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インドの発展を阻む酷暑…政府はリスクを過小評価 研究

NewSphere


 インドでは、焼けつくような暑さによる死亡や病気、学校閉鎖が増加し、穀物不作に見舞われている。4月19日に発表された研究成果では、インド政府や当局が猛暑による被害を過小評価しており、国の発展が鈍化していることが示された。

 イギリスのケンブリッジ大学が発表した査読付きの研究結果によると、人口14億人のインドでは過酷な暑さにより80%の国民が危険にさらされているという。それにもかかわらず気候変動が国に与える影響についての評価には、この数十年来の猛暑がもたらした結果が含まれていない。暑さによって、貧困削減や健康増進といったインド国民全体に関わる目標の達成が阻まれているのだ。

 この研究の筆頭著者であるラミット・デブナス氏は「気候に対する国の脆弱性を示す指標を、専門家や政治家が見直す時期にきています」と呼びかける。

 石炭や石油、ガスの燃焼を要因とする気候変動によって、インドのうだるような気温はさらなる上昇を続けてきた。2022年3、4月には通常より早く熱波が到来し、インドと隣国パキスタンでは、これまでの記録を塗り替えるほどの猛暑に見舞われた。科学者は、2022年の異常な暑さの原因として人為的な要因による気候変動が挙げられるとし、地球全体の平均気温が上昇を続けるなか、事態は今後さらに過酷になると警鐘を鳴らした。

 デブナス氏率いる研究チームは、国連が示す「持続可能な開発目標(SDGs)」に掲げられた貧困と飢餓の廃絶、公平と健康、教育の促進、気候変動の軽減に向けた達成状況を測る指標とともに、暑さや気候変動への脆弱性リスクに対するインドの現行対策を分析した。

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 気温が上昇するほど、これらの目標の達成は一段と遠のいていく。厳しい気候がさらに過酷さを増すなか、持続可能な開発目標の達成を目指すインドの進捗は、この20年間ですでに鈍化していることが研究によって示されている。

 デブナス氏は、インドでの気候リスクはほぼ確実に計測されているものの、特定の場所において人が実際に感じる暑さには湿度が大きく影響することが計算に入れられていないと指摘する。つまり、健康の増進や不平等の是正に向けての政策が的確かどうかの評価については、楽観的すぎる可能性があるという。

 開発目標への進捗を示す指標に国内の過酷な暑さの深刻さを反映させるなど、全面的な見直しが必要であることが研究結果から求められている。

 2023年に入り、インドはすでに焼けつくような暑さに見舞われており、なかには熱波到来のさなかにある州もある。4月16日、インドの都市ムンバイの郊外では、38度のうだるような暑さのなかで地方政府によるイベントの開始を待っていた11名が死亡し、数名が体調不良に陥った。インド東部の西ベンガル州では、猛暑を理由にすべての大学が1週間の休校措置を取っている。2023年2月は、インドにとって過去122年で最も気温の高い2月になった。

 ニューデリーを本拠地とするシンクタンク「政策研究センター(Centre for Policy Research)」に勤めるアディティア・ヴァリアザン・ピライ氏は「猛暑によるリスクは、瞬く間に表面化した新たなリスクであることが強調されている」と話す。同氏は近年、過酷な暑さに対応するインドの取り組みについて研究を行った。

 ピライ氏によると、気温上昇とインドの発展への影響に有意な関連性があることが新たな研究によって示された一方で、研究に用いられたデータは前年4月の気温のみを反映したものであり、十分ではないという。それでもなお、「暑さがインドの人々に及ぼす影響についての研究が増えていることは心強い」と言う。

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