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【徹底解説】名画から生まれたマスターピース『ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル』── 第1回:誕生の軌跡

キネマ旬報WEB

かつてニコール・キッドマンとユアン・マクレガーが共演した映画「ムーラン・ルージュ」(01)。豪華で幻想的な美術にスピーディな映像、クラシカルなミュージカル・ナンバーからポップス、オペラ、ロックなど何でもアリな音楽がコラージュされたそれは斬新で異色、しかしミュージカル映画の神髄を極めていた。あのとき、みんなこう思ったろう。
「19 世紀の、退廃と狂乱、陶酔のムーラン・ルージュの世界に入り込みたい」と……。

あれから20 年あまり、「ムーラン・ルージュ」は観るだけでなく、体感できることになった、しかも日本で。そう、ミュージカル『ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル』の日本版が、今夏上演されるのだ。映画を最大限にリスペクトし、かつマッシュアップしたミュージカルはトニー賞10 部門受賞(21年度最多)。かつてスクリーンで度肝を抜かれた映画ファンにこそ、ライブで観て、聴いて、浴びてほしい。究極の“ミュージカル映画ミュージカル”、『ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル』を、『キネマ旬報』は我を忘れて激推し! 2回にわたってその魅力を徹底解説する。

1回目は、映画「ムーラン・ルージュ」の生みの親である映画監督のバズ・ラーマンと、舞台版を演出したアレックス・ティンバースと脚本のジョン・ローガンのコメントをもとに、『ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル』誕生までのドラマをお伝えしよう。

映画の舞台化において考え得る最高に理想的な形

Moulin Rouge! The Musical Boston Set Photo by Matthew Murphy.

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「映画『ムーラン・ルージュ』は、ミュージカル映画というものを再発明する試みでした。子どもの頃からミュージカル映画を愛してきた人間として、それらが生き返るところが見たかったのです」

本作の生みの親、バズ・ラーマン監督がのちに舞台版パンフレットに寄せた手紙に書いている通り、彼が子ども時代を過ごした1970年代から本作が公開された2001年頃まで、ミュージカル映画は長い“冬の時代”にあった。「シカゴ」(02)「レ・ミゼラブル」(12)「ラ・ラ・ランド」(16)「グレイテスト・ショーマン」(17) ……。続々とヒット作が生まれている今では考えづらいが、実際「ムーラン・ルージュ」(01)の制作過程でも、ミュージカル映画が本当に「生き返る」と思っていた映画人は多くなかったようだ。

「私が心から尊敬するこの業界の人々が、ミュージカル映画が人気を取り戻すことなどありえない、と信じているのが分かる瞬間が何度もありました。あれから20年が経った今、ミュージカル映画が、再び“映画館に行く”という体験の重要な一部となっていることに、大きな喜びを感じます」

ラーマンのミュージカル映画への愛と信念によって生み出され、“冬の時代”を終わらせるきっかけの一つともなった「ムーラン・ルージュ」。だがその舞台化にあたってラーマンは、自らの手では演出しないことを決意する。

“伯父”となったバズ・ラーマン

Original Broadway cast of Moulin Rouge! The Musical . Photo by Matthew

「自分で演出したら、原作映画で行った一つひとつの選択を、あたかも神聖なものでもあるかのように擁護したくなるかもしれない。それは、芸術が本来あるべき姿に反しています。そこで私は、このプロジェクトをあえてほかの誰かの手に委ね、生みの親ではなく伯父のような存在となることにしたのです」

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