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LVMH本社襲撃も 支持されない仏マクロン大統領の年金改革

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 マクロン政権の年金改革への抗議行動が続くフランス。13日には一部のデモ隊がラグジュアリーブランドのコングロマリット企業、モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン(LVMH)の本社を襲撃する事件も発生した。

◆富を象徴するLVMHを狙った事件
 13日、フランスのエマニュエル・マクロン大統領が推し進める年金改革に反対するデモ隊が、LVMHのベルナール・アルノー会長兼CEOら、主要な経営陣がオフィスを構える本社ビルを攻撃した。マクロン政権は、年金制度の財源確保のため、年金支給開始年齢を現在の62歳から64歳に引き上げるという改革案を提示し、市民からの大きな反発と怒りを引き起こしている。2021年1月6日に発生した米連邦議会襲撃を想起させるような、暗い本社ビルに大きな旗を持って侵入するデモ隊の姿を撮影した写真が報じられたが、彼らは長く居座ることはなかったという。

 フランス現地メディアの取材に対し、抗議行動を起こした鉄道員労働組合(SUD-Rail)のリーダーは、「政府は社会保障と年金制度の財源確保に苦戦しているようではないか。だったら金はここにある。LVMHのような企業には何十億という金がある」とコメント。彼の発言は、デモ隊によるLVMH本社ビルの攻撃を正当化するものではないが、年金改革が「庶民への攻撃」として認識され、その怒りの矛先が富の象徴へと向けられたという背景があるようだ。

 米フォーブズ誌のビリオネア番付によると、LVMHのアルノー会長は現在、イーロン・マスクを抜いて世界一の富豪となった。インフレが一般市民の日常生活を苦しめているなか、LVMHは2022年過去最高の売上高を記録するなど、ラグジュアリーブランドの好調な業績が報じられている。

◆支持されない年金改革
 抗議行動が続くなか、マクロン大統領は15日、年金改革法案に署名した。年金制度の財源確保のため、2030年までに年金支給年齢の62歳から64歳へ引き上げるという施策は、今年の9月1日から段階的に実施されるとのことだ。月々1400ユーロ(約20.5万円)という満額を受給するには、43年の勤務期間(資格必要期間)が求められる。

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 年金改革は、再戦を果たした2022年の選挙における、マクロンの公約の一つであったが、国民の多くは反対していた。日本同様フランスでも高齢化が進み、近い将来、年金制度が破綻するという危機意識が年金制度改革の背景にある。財源確保の代替案としての支給額のカットや増税はより大きな反発を買う可能性もある。一方、64歳という年金支給開始年齢は、欧米諸国などと比較すると低いのも事実だ。

 今回の法案においては、憲法の「49条3項」を用い、国民議会での採決なしで、ある意味、強制的に採択されたことも、さらなる反発を呼んだ。その状況を受け、マクロン大統領は17日、国民に向けたテレビ演説において、年金改革の重要性を改めて主張するとともに、国民に対して3つのアクションプランを提示した。国民の怒りを鎮めるという思惑があるようだ。その内容は、グリーンテックへの投資を含めたフランスの「再工業化」の促進、不法移民や犯罪対策の強化、教師の雇用環境の改善といったものだ。ほかにも、大統領は報道番組のインタビューに応じるなど、国民の理解を得ようとしているが、法案の強行採決の事実もあり、格差への不満と相まって国民の反発はそう簡単には収束しないであろう。

 
   

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