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<ひとり老後>を考える…快活に楽しく過ごすための“準備と考え方3カ条”

テレ東プラス

ひとり焼き肉、ひとり飲みは当たり前! 水族館やプラネタリウム、バーベキューからカヤックまで、一昔前には聞き慣れなかった“ソロ活”という言葉が浸透し、今やさまざまなジャンルを積極的にひとりで楽しむ人たちが急増している。
そして、究極のソロ活といえるのが“おひとりさま”というライフスタイルだが、その先の“ひとり老後”まで考えると、単純に楽しいというだけでなく、きっとそれなりの覚悟が必要なはずだ。

そこで「テレ東プラス」は、エッセイストの岸本葉子さんをインタビューし、前後編に渡ってお届け。著書「ひとり老後、賢く楽しむ」(だいわ文庫)にスポットを当て、“ひとり老後”を楽しく過ごすための“準備と考え方3カ条”を聞いた

【動画】「ソロ活女子のススメ3」

▲エッセイスト・岸野葉子さん

コロナ禍で、誰もが“ひとり”と向き合うことに…


――「ひとり老後、賢く楽しむ」は、岸本さんが50~90代までの方々を取材、皆さんのリアルな経験や考え方が丁寧に綴られていて、一つひとつのお話がとても心に残りました。まずは、執筆に至った経緯からお聞かせください。

「私はこれまで、“ひとり”や“老い支度”などをテーマに書く機会が多く、そんな中で、自分以外の皆さんが“ひとり老後”をどのように捉え、何を不安に思い、どれくらい備えているかを知りたくなったということが背景にあります。
シニア向け雑誌には、70~90代の方も登場しますが、たいていの場合は著名人が多く、収入はもちろん、きっと側で支えてくれるスタッフもいらっしゃる。これでは、あまり参考になるとは言えず、“雑誌に載らない一般の方々はどうされているのかな?”と知りたくなりました」
――著書では、未婚・既婚問わず、さまざまな年齢や立場の方が登場します。

「ひとり老後を楽しんでいらっしゃる方はもちろんですが、ファイナンシャルプランナーの方や高齢者施設の方など、ひとり老後生活を専門職の立場から見たり、支えたりしている方々にもお会いしました。
皆さんほぼ初対面なのに、よく話してくださって…。やはり“老後”というキーワードは、共通の関心事なのだと感じました。
例えば野球の話をすると、一人が知らなければそこまで盛り上がりませんが、ひとり老後というテーマに関しては、未婚既婚関係なく、誰もが思い当たることであり、当事者になり得るというのが大きい。おそらく、シニア層の女性が3人集まったら、盛り上がるのは恋バナではなく“老いバナ”かもしれません(笑)」

――単行本が出版されたのは2019年7月。ご執筆されたのは、コロナ禍前ですよね。

「そうですね。当初は、高齢化社会で増え始めたシニア層を意識して書きました。パートナーや子ども、兄弟がいたとしても、人生終盤に近づくと、誰もが一人になる可能性を秘めている。それをどう受け止め、どう過ごしていくかということをテーマにしていたのです。
でも、コロナ禍を経た今、“ひとり”というテーマは、シニアだけのものではなくなりましたよね」

――そうですね。世の中の状況は一変しました。仕事も学校もリモートになり、急に家族が密になり、逆に一人の時間が極端に減った方も…。個人的なことではありますが、私も夫婦のあり方を考えさせられました。

「コロナ禍で、否応なしに“ひとり”ということを考えた方は多いと思います。一人暮らしの方はもちろん、家族と住んでいても一人の時間の大切さを感じるなど、誰もが“ひとり”と向き合うきっかけになりました。今回文庫として、再度この本を送り出しましたが、4年前とは違う世の中なので、幅広い世代の方に読んでいただけたらいいなと思います」

ここで岸本さんが、ひとり老後を楽しく暮らすための極意…「準備と考え方の3カ条」を伝授!

“準備の3カ条”とは?


・好きなことを持つ

「何でもいいから夢中になれることがあると、ひとりにも老後にも強いという印象があります。
取材でお会いした皆さんに趣味を尋ねると、愛犬の写真を撮るのが好きだったり、ヨガを教えていたりと、何かしら好きなことをお持ちでした。よく『私は趣味がなくて…』と悩む方もいますが、“どんな時に頭の中が空っぽになるかな?”と考えると、誰でも何かしら好きなことがあるのではと思います。
例えば、推し活などはものすごいエネルギー源ですよね。私はフィギュアスケートのオタクから体力的に卒業しましたが(笑)、宝塚やアイドルに夢中になり、70歳を過ぎても『〇〇の地方公演に行くの!』と生き生きとおっしゃる方を見ると、とてもステキだなと感じます」


・健康づくり

「健康は、楽しく暮らす基盤です。健康を損ねるとお金もかかりますよね。病気などの不可抗力はしかたがないとしても、ある程度の生活習慣で予防できそうな不調は努力する
そこで何がいいかと考えていくと、結局は、昔からいわれる“バランスの良い食事と適度な運動”にいきつきます。睡眠時間を極端に短くしない努力も必要ですね。
私は、1回30分の加圧トレーニングに月に2回通い、人生で今が一番運動しています(笑)。筋肉をつけることは貯金、いえ“貯筋”に等しいと思います。

ファイナンシャルプランナーの方を取材した際に教えていただいたのは、“老後の備えは歯と腿である”ということ。健康な歯で咀嚼ができるかどうかが重要で、残っている歯の本数は、認知症発症率と相関関係があるそうです。自分の歯で噛むことができると、食べることにも欲が出ますよね。
腿は、私自身、親の介護を経験して実感しました。排泄を人の手に委ねるか、自力で行うことができるか…介護は腿の筋肉を使えるか否かが分かれ道になりますから」

・家計をつかんでおく

「現在の資産を把握するのではなく、まずは自分が月額どれくらいの規模の家計を営んでいるかをつかむこと。そうすることで、“この暮らしを続けるなら、今からこのくらい貯金しないといけない”、“生活レベルのサイズダウンが必要だ”などが見えてきます。
家計というと、普段買い物するものしか思い浮かばない方が多いのですが、自動引き落としになっている光熱費や住宅関連、税金などを含めると結構な金額になります。家計簿アプリなどにクレジットカードと銀行口座を登録しておくと、自分が意外と大きな規模の家計を営んでいることが分かります。“私は無駄遣いしていない”と思っていても、何十年も生きていれば、それなりの規模の家計になっているはずです」

“考え方の3カ条”とは?


・変わっていけるという“しなやかな強さ”

「実は私も取材を進めるまでは、“ひとり老後に強い=肉体的にも自分自身もなるべく変わらないことが大事だ”と思っていました。でも取材した皆さんは、口をそろえて『変化に対応することが大事』とおっしゃる。特に70代の方は、10年のスパンではなく、数年単位で自分自身にさまざまな変化が生じると。そこで“いーや、私は決して変わるまい!”と頑張ってしまうと、自分を取り巻く周囲の変化も受け入れることができなくなってしまいます。まずはさまざまな変化を受け入れて、“じゃあ自分はどう対応していくのか”と考えていけるのが一番ですよね。

例えば、周りの変化に対して“おや?”と感じる出来事があったとしても、柔軟に対応することが大事。それができないと“キレやすい老人”になってしまうのかもしれません。
これは私自身の体験ですが、以前コンビニエンスストアで、店員さんから払込書を上下逆さの状態で渡された際、“えっ?”となってしまったことがありました。私たち世代のビジネスマナーとしては、用紙を渡す際、文書が読みやすくなるよう相手側に向けて差し出すのが基本。一瞬、疑問に思いましたが、その直後、今度は私がセルフレジのやり方がまったくわからず、同じ店員さんに丁寧に教えていただくことに…(笑)。“あーこの先は、自分のやり方が正しいとか、そういう問題ではなくなるのかもしれないな”と、身をもって教えられました」

・自分の心配だけしない

「ファイナンシャルプランナーの方を取材した際、『自分の心配だけする人って、いつまで経っても不安がなくならないんですよね』と言われて、なるほどと納得しました。
それを聞いてからの私は、次世代そして社会全体のことを考えるようになり、以前よりも寄付を多めにするようになりましたが、その度はなんとなくホッとして、清々しい気持ちになります。
こういう社会との小さなつながりを通して、“自分のことだけを心配している場合じゃない”と考えるようにすると、焦りや不安は少しずつ解消されていくのかなと思いました。

コロナ禍を経て、誰もがきれい事ではなく、“地球は一つなんだ”と感じましたよね。自国で感染が収束しても、別の国で拡大していれば再びウイルスが入ってくるかもしれない。以前よりも自分以外の人を身近に感じることができるようになったという方も多いのではないでしょうか」

・不安になったら調べる

「例え1億円持っていたとしても、不安を抱えている人はたくさんいます。不安を抱えたら、“何とかする方法はないかな?”と、まずは調べることが大事。今はパソコンさえあれば、何だって簡単に3秒で調べられる時代です。ただ“不安だ…”と嘆いていても何の解決にもならないので、不安を小分けにし、その都度自ら対処法を探していくといいと思います」

5月20日(土)夜10時に公開するインタビュー後編では、“ひとり老後”を満喫している方の共通点や、ソロ活を楽しむ若い世代に向けたアドバイスなどをうかがいます!


「ひとり老後、賢く楽しむ」(だいわ文庫)

【岸本葉子 プロフィール】
エッセイスト。1961年神奈川県生まれ。大学卒業後、会社勤務、中国留学を経て、執筆活動に入る。食や暮らしのスタイルの提案を含む生活エッセイや、旅を題材にしたエッセイを多く発表。同世代の女性を中心に支持を得ている。
著書に『ちょっと早めの老い支度』(オレンジページ)、『もっとスッキリ暮らしたい ためない心の整理術』(文春文庫)、『50歳になるって、あんがい、楽しい。』(だいわ文庫)、『人生後半、はじめまして』(中央公論新社)など多数。

(取材・文/ふくだもも)

 
   

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