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FullMooN、フルアルバム『Dear…』全曲を語るメンバー全員インタビューを公開!

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大切な人への思いを こうやって形にすることで、 ずっと忘れないじゃないですか。 しかも音源にすることで、 一生消えずに残していける。

4月に結成11周年を迎えるガールズロックバンドのFullMooN。彼女たちが、約10年ぶりになるフルアルバム『Dear…』を3月29日(水)にリリースした。これまでもフルアルバムを制作する機会はあったが、そのたびにメンバーの脱退など、理想通りにバンド活動を進めてゆくのが困難な時期を長く続けてきた。現在のメンバーが揃ったのは、約2年前。ここまでの日々の中、「このメンバーなら一生、FullMooNとして共に歩んでいける」と、4人は確信。その決意と、今後も長く続くFullMooNの未来へ向け、彼女たちはアルバム制作を決意。完成したのが、フルアルバムの『Dear…』になる。この作品の魅力を、インタビューという形を取って、4人にじっくりと語っていただいた。

TEXT:長澤智典

今は、メンバーが 変わることもない絶対的な安心がある。だからこそ、ようやくアルバムの 制作に踏み出せました。

――ついに、アルバム『Dear…』が完成。フルアルバムを発売するのは…。

えれん:10年ぶりです。
ねね:ここまでいろいろとありながらも、やっとたどり着いた作品だからね。これまで何度もフルアルバムを作ろうとは思ったけど、制作の準備に入ろうとすると、メンバーの卒業などいろんなことが起きて、なかなか踏み出せなかったんですよ。今は、メンバーが変わることもない絶対的な安心がある。だからこそ、ようやくアルバムの制作に踏み出せました。
えれん: 収録した曲たちも、ほとんどが今のメンバーで作り上げた新曲たち。今現在のFullMooNとして未来へ進むためにも、そうしたかったんです。
りん:これまでの歴史を詰め込んだベスト盤ではなく、これからを見据え、長くやっていける曲たちをアルバムという形でまとめあげたかったからね。
葵:ただ、アルバム制作を決めてからは、急ピッチでの作業でしたけどね(笑)。でも、間違いなく手応えを得た作品になったから、すごく満足しています。

「Dear…」 メンバーである私たちが 最初に聞いたときから、 涙が零れるほどの 感動を覚えていた曲だからね。

――ここからは、全曲の解説をお願いします。冒頭を飾ったのが、MVも制作した「Dear…」。これは、亡くなった方への思いを記しています?
ねね: 歌詞を読んだら、詰め込んだ思いはわかっていただけると思いますけど。わたし自身は、遠くへ旅立った大切な人へ向けての思いとして書きました。しかも、変にオブラートに包むことなく、思い浮かんだ気持ちを、そのまま歌詞にぶつけています。この曲は、作曲も手がけました。ただし、元となる音源を制作したのは2012年頃。当時は形にしきれなかった曲を、今なら心揺さぶる楽曲に仕上げられるなと思ったからこそ引っ張りだしました。
えれん:制作したMVでも、みんなが白い衣装に、白い花を持ってなど、「Dear…」へ寄り添う形で作りあげています。

――「Dear…」の冒頭が、セリフから始まりますよね。そこで語られる思いも、かなりインパクトを持って胸に届きました。

ねね:どうしても思いを語りきりたくて、そういう形を取りました。結果的に、切ない曲にはなりましたけど。ファンの方々から「今までの曲の中で一番好き」という声もいただけているように、とても満足しています。
えれん:メンバーである私たちが最初に聞いたときから、涙が零れるほどの感動を覚えていた曲だからね。
葵:初めてデモ音源を聴いたときからみんなで涙していたくらいに、すごく感動を覚える歌になりました。
りん:ライブ中にも、泣いてしまいそうになるくらいにね。
ねね:今でも、ライブで歌っていると涙が零れそうになるんですけど。そこは「しっかり伝えなきゃ」という気持ちから、感情を崩さないようにと心がけています。大切な人への思いをこうやって形にすることで、ずっと忘れないじゃないですか。しかも音源にすることで、一生消えずに残していける。だから形にしたのも理由としてありましたね。
葵:「Dear…」自体は、大切な人へ向けた思いを形にはしているんだけど。アルバムタイトルを『Dear…』にしたのは、「この作品をみんなに向けて届けたい」思いから名付けています。

「花火」 マジで青春曲です。しかも、 高校生の頃の恋愛模様のような…。

――『花火』は、めちゃくちゃポップでキャッチーな。しかも、淡い青春時代の恋心を感じる歌ですよね。

ねね:マジで青春曲です。しかも、高校生の頃の恋愛模様のような…。
葵:聴いてて、キュンキュンするからね。
えれん:だから、ウキウキ飛び跳ねているような曲調なんです。
ねね:これは体験談ではなく、わたし自身、少女漫画が大好きなことから、ああいう世界観を歌詞にしたくて書いてみました。
えれん:FullMooN自体、ジャンルレスな音楽性を打ち出してきたし、そこの意識は今後も持っていたいことから、こういうポップな表情もアルバムに入れておきたかったんですよね。「Dear…」から「花火」という真逆な曲調が続く流れも、むしろFullMooNらしいじゃないですか。
りん:この手の曲は、アルバムだからこそ入れられる。結果的に、アルバムにも良い振り幅を付けてくれたからね。

「Time limit」 《承認欲求のお化け》など、 自暴自棄になれば、 自分やまわりを ディスる面も出ています。

――「Time limit」でも、表情をガラッと変えてきましたよね。

葵:「Time limit」は、わたしがFullMooNに加入して初めて書いた曲。自分の作る楽曲の場合、“歌メロが難しくて表現しきれない”と言われることが多いんですけど。でも、“ねねなら大丈夫”という思いから挑戦してもらったところ、理想以上に表現してくれました。
ねね:確かに、しっかりと歌いきるのは大変でした。
えれん:演奏陣のみんなも、表現力を求められた楽曲だったからね。とくにベースはね。
りん:この曲は、2番のAメロのベースがポイントになっています。

――歌詞では、けっこう自問自答していません?

ねね:《承認欲求のお化け》など、自暴自棄になれば、自分やまわりをディスる面も出ています。まぁ、わたしの場合、ディスる歌詞も得意なので(笑)。
葵:ねねちゃんは、たまに変な恰好でライブをするときがあるんですけど。そういうときほど「認めたくないこんな自分」と書いた「Time limit」を歌いたがるんですよ。その自虐的なところもポイントです。この曲はギターソロも恰好いいので、ぜひ注目してください。

「日常」 「日常」も、 キュンキュンする恋愛の歌。 「花火」に出てきた女の子が、 大人になった感じだよね。

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――歌始まりの「日常」は、最初から聴き手のハートをグッとつかむ曲。しかも歌詞の内容が…。

葵:「日常」も、キュンキュンする恋愛の歌。「花火」に出てきた女の子が、大人になった感じだよね。
ねね:ふわーっとした柔らかい曲調だったことから、幸せな気分になれる歌詞にしたくて、「一緒に暮らそうか」「えっ?!」みたいな感じで、同棲したての恋人どうしの姿を書きました。
りん:確かに、聴いてて心があったかくなる。こちらは大人の恋愛であり、女性の恋心って内容だからね。
葵:木漏れ日が射してくるようなね。

――これは、ねねさんの経験談?

ねね:えっ、そんな経験ないですよ。本当に少女漫画大好きっ子だから、思いきり妄想しながら書きました。ディスる曲のような経験はあっても、恋愛曲のような経験がまったくないので(笑)。
えれん:ねねは、少女漫画マスターだから。

――最後の、「大好きだよ」の部分もいいよね。

りん:あそこ、楽器の音も全部消えて、ねねの「大好きだよ」の言葉だけになるんですね。あの部分を聴いたら、絶対に自分に向けて言われてる気持ちになるよね。
ねね:ライブでは、誰かピンポイントで一人だけを指さして、「大好きだよ」と歌っちゃおうかな。

「イデア」 「イデア」は,亡くなった父との 思い出を記しています。

――「イデア」は、ライブで生きる楽曲ですよね。

葵:これまでのFullMooNにはなかった、ちょっとゴシックやクラシック感のある楽曲だよね。
えれん:今までのFullMooNにはない楽曲をと意識して作ったからね。結果的には、私らしさも出てるんだけど…。

――曲調は激しいのに、歌詞は切ない。そこのギャップも魅力です。

ねね:「イデア」には、幼かった頃のわたしの思い出を書きました。亡くなった父との思い出を記しています。一緒にプラネタリウムを観に行った思い出や、窓の外に落としてしまった大切にしている人形を、父親が雨の中、外まで深夜に拾いに行ってくれたこと。オレンジの小さな明かりは、寝るときの豆電球のこと。動き出す人形たちは、子供の頃に見た怖い夢の記憶。父親が亡くなったのはもう10年以上前になりますけど。忘れたくない子供の頃の思い出を、ここに書き記しました。確かに曲調は激しいからライブでも生きる曲だけど、激しさじゃない感情で、この曲を受け止めています。
りん:演奏自体は、確かに激しいよね。
えれん:煽りも入っているから、ライブでも生きるシンフォニックメタル寄りの曲になりました。

「shut out」 いろんなバンドさんが好きではなく、 何時だってFullMooNが 一番好きであってほしい。

えれん:「shut out」は、ライブですごく生きる曲。
ねね:その会場の雰囲気がどうであろうと、「shut out」を演奏すると、かならずフロアが盛り上がって一体化した空気を作ってくれる。初見の人でも、すぐに拳を振り上げて騒いでくれるからね。だから、ライブでは欠かさずにやっています。
えれん:《誰かと比べるのはやめて》という歌詞もいいよね。
ねね:世の中には、「一番じゃなくていい」という風潮があるじゃないですか。わたし、誰かと比べられるのはすごく嫌なんですよ。いろんなバンドさんが好きではなく、何時だってFullMooNが一番好きであってほしい。

――お前ら、浮気するなよと。

ねね:そう。だって、好きなんでしょと言いたくなる。
葵:「shut out」は、MVも制作。中に、一瞬だけ不思議な人たちも登場します。
りん:なんか、いきってるような人たちがね(笑)。

「オレンジビーチ」 伊東市の温泉街の目の前に広がる 「伊東オレンジビーチ」を舞台にした、めっちゃ青春している 歌詞になりました。

――オレンジビーチのみんなで合唱するサビ歌が、とてもインパクトを持って響いてきます。

りん:「オレンジビーチ」は、ファンの人たちも巻き込みながら、みんなで合唱できる楽しい曲が欲しいなと思って、夏が似合う雰囲気もイメージして作りました。
えれん:この曲を制作している当時、伊東市で立ち上がった「オレンジビーチプロジェクト」にFullMooNも関わることになり、そのプロジェクトのテーマソングの依頼を受けました。その時期にりんからこの曲が上がってきたことから、「この歌ならみんなで一緒に歌えるし、プロジェクトにもピッタリじゃないないか」という話になり、歌詞にもオレンジビーチとたくさん言葉を詰め込んだ、この曲が生まれました。
ねね:伊東市の温泉街の目の前に広がる「伊東オレンジビーチ」を舞台にした、めっちゃ青春している歌詞になっています。だいぶ、オレンジビーチと連呼しているけどね(笑)。
葵:まさに、青春ソング。アルバムの中へ明るいロックな楽曲が少ないぶん、良いインパクトを与えてくれたからね。

「OMY」 ギターソロになると、 大室山からおじさんが降臨して 渋いギターソロを弾けば、 弾き終わると、 また大室山に帰っていくんですよ

――歌詞に大室山と出てくるなど、「OMY」も伊東市関連の歌になるんですよね。

えれん:きっかけは、伊東市でオレンジビーチプロレスというプロジェクトが立ち上がり、そこからオオムロ・ヤーマンというマスクマンプロレスラーが誕生しました。そのテーマソングの依頼を受けたことから作ったのが、「OMY」になります。
葵:「入場テーマになる曲を」という依頼を受け、まさに、リングへ向かって登場し、歩きだすシーンをイメージして作りました。
ねね:歌詞にも力良い表現を心がけつつ、スコリアや大室山、ジオパーク、イワナガヒメなど、伊東市にまつわる題材をたくさん詰め込んだご当地ソング風にも仕上げています。
りん:この曲のギターソロが、とにかく渋いんですよ。
葵:ゴリゴリのメタルサウンドながら、なぜかギターソロになると、大室山からおじさんが降臨して渋いギターソロを弾けば、弾き終わると、また大室山に帰っていくんですよ。

「GoGo」 えれんは、「GoGo」の プレイのためだけに 新しい光線銃を購入。 ライブでも、 この曲専用で使っています。

――『GoGo』は、みんなで「GoGo」と叫びあい、ライブで一体化した景色を作りあげてゆく楽曲ですよね。

ねね:この曲の元ネタも2012年頃に誕生。今なら、絶対に生かせる曲だと思ってアレンジを始めたところ、サビメロ以外は、完全に作り直しています(笑)。この曲は、お客さんたちを巻き込んでフロアでぐちゃぐちゃにまみれてゆく、明るく楽しく騒げる「ドキドキ夏休み」の第二弾ソングとして誕生しています。
えれん:埋もれていた曲の中から、良い部分だけをサルベージしてきました。フロアにいる人たちを巻き込み、一緒になって騒げる、まさにライブ曲です。
葵:最後のほうに、光線銃を使ったギターの音を入れているところも、えれんらしいプレイ。えれんは、「GoGo」のプレイのためだけに新しい光線銃を購入。ライブでも、この曲専用で使っています。
りん:ベースではオクターブ奏法を用いています。FullMooNの曲の中で、初めてオクターブ奏法を使った曲になったので、そこにも注目してください。

「存在証明論」 《本能で衝動で感情で 幻想で根性で》と、 お経のように言葉を連呼している お経メタルナンバー。

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