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映画『スーパーマリオ』、世界大ヒットの理由 批評家の厳しい声が逆に?

NewSphere


 映画『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』が世界で大ヒットしている。任天堂と『ミニオンズ』のアニメーションスタジオであるイルミネーションが共同制作した本作は、誰もが懐かしのゲームの世界に入り込み、マリオやピーチ姫たちとともに冒険の世界に没入する。マンネリ気味のハリウッドで異色の存在となったことで、観客の心をつかんだようだ。

◆オープニング週末興収で『アナ雪2』を破りトップに
 誰もが親しんだマリオの世界は、海外のファンたちの心にも広く響いている。米タイム誌(4月13日)によると、4月5日に公開された本作が、週末オープニング興行収入でこれまで記録を保持していた『アナと雪の女王2』を抜き、全世界で3億7700万ドル(約509億円)以上を売り上げた。

 アメリカでのマリオブラザーズの発売は40年前のことであり、2023年になって映画がこれほどヒットするとは誰もが予想だにしなかったことだろう。米ニューヨーカー誌(5月4日)は、「今日のハリウッドにおいて、古いIP(知的財産)の再利用は常套(じょうとう)手段である」としながらも、「それでもなお、『マリオブラザーズ』の成功の大きさには目を見張るものがある」と驚きをあらわにしている。

◆長年育んだマリオの世界観をそのまま映画に
 今作ではニューヨークで配管工として働いているマリオとルイージの兄弟が、土管に飲み込まれてキノコ王国に迷い込む。はぐれた兄弟同士の結束が試されるなか、邪悪なクッパの気配が。マリオはピーチ姫やキノピオたちとともに危機に立ち向かう。

 任天堂代表取締役フェローの宮本茂氏は公開にあたり、「この映画は任天堂の開発チームとイルミネーションの制作チームが一緒になって、じっくりと時間をかけて作りました」「観ていて楽しいのと同時に、ゲームを遊んでいただいた時の感覚までよみがえると思います」とのコメントを寄せている。映画への思い入れが伝わるかのようだ。

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◆観客はヒーローずくめの映画界に変化を求めていた
 今作の成功要因は、アメコミ原作作品一色の映画界に新鮮な風を吹き込んだ点にあるようだ。米メディアリサーチ会社の戦略担当ディレクターは、ニューヨーカー誌に対し、「マーベル系のスーパーヒーローが延々と続くことに観客が飽き、何か違うものを求めているのではないか」との見解を示している。

 また、マリオの世界観を随所に感じられる点も観客に評価されたようだ。米映画評論家は同誌に対し、『大乱闘スマッシュブラザーズ』を想起するバトルシーンなど、マリオが出演した歴代ゲームタイトルへのオマージュがふんだんに盛り込まれていると語っている。

 ゲーム情報サイト『CBR』(5月6日)は、任天堂の宮本氏の見解として、批評家の間で厳しい評価が相次いだことがかえって興味をかき立て、多くの観客に観てもらえたとの考え方を紹介している。映画レビューサイト『ロッテン・トマト』の批評家によるスコアは59%とかなり厳しいが、一般観客による評価は96%と大健闘している。批評家からはストーリー性に乏しいとの声がちらほら聞かれるが、ファンたちのレビューを見る限り、家族で純粋に楽しむことができたとの評価が多いようだ。

 タイム誌は、ネット上のファンの熱狂が映画の一大旋風に一役買っていると見る。2020年に映画制作が発表されてから新着情報が出るたびにファンたちが素早くソーシャルメディアで反応。映画公開後はツイッターやTikTok、レディットに多くのイラスト、コスプレ画像、ミームなどがあふれた。TikTokではハッシュタグ「スーパーマリオ・ムービー」と「スーパーマリオブラザーズ」が合計60億回以上視聴されている。

 世界をとりこにしている『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』は、日本でも現在上映中だ。『スーパーマリオブラザーズ』や『マリオカート』など往年のシリーズと、ぜひ大画面で再会しよう。

 
   

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