
まるで格闘技の世界大会を見ているかのようだ。アラスカの野生動物カメラマンがとらえた、2頭のオスのハイイログマ(グリズリーベア)が壮絶な戦いを繰り広げる様子が収められた映像が話題となっている。
撮影したブラッド・ジョセフスさんは、「これまで見た中で最も長く、最も激しいクマ同士の戦いだった」と語っている。
Alaskan Monster Bears Go At It
アラスカ湖で起きた壮絶なクマのオス同士の闘争
5月8日、野生動物カメラマンのブラッド・ジョセフスさんは、アラスカ南部、レイク・クラーク国立公園で、2頭のオスのハイイログマ(グリズリーベア)が、繁殖期に見せる支配権をかけた激しい闘争を目の当たりにし、映像に収めた。ジョセフスさんによると、一方のオスの方が年長で大きく、もう一方は少し小さく年が若いようだったという。
彼は長年カメラマンとして野生動物を数多く撮影しているが、これほど長く、激しい戦いを見たのは初めてで、その闘争心と持久力に驚かされたという。

支配権をめぐって戦う繁殖期のハイイログマ
この心臓がバクバクするほどクマの格闘は約9分にも及んだ。2頭のオスが全ての四肢を使ってポーズを取り、やがては二足立ちとなり、お互いに取っ組み合う。クマたちは途中で息を整えるために一旦戦いを止め、再び第2ラウンドに臨んだ。
一般的に、ハイイログマのオスは、地面から肩までの高さは1mほどだが、後足だけで立つと、2.7mにもなる。体重は最大で約390kgにもなる。
ハイイログマの繁殖期は通常5月から7月にかけてだ。体の大きなオスが小さなオスを追い払うことは珍しくない。
一方で「力が拮抗している」オス同士の場合は、この映像にみられるように、支配権を争うために闘うことがあるという。

戦いの結末は?
映像の最後では、片方のクマが敗北を認め、頭を下げて服従の意を示しているのがわかる。「彼は頭を下げて『まいりました。私の負けです』とジェスチャーで示しているんです」とジョセフスさんは語った。
降参の合図が出たらこれ以上は戦わない。勝者は無言で立ち去っていくという。

ハイイログマが多く生息するアラスカ
アラスカは、アメリカの他州や地域よりもハイイログマの個体数が多い地域だ。北アメリカ全域に約60,000頭の野生のハイイログマが生息しているとされているが、そのうちの半分、約30,000頭はアラスカに生息しているといわれている。
References:Watch as 2 male Alaskan grizzly bears fight in an epic battle | Live Science / written by parumo