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近未来の日本を予見する問題作「PLAN 75」 不寛容な社会に生きる私が本作を観て思うこと

キネマ旬報WEB

少子高齢化社会が一層進んだ近い将来の日本で、75歳から生死の選択権を与える架空の社会制度<プラン75>を媒介に、「生きる」という究極のテーマを問いかけた衝撃の社会派ドラマ「PLAN 75」。新鋭の早川千絵が長篇初監督作ながら2022年カンヌ国際映画祭「ある視点」部門正式出品、カメラドール特別表彰という快挙を成し遂げた本作のBlu-ray&DVDが、4月26日に発売された。

リリースにあたり、主にジェンダーやフェミニズムをテーマにインタビューやコラムを多数執筆するライタ-の羽佐田瑶子さんに本作について語っていただいた。

不寛容な社会に生きる“私”と「PLAN 75」の出会い

冒頭、高齢者は「社会にとって役に立たない」と優生学的な思想で事件を起こす青年が、この先の日本を暗示しているようで苦しくなる。マスクで覆われた長い時間によって、私たちはうっすらと膜を張り、自己責任と無関心が強まってしまったように思う。

社会と個人の接続が歪み、差別的な発言をした政治家たちは情報の流れの早さに身を隠している。怒りを忘れないようにSNSでログを残すけれど、あまりに数が増えて、自分のタイムラインでも流れてしまう。不寛容な社会に、私にできることはなにか。そう思い悩んでいたときに出合ったのが映画「PLAN 75」だった。

カメラを射抜く倍賞千恵子の視線から浮かび上がる思い

早川千絵監督による映画「PLAN 75」の舞台は、少子高齢化が一層進み、75歳以上の人は自らの死を選択できる国家制度が施行された日本。清掃の仕事をしてきた78歳のミチ(倍賞千恵子)は年齢を理由に突如解雇されてしまい、制度への加入を考える。

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「社会の役に立つ/立たないという尺度で人の命の価値が測られる考え方は、すでに社会に蔓延しているのではないか」という監督の危機感が、力強いメッセージとして伝わってくる本作。

出演者の磯村勇斗さんと河合優実さんも言葉を濁すことなく、映画での気付きを映像特典で語った。大きな学びの一つとして、自己責任ではなく制度に問題があると気づき、社会に疑問と関心を向けられる点にあると思う。「対個人に怒りが向きがちだけど、構造やシステムに翻弄されている事実がある。個人でなにかできないかと思います」と切実に語っていた河合さん。

カメラを射抜く倍賞千恵子の視線に思わず目を逸らしそうになったのは、自身も無自覚でも制度に加担している可能性があると気付かされたからだ。自らを省みて、社会の風潮に意識的になろうという願いを受け取った。

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