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KAMITSUBAKI FES 2023、DAY2はカンザキイオリ、DUSTCELL、Guiano、大沼パセリら、圧巻のステージアクト。バーチャルとリアルが交錯する新次元フェス!

DI:GA ONLINE

KAMITSUBAKI FES 2023 <DAY2>カオスのひ
2023年3月31日(金) 豊洲PIT

多種多様な次世代のクリエイターが所属するYouTube発のクリエイティブレーベル「KAMITSUBAKI STUDIO」が開催した初のフェス「KAMITSUBAKI FES ’23」。バーチャルシンガーと、彼女たちの歌声で作成された音声創作ソフトウェアから生まれた“音楽的同位体”によるステージが展開されたDAY1「シンギュラリティーのひ」とは打って変わり、DAY2「カオスのひ」はVOCALOIDクリエイター/シンガーソングライターのカンザキイオリ、Guiano、大沼パセリ、2人組ユニットDUSTCELLの4組がメインアクトを務め、DAY1で熱演を見せた花譜、春猿火、ヰ世界情緒、幸祜(※理芽は留学中のため欠席)や、さらにはKAMITSUBAKI STUDIOの姉妹レーベル「SINSEKAI STUDIO」からも数多くのゲストが招かれるなど、リアルとバーチャルが交錯する、KAMITSUBAKI STUDIOを凝縮した1日となった。

梓川

前日同様ステージは上段と下段に分かれ、ドラムとキーボードのメンバーがいる上段は斜幕に覆われ、バックにLEDモニターが設置されている。下段は下手にベースとギター、上手にチェロとバイオリンのメンバーが配置につき、中央にはバーチャルシンガーが登場するステージがセットされていた。
オープニングアクトはSINSEKAI STUDIOより2020年4月から音楽活動を開始したシンガー・梓川。上段のステージに登場し、スタイリッシュかつエネルギッシュに「今さらサレンダー」を届ける。「今日はみんなでひとつになって楽しんでいきましょう!」とテンション高く観客に呼び掛けると「告赤」を歌唱した。背後の映像と、斜幕に映し出された歌詞の文字のグラフィックに挟まれた空間で歌う彼は、まさにバーチャルとリアルの狭間に身を置くようだ。全身で音楽を体現したパフォーマンスで、DAY2の幕開けをあたためた。

大沼パセリ

第一部はKAMITSUBAKI STUDIOに所属するアーティストたちによるアクト。一番手の大沼パセリは「MAGIC」でライブをスタートさせた。どこかアンニュイなムードを醸しながらも芯の強さを感じさせるボーカルと、ポップネスとスマートネスを兼ね揃えたサウンドアプローチは、ナチュラルでありながらも華がある。曲中でペンライトの明かりで埋まるフロアを観て「超きれい」と小さく笑みを浮かべる一幕にも、余裕さを覗かせた。
「DELETE」の後はDUSTCELLのボーカリスト・EMAを招いて「Twig」をツインボーカルで歌唱する。冒頭で見せたレーベルメイトならではの遠慮のない空気感も微笑ましかった。EMAが去った後、大沼はMCで友人に話しかけるような温度でフロアとコミュニケーションを取り、未発表の新曲「Gifted」を初披露。メッセージ性の強い歌詞は、観客への贈り物のように優しく、強く響いた。

Guiano

EDM、トロピカルハウスからシティポップ、ピアノバラード、アコースティックなど幅広いソングライティングに定評があるGuianoは、2022年にリリースした「花」「鳥」「風」「月」を順々に歌唱するという整然たるセットリスト。だがそれに反してパフォーマンスは非常に感情的かつ衝動的だった。
「花」のイントロが鳴るや否やハンドマイクでステージ下段に飛び出してきた彼は、身を乗り出すようにして観客に視線を送りながら、昂ったボーカルを響かせる。「鳥」では観客のOiコールに対して喜びを示し、ギタリストに接近してアイコンタクトを取るなど人懐こさも覗かせた。エッジの効いた歌詞が強烈な「風」では曲中で叫び、観客もその思いに応えるように大声を上げる。生ならではの熱気あふれるステージは、「月」にしたためられた《輝いて輝いて飽きるまで歌おうぜ》や《世界が終わるまで踊ろうぜ》という歌詞を物語るようだった。

DUSTCELL DUSTCELL

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ボーカルのEMAとコンポーザーのMisumiによるユニット・DUSTCELLは、1曲目「CULT」から小気味よさと切迫感で観客を翻弄する。観客の声出しが許可されたライブは彼らにとってこの日が初とのことで、Misumiは「感動がある」、EMAは「みんなの熱量が伝わってくる」と観客の声を浴びることへの喜びを語った。
「命の行方」では曲中でMisumiがデスボイスで盛り上げるとフロアからも太い声が上がり、間髪入れずに青春感に溢れる「過去の蜃気楼」につなぐと、ふたりはバンドのエネルギーも観客のエモーションも巻き込んで楽曲に綴られた葛藤や強い意志を爽快感たっぷりに届けた。「独白」ではすべての力をステージに置いていくような熱演を展開。EMAの鬼気迫るポエトリーリーディング、強い願いを天に訴えかけるようなサビの歌唱と、感情で体当たりするようなステージに目を見張った。

カンザキイオリ カンザキイオリ

第一部のラストを飾ったのは、花譜と同じくKAMITSUBAKI STUDIO設立のきっかけともなった重要人物であるカンザキイオリ。これまでの出演者とは対照的に、彼は映像演出なしの単身弾き語りスタイルで出番を全うした。
深々と頭を下げると、おもむろにピアノを弾き出し「命に嫌われている」を歌唱する。真っ白な光に包まれ、心を震わすように言葉を吐き出す彼の歌は、モニターや斜幕に歌詞が映し出されていなくても一言一言が文字として浮かび上がり、こちらの胸に刺さってくるようだった。「結局死ぬってなんなんだ」では胸を締め付けるような歌と、悲哀と包容力を感じさせるピアノが、青いライトと相まって会場全体が冷たく穏やかな海の底のように感じられた。
アコギを抱えた彼は、観客のためにどんなパフォーマンスをするかを悩み、その結果出た結論は「自分は自分でしかない。自分以外の何者でもない」だったと語る。「自分の歌を余すことなく皆さんに届けられるように、ここから始めようと思います」と晴れやかに告げると、会場からは大きな拍手と歓声が起きた。「アダルトチルドレン」の後は、新曲「なぜ」を初披露する。感情をぶつける歌唱は生きるうえでのもがきそのもののよう。ありのままをぶつけるステージは、圧巻の一言だった

KAMITSUBAKI STUDIOとSINSEKAI STUDIOに関連する楽曲のリミックスをつなぐDJとVJで構成された「KAMITSUBAKI DISCOTHEQUE」を経て、第二部へと突入。

花譜 × 明透 CIEL × Albemuth 春猿火 × 梓川

KAMITSUBAKI STUDIOとSINSEKAI STUDIOのコラボレーションステージだ。
花譜と明透は廉による「始発駅、君を待つ。」をカバーし、存流と明透による2人組バーチャルシンガーユニット・AlbemuthとCIELはAlbemuthのオリジナル曲「幽ノ楽園」で共演する。ボーカルが肉声になる、もしくは加わるだけでここまで色味が広がることに、声の持つ力を再確認した。
その後はバーチャルシンガーとリアルシンガーが共演。春猿火と梓川は平田義久の「日本の夏」で妖艶かつ野性的なムードを高め、リアルとバーチャルを行き来するガールズグループ・VALISはリアルの姿で幸祜とともにダンス&ボーカルスタイルで幸祜のオリジナル曲「TIME」を届ける。第二部の締めくくりはヰ世界情緒とシンガーソングライターの跳亜による、香椎モイミの「ガーネットの涙」のカバー。ふたりは目を合わせるなどの仕草を見せ、手を取り合うように情熱的なボーカルを響かせた。

幸祜 × VALIS ヰ世界情緒 × 跳亜 V.W.P with 裏命&CIEL

DAY1に続きアメリカに留学中の理芽からのビデオメッセージが流れた後は、いよいよKAMITSUBAKI FESもクライマックスへと突入する。V.W.Pの花譜、春猿火、ヰ世界情緒、幸祜と、理芽の音楽的同位体“裏命”の5人が登場すると、壮大なバラード「祭壇」で包容力に満ちた歌声を届け、さらにCIELが加わり「輪廻」を披露する。曲中でバンド紹介を盛り込むと会場のテンションもさらに高騰。会場が一丸となり興奮と一体感を高めていった。

そしてこの2日間を締めくくったのは、カンザキイオリと花譜によるコラボレーション。KAMITSUBAKI STUDIOが生まれるきっかけであり、コンポーザーとそれを歌唱するボーカリストという深い関係性を持つ両者。そんなふたりが“僕”と“君”の関係性が綴られた「あの夏が飽和する」と「狂感覚」を歌うことも胸を打つが、それをKAMITSUBAKI STUDIO初のフェスで実現させたことは、同レーベルの歴史において第1の金字塔のようにも思えた。歌い終わったふたりが無言で穏やかに目を合わせるシーンがとても美しく、強く印象に残っている。

カンザキイオリ × 花譜 カンザキイオリ × 花譜
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