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【ヴィクトリアマイル】ソングラインが名牝の証明! 女王のプライドがぶつかった残り200mの攻防

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この春、勢いを増すソニンク牝系

ソングラインが昨年の安田記念に続き、GⅠ・2勝目をあげた。過去、前年の安田記念を勝ったヴィクトリアマイル優勝馬はウオッカ、グランアレグリアの2頭。これで名牝と肩を並べた。東京マイルはGⅠ・2勝、重賞1勝で通算【4-1-0-1】。2着はシュネルマイスターにハナ差及ばなかったNHKマイルCで、着外は昨年のヴィクトリアマイル5着。総合力がなければ乗り越えられない東京マイル、それもGⅠに4度出走してこの成績となれば、申し分ない超A級マイラーだ。

ソングラインの血統はルミナスパレード、ルミナスポイントとさかのぼり、ソニンクにたどり着く。アコースティクスからダービー馬ロジユニヴァースが出た名牝系の血をソングラインは継ぐ。この春、ソニンク牝系がにわかに躍動している。ソニンクの仔ヴァイスハイトが送ったロスヴァイセの産駒スキルヴィングが青葉賞を快勝。ライツェントの仔フリームファクシがきさらぎ賞を勝ち、どちらも日本ダービーに登録した。ひと足先にGⅠを勝ったソングラインはソニンク牝系の勢いをさらに加速させる。

スキルヴィングとソングラインの母父はどちらもシンボリクリスエス。2002年の青葉賞馬で日本ダービー2着とクラシックは惜しかったが、その秋に大成した。ソングラインもシンボリクリスエスを感じさせる成長曲線であり、今が充実のときだろう。同じ母父をもつスキルヴィングも本格化は先かもしれないが、同じく青葉賞を勝っており、ダービーへの運命を増幅させているといえる。

話は少し逸れた。ソングラインの父は2013年日本ダービー馬キズナ。同産駒は不思議と牝馬が目立ち、JRA重賞20勝のうち、牝馬が11勝。牡馬9勝はビアンフェ3勝、ディープボンド3勝(+仏フォワ賞)と複数勝利が多く、重賞勝ち馬は5頭。勝ち馬は持続力勝負に強く、ジリっぽいがバテない馬が多い。対して牝馬は7頭で11勝なので、牝馬の活躍が余計に目立つ。マルタ―ズディオサ、アブレイズ、シャムロックヒルなど牡馬に似た持続型もいるが、牝馬のなかにはソングラインやファインルージュのような速い上がりを求められる舞台でも走れる産駒もいる。キズナ産駒の牝馬は適性範囲が広い。いずれ繁殖牝馬となり牝系を形成するにあたり、これは大きなセールスポイントになる。ソングラインという名牝まで送ったキズナの未来は明るい。

底力を問われた残り200mの我慢比べ

ヴィクトリアマイルは同舞台のNHKマイルCよりもスローペースになりやすい。今年も徹底先行型不在でスローではないかと予想されたが、最内枠からロータスランドが飛び出し、前半600m34.2とGⅠにふさわしい締まった流れを演出。ソダシも外から積極的に2番手にとりつき、レースは前に比重がかかる展開になった。ベテラン横山典弘騎手が乗るロータスランドは3、4コーナーで12.0-12.3と巧みに息を入れ、前後半800m46.2-46.0、最後の600m11.3-11.0-11.4。JRAのトラッキングシステムによれば、残り400~200mは時速65キロ前後、ラスト200mは62キロ前後と東京マイルらしい最後は我慢比べになった。内目の枠から外に出せなかったソングラインは必ずしも芝の状態がいいとはいえないコースを抜けてきた。完璧な立ち回りを演じたソダシを内から捉えてみせたところに女王の凄みをみた。

その2着ソダシはスタート直後のポジション争いでやや内に急に切れ込もうとした点はあったものの、外枠から見事な競馬をみせた。最後の直線は連覇達成の予感もあったが、最後の最後で少し伸びを欠いた。東京マイルのGⅠを2年連続先行して押し切るのは並大抵ではないことを知った。かわいらしい白毛の外見とは違い、レースはいつもストロングスタイル。正々堂々受けて立つ潔さがまた美しい。

3着スターズオンアースは課題のゲートを今回は決め、中団馬群で待機。ここ2戦より明らかにスムーズな形をとれたことは収穫だ。枠なりに馬場の悪い内側を通らされたのが響いたか、内目を勝負所で上がってきた手応えほどは弾けなかった。桜花賞以来になるマイル戦への対応も問題なく、こちらも女王の器はみせた。

4着ディヴィーナは15番人気の激走だった。昇級初戦だった昨年は11着、今年は大きく前進した。このレースを連覇した母ヴィルシーナに捧げる激走は最後まで勢いよく伸びており、4着は位置取りの差が出た。レース当日は母の日。母子制覇をヴィルシーナにプレゼントしたかった。ハルーワソングの系統も今年産駒がデビューするシュヴァルグランやヴィルシーナ、ヴィブロス、そしてディヴィーナと枝葉を広げている。




ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。新刊『テイエムオペラオー伝説 世紀末覇王とライバルたち』『競馬 伝説の名勝負 GⅠベストレース』(星海社新書)に寄稿。

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