
5本指で物を拾うだけでなく壊れやすい物のあつかいも学習中。初公開から半年余りのアップデートの進化ぶりはいかほどに?
イーロン・マスクがヒューマノイドAIロボット「オプティマス(Optimus)」(別名:テスラボット)のプロトタイプを初めて公開したのは2022年9月。開発宣言からわずか1年という早さだった。
のっぺらぼうな頭部をもつこのロボットは、華々しいデビューなわりに実際に見せた動作はほんのわずかでぎこちなく、せっかくの人間らしい指も当時はただの飾りみたいな印象だった。
ところが今月の映像では歩行も前よりスムーズに。現在は歩きながら周囲を認識したり人のように丁寧に物をつかみ上げるコツまでも身につけつつあるという。
Tesla Bot Update
テスラ社が開発中のAIロボット「テスラボット」がアップデート
今月半ばテスラ社が公開した動画によると、同社が開発中のヒューマノイドAIロボットの「テスラボット(オプティマス)」は歩行や物体認識、操作性にかなりの進歩を遂げてるそうだ。人間と同じ5本指や、顔がない不気味さでも話題になったロボットは、現在センサーやカメラを使うスキルを磨いており、人間の行動もあわせて学んでいる。

歩行やモーター制御のほか指の動きも学習中
昨年のテスラのイベント「AI Day」では、ぎこちなく歩行して手を振るぐらいでいかにも開発中なロボロボしさが拭えなかったが、本動画ではいくつかのアップデートがみられる。歩行はスローだが前よりなめらかになり
カメラとセンサーで周囲の環境の認識や記憶も可能に

また壊れやすいものへの配慮として
生卵も割らないモーターのきめ細やかな制御や

人間の動作から
ものの拾いかたや置きかたなども勉強中

ちなみに今(2023年5月17日現在)のスペックは身長1.7メートル。体重約57キロ。歩行速度は不明だが2021年の時点では時速約13キロ。
テスラ車の運転支援プログラミングと同じAIを搭載しており、前述の能力に加え最大20キロの物体を持ち上げることができるそう。

目標は生産ラインに役立つロボット。人間の労働危機も解決
こんな感じで着実にスキルを磨くテスラボット。テスラ社の目標は、将来こうした人型ロボットが物体を箱に仕分けするなどの「複雑なタスク」をこなすこと。こうしたスキルは主に工場の生産ラインで役立つものだ。

それを裏付けるかのように、昨年イーロン・マスク氏は国際的な経済紙ウォール・ストリート・ジャーナルに「このロボットが人間の労働危機を解決することができる」と語っている。
1体28万円以下。テスラ社の自動車事業を上回る可能性
また同氏はこのロボットそのものがテスラ社の事業を駆逐する可能性にふれている。つまりロボット事業が今の自動車事業を上回ること示唆してるのだ。昨年の時点で同氏が述べたテスラボット1体の推定価格は2000ドル(28万円)以下。新品の自動車1台よりも安価な値段だ。
もしテスラボットの開発が順調に進んで大量生産されたとしたら、ロボットがいよいよ身近になるかも。

ただ今の進捗度合からすると人間の作業スタッフの代わりやお手伝いロボットとして活躍するにはかなり時間がかかりそう。
あと頭部があいかわらず人間味ゼロなところもアレだけど、スポットみたいに見慣れたら愛着がわくようになるのかな。さて今後はいったいどうなることやら。
References:inverse / borninspaceなど /written by D/ edited by parumo