでも4頭を無事に南アフリカの保護区へ連れて行くことだ。
ボーンフリー財団は、その時を待ち続けた。
そして2022年2月、ついに4頭はフランスから南アフリカの自然保護区「シャムワリ・プライベート・ゲーム・リザーブ」に向けて、長い旅を始めた。

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自然の地に足を踏み出したライオンたち
生まれてから一度も自由を味わったことがなかった4頭のライオンは、自然保護区に到着し、檻から解放され、初めて自由に歩き回ることができた。
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通常、飼育下で生まれたライオンは、完全に野生に解放することは適していないという。
しかし、ボーンフリー財団の当局者は、保護区が次善の策であると述べている。
実際に、4頭は広々とした敷地内の探検を始め、よく食べよく飲み、新たな環境に素早く適応したようだ。

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動画では、保護区に着いて檻から出されたライオンが、少しためらうそぶりを見せながら一歩を踏み出し、やがて自然のにおいを嗅いで、土の感触を味わうようにして歩く姿が捉えられている。
保護区でマネジャーを務めるボーンフリー財団のキャサリン・ギルソンさんは、このように話した。
4頭が保護区に戻ったことで、何年もの間否定されてきた生活に少しでも近づくことができると信じています。なお、4頭がいたフランスでは、2021年11月にサーカス団での野生動物の使用を禁止した。
新しい生活に順応し始めると、光景やにおい、音はすぐに感覚を高めます。
4頭は今、アフリカの永遠の故郷にいます!
隣国のイギリスでは、2019年から禁じられている。しかし、他のヨーロッパ諸国では、いまだ野生動物を使った移動サーカスが数多く開催されているという。
今回、4頭が生きる第2のチャンスを与えられたのは、4頭の命を大切に思ってくれた人々が、決して救助を諦めなかったおかげだ。
きっと今頃、アンジェラ、ベローネ、サイーダ、ルーガは、南アフリカの保護区でこれまで味わったことのない自由を楽しんでいることだろう。
References:Circus lions that spent their lives chained and in cages get their first taste of freedom/ written by Scarlet / edited by parumo